生きていれば誰しも年齢を重ねていきます。元気なままで生活する方は少なく、要介護状態になって人生の終焉を迎えるケースも少なくありません。また、介護は前触れなく突然始まることがあります。ご家族の介護が必要になったとき、慌てないためにはどうすればよいのでしょうか。今回は、ご家族の介護に備えて知っておきたい情報や心構えをご紹介します。

介護や支援が必要な方は約717万人
厚生労働省によると、2024(令和6)年7月末現在の要介護(要支援)認定者数は約717万人となっています。
出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和6年7月暫定版)」
介護が必要になるタイミング
介護が必要になる時期は人それぞれ異なります。
例えば「事故にあって骨折した」「脳梗塞で倒れて片麻痺になってしまった」「転倒して足を骨折した」など予測不可能な事態により、その日から介護が始まることもあります。
しかし、認知症の発症など、場合によっては予測できることもあります。
認知症の中でもアルツハイマー型認知症の進行は、個人差があるものの、比較的ゆるやかなため、要介護状態になるまである程度の期間がある場合もあります。
今から集めておきたい情報

介護が始まると、さまざまな情報や知識が必要となります。介護保険制度や介護サービス、施設の種類など、基本的な情報だけでも集めて活用することにより、介護者の負担が軽減されることがあります。
1,介護保険の情報
介護保険制度は、ご高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みです。この制度の内容を知っておくと、スムーズに介護サービスを受けることができます。
介護保険のサービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。ここでは、要介護認定を受ける際のポイントを簡単に説明します。
・要介護認定は、ご本人かご家族、もしくはケアマネジャーからの申請が必要です。
・申請先は、お住まいの市区町村の窓口です。
・申請後は、調査員がご自宅などを訪問し、心身状態などを確認するための認定調査(聞き取り調査)を行います。
・主治医の意見書をもとに、市区町村の介護認定審査会が要介護度を判定します。
・申請から認定まではおおよそ1カ月かかるため、早めの申請をおすすめします。
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2,在宅サービス事業所の種類
ここでは、代表的な在宅サービスをご紹介します。
・訪問介護(ホームヘルプ)
ご自宅に訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問をして家事援助や身体介護を行います。
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看護職員と介護職員がご自宅を訪問し、浴槽を持ち込んで入浴介護を行います。
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・デイサービス(通所介護)
日中施設に日帰りで通い、入浴や食事等の日常生活上の支援、機能訓練などを受けることができます。
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・ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
短期間施設に宿泊し、入浴や食事等の日常生活上の支援、機能訓練などを受けることができます。
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・訪問看護
看護師などがご自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行います。
・訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などがご自宅を訪問し、心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います。
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車いすなどの福祉用具を借りることができます。
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3,施設サービスの種類
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
常に介護が必要な方に食事、入浴、排せつなどの日常生活支援や機能訓練などのサービスを提供します。費用は所得などによって異なりますが、経済的な負担が比較的少ないことが特徴です。原則として要介護3以上の方が利用できます。
・介護老人保健施設(老健)
リハビリテーションや医療、介護などを提供します。3カ月ごとに退所あるいは入所継続の判定が行われます。在宅復帰を支援する施設であるため、基本的に長期間の入居はできません。要介護1以上の方が利用できます。
・有料老人ホーム
「入浴・排せつ・食事などの介護」「食事の提供」「洗濯、掃除などの家事」「健康管理」のうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供しています。費用や入居時の要件は施設により異なります。
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・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住・サ付き)
ご高齢者が暮らしやすいバリアフリー構造の住まいです。ケアの専門家による「安否確認サービス」や「生活相談サービス」などが付いています。
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・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
少人数(5~9人)の認知症の方が、介護スタッフとともに共同生活を送る住居です。要支援2以上の認知症の方が利用できます。原則として施設が所在する市町村に居住する方が対象です。
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今からご家族とコミュニケーションをとっておきたいこと

普段、介護についてご家族で話す機会はなかなかないかと思いますが、ご本人が元気なうちから、お身体の状態や考えを知っておくことはとても大切です。
例えば、介護が必要になったときにどのような生活をしたいのか聞いておきましょう。人によって「迷惑をかけたくないから施設に入れてほしい」「最期まで自宅で過ごしたい」などそれぞれ意見が違うかと思います。
また、健康状態や服用しているお薬、収入や貯金、友人関係なども把握しておくと、いざ介護が必要になったときに役立ちます。
高齢のご家族と別居している場合や、頻繁に会えない場合は、様子の変化に気づかないことがあるため注意が必要です。そのような場合は、かかりつけ医やご近所の方などとコミュニケーションをとり、何かあったときは連絡をもらえるようにしておくことをおすすめします。
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