訪問介護(ホームヘルプ)サービスは、ご高齢者の在宅での生活を支えるために欠かせないサービスです。デイサービス、ショートステイと並んで「在宅3本柱」と呼ばれています。今回は、訪問介護(ホームヘルプ)サービスの内容や費用などについて、わかりやすく解説します。
訪問介護(ホームヘルプ)とは?
訪問介護(ホームヘルプ)は、訪問介護員(ホームヘルパー)や介護福祉士がご利用者様の居宅を訪問して、「身体介護」や「生活援助」などを行うサービスです。要介護1~5の認定を受けた方が利用できます。
なお、要支援1・2の方が利用できる介護予防訪問介護(介護予防のために身体介護と生活援助を合わせた訪問介護サービス)は、2014年度の介護保険制度の改正において地域支援事業の訪問型サービスに移行しています。
訪問介護(ホームヘルプ)のサービス内容
訪問介護(ホームヘルプ)では、身体介護(食事・入浴・排せつなどの介護)や生活援助(掃除・洗濯・調理・買い物などの家事)を受けることができます。
また、通院等乗降介助(通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス)を提供する事業所もあります。
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身体介護サービス
〇 ご利用者様の身体に直接接触して行う介助サービス
〇 日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のためにご利用者様とともに行う自立支援のためのサービス
〇 その他専門的知識・技術をもって行うご利用者様の日常生活上・社会生活上のためのサービス
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生活援助サービス
〇 身体介護以外の訪問介護であって、掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助
※ご利用者様が単身、またはご家族と同居していてもご家族が障がいや疾病などのため家事ができないなど、やむを得ない場合に行われます。
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通称「介護タクシー(介護保険タクシー)」と呼ばれるサービスです。
通院などの際に、訪問介護員等が運転する車両への乗車・降車の介助、乗車前や降車後の屋内外における移動等の介助、通院先や外出先での受診等の手続き、移動等の介助を行います。
必要性がある場合にケアプランに位置づけた上で利用できます。
※ 要介護1以上の方が対象です。
※ 介護保険の対象となるのは乗降などの介助のみで、運賃はご利用者様の自己負担となります。
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訪問介護で「受けられること」「受けられないこと」
訪問介護で受けられるサービス
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身体介護サービスの具体例
〇 食事・清拭・入浴・排せつの介助
〇 就寝・起床・更衣の介助
〇 整容介助
〇 体位変換
〇 通院、外出介助
〇 自立支援のための見守り援助
〇 特段の専門的配慮をもって行う調理(嚥下困難者のための流動食・糖尿食等の調理)
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生活援助サービス具体例
〇 掃除、洗濯、ベッドメイク
〇 衣類の整理・被服の補修
〇 一般的な調理・配下膳
〇 買い物・薬の受け取り
介護スタッフが対応できる行為の範囲
訪問介護に限らず介護現場では、爪切り、薬の内服介助、検温、血圧測定、座薬の挿入などの行為が必要になる場面も多くあります。しかしこれらの行為は、原則としてご家族以外は、医師や看護師などにしか許されていなかったため、医療スタッフの負担が大きくなっていました。
そこで、2006年度の介護保険制度改正以降、徐々に介護スタッフが対応できる行為の範囲が広くなってきています。原則として医療行為ではないと考えられるものは「身体介護サービス」として提供されます。
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原則として医療行為ではないもの
〇 体温計を用いた体温測定
〇 自動血圧測定器を用いた血圧測定
〇 パルスオキシメータの装着(新生児以外で入院治療の必要がない方)
〇 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等の、専門的な判断や技術を必要としない処置(汚物で汚れたガーゼ交換を含む)
〇 皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)
〇 皮膚への湿布の貼付
〇 点眼薬の点眼
〇 一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)
〇 肛門からの坐薬挿入
〇 鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助
〇 爪切り、爪ヤスリによるやすりがけ
〇 歯ブラシや綿棒などを用いた口腔清掃(重度の歯周病等がない場合)
〇 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去を除く)
〇 ストマ装具のパウチにたまった排泄物の廃棄(肌に接着したパウチの取り替えを除く)
〇 自己導尿を補助するためのカテーテルの準備、体位保持など
〇 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いた浣腸
たんの吸引や経管栄養については、一定の研修を受けて「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受けた介護職員等が、一定の条件下で実施することができます。
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訪問介護で受けられないサービス
介護保険の訪問介護(ホームヘルプ)の特徴は、「要介護者のご本人だけを対象としたサービスである」ということです。
そのため、ご家族の分の食事を作ったり、ご家族の部屋の掃除をしたりすることはできません。また、庭の草むしりやペットの散歩など、日常生活の援助に該当しない行為もできません。
家具の移動や電気器具の修理、大掃除、窓のガラス拭き、床のワックスがけ、家具の修理など日常的な家事の範囲を超える行為、商品の販売や留守番、農作業等の援助も対象外です。
訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金
訪問介護(ホームヘルプ)の利用料金は、サービス提供事業所の所在地、サービスの提供体制や内容、時間帯などによって異なります。
利用者負担は1割(一定以上の所得のある方の場合は2割または3割負担)です。
〇1回当たりの利用者負担(1割)の目安
身体介護 | 20分未満 | 165円 |
20分以上30分未満 | 248円 | |
30分以上1時間未満 | 394円 | |
1時間以上1時間半未満 | 575円 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 181円 |
45分以上 | 223円 | |
通院等乗降介助 | 98円 |
訪問介護(ホームヘルプ)サービスは、「受けられること」「受けられないこと」のわかりにくさもあり、戸惑われるご利用者様やご家族も多くいらっしゃいます。しかし、大変なことが多い在宅介護。ぜひ、訪問介護(ホームヘルプ)サービスの内容をしっかりと理解して、より充実した在宅生活を送るためにご活用いただきたく思います。
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。
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