ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)とは?サービス内容や利用メリット・費用感をご紹介

出張や冠婚葬祭などで一時的に在宅介護ができないときに役立つのが、施設に短期間(ショート)だけ滞在(ステイ)できるサービス「ショートステイ」。今回は、ご家族が「介護に疲れたので少し休みたい」「たまには介護から離れてリフレッシュしたい」というときにも利用できるショートステイについて解説します。

ショートステイとはどんなサービス?

ショートステイとはどんなサービス?

ショートステイとは

ショートステイは、ご自宅で生活する介護を要する方が施設に短期間だけ宿泊し、日常生活上の支援や機能訓練(※)などを受けることができるサービスです。
「短期入所生活介護」または「短期入所療養介護(医療的ケアが必要な方向け)」と呼ばれることもあります。
ショートステイサービスは、さまざまな事情で一時的に在宅介護が難しくなったときに、1泊2日から最長で連続29泊30日まで利用が可能です。

(※)ご高齢者の機能訓練とは?
日常生活を営むために必要な機能の維持・向上を目的として行う訓練のことです。
ご高齢者の日常生活に必要な機能を維持・向上する機能訓練とは?


ショートステイの利用対象者

介護保険のショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)は、要介護1~5の認定を受けている方が対象となります。
要支援1・2の方は「介護予防短期入所生活介護」や「介護予防短期入所療養介護」が利用できます。

※「短期入所療養介護」と「介護予防短期入所療養介護」は、医療的ケアが必要な方向けのサービスです。

ショートステイの主なサービス内容

  • ・食事
    ・入浴
    ・排せつの介助
    ・健康状態の確認(体温・血圧・脈拍などのチェック)
    ・レクリエーション(身体機能の維持・向上や脳の活性化などを目的とした活動)
    ・機能訓練(身体機能や生活機能を維持・向上するために行う訓練)
    ・口腔機能向上サービス(お口のケアや指導、お口の働きを高める訓練など)
    ・生活などに関する相談や助言(生活相談員等が相談に応じます)
    ・医療的なケア(短期入所療養介護の場合)

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ショートステイの1泊2日の流れ(一例)

1日目
8:30~ 送迎
スタッフが送迎車でご自宅まで伺います。
9:00~ 健康状態の確認
10:00~ 体操などの活動・休憩(水分補給
10:00~ 入浴・機能訓練など
12:00~ 昼食
14:00~ レクリエーション
15:00~ おやつ
18:00~ 夕食
19:00~ 自由時間
21:00~ 就寝
2日目
6:00~ 起床・着替え・洗面など
7:00~ 健康状態の確認
8:00~ 朝食
10:00~ 体操などの活動
12:00~ 昼食
14:00~ レクリエーション
15:00~ おやつ
16:30~ 送迎
スタッフが送迎車でご自宅までお送りします。

ショートステイの居室の種類

ショートステイは居室のタイプもさまざまで、「従来型個室」「多床室」「ユニット型個室」「ユニット型個室的多床室」があります。


従来型個室
居室が個室になっており、プライバシーを保つことができます。
洗面台やトイレは室内に設置されている場合がほとんどです。

多床室
1部屋2人以上4人以下の相部屋で、カーテンなどで仕切ることができます。
共用スペースに食堂や浴室、機能訓練室などがあります。

ユニット型個室
居室は個室で、居室の前に共有のリビングスペースがあります。
少人数(10人ほど)のグループをひとつの生活単位(ユニット)としてケアを行います。
アットホームな環境で、ほかの利用者や顔なじみのスタッフとコミュニケーションを取りやすいことが特徴です。

ユニット型個室的多床室
プライバシーに配慮し、多床室を固定の壁で仕切っています。しかし、天井と壁の間に一定の隙間があるため、完全な個室としての条件は満たしていません。
ほかの設備やサービス内容はユニット型個室と同様です。

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ショートステイを利用できる期間は?

短期間だけ施設に泊まれるショートステイ。では「短期間」とはどのくらいの期間なのでしょうか。
介護保険制度では、ショートステイの利用日数に以下のような制限があります。

  • 介護認定有効期間のおおむね半数を超えてはいけない
    ・連続利用する場合の日数は30日を超えてはいけない

「介護認定有効期間」とは要介護認定の有効期間のことです。新規申請や区分変更申請の場合は原則6カ月(状態などにより12カ月)、更新申請の場合は原則12カ月(状態などにより36カ月)となっています。
しかし、やむを得ない事情があり、サービスの利用が必要と認められる場合は、これを上回る日数の利用が可能になることもあります。

最長で連続30日までの利用が可能ですが、実際には要介護度に応じた保険給付の限度額までとなります。限度額を超えてサービスを利用する場合は全額自己負担となってしまうため注意が必要です。ショートステイを含めた介護サービスの利用については、担当のケアマネジャーとよく相談しましょう。



ショートステイの種類と特徴

ショートステイの種類と特徴

ショートステイには、「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」とがあります。また、介護保険適用外の「有料ショートステイ」を提供する施設もあります。


短期入所生活介護

「短期入所生活介護」では、食事・入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などを受けることができます。サービスを提供する施設は「併設型」「単独型」の2つに分けられます。


「併設型」施設
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設に併設されているタイプです。
その施設でほかのサービス(デイサービスなど)を利用している場合は、通い慣れた場所で宿泊できるというメリットがあります。
なお、施設の入居者が一時帰宅などで居室が空いたときに利用できるショートステイは、「空床利用型ショートステイ」と呼ばれています。

「単独型」施設
上記の「併設型」のように特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入居型施設に併設されていない事業所です。
同じフロアでショートステイサービスのみ提供しています。


短期入所療養介護

「短期入所療養介護」では、医療や看護、理学療法士等による機能訓練、日常生活上の支援などを受けることができます。
療養生活の質の向上ご家族の介護負担軽減などを目的としており、医療機関や介護老人保健施設(老健)、介護医療院などがサービスを提供します。 医療的ケアが必要な方にも対応しているため、「医療型ショートステイ」と呼ばれることもあります。


有料ショートステイ

一部の有料老人ホームなどで提供される介護保険適用外のショートステイです。
介護保険適用外の有料ショートステイを利用する場合、費用はすべて自己負担となります。


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ショートステイを利用する目的とメリット

ショートステイを利用する目的とメリット

ショートステイは、介護するご家族の負担軽減だけでなく、利用するご本人のQOL(生活の質)の向上も目的としています。ご家族とご本人がお互いに無理せずご自宅で生活していくためにも、ショートステイを上手に活用しましょう。

ショートステイの目的

  • ・ご家族の身体的・精神的負担の軽減
    ・ご本人の心身機能の維持・向上
    ・ご自宅にこもりがちな方の社会的孤立感の解消
    ・療養生活の質の向上(短期入所療養介護の場合)   など

ショートステイのメリット

介護するご家族の負担が軽くなる

ショートステイは、ご家族の病気や急用で介護できなくなったときはもちろん、休息や旅行、趣味・文化活動などのために利用することもできます。
在宅介護をしていると、「最近ちょっと疲れているな...」「たまには介護から離れたいな」と感じることもあるものです。そんなときにぜひ活用していただきたいのがショートステイサービスです。一時的に宿泊するほか、定期的に宿泊するという活用方法もあります。
また、生活相談員などがご家族からの相談にも対応しているため、介護や生活全般に関する不安の解消にも役立ちます。
施設では送迎も行っていますので、ご家族による送り迎えが難しい場合も安心です。(施設により送迎の範囲が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。)


ご本人も気分転換できる

ショートステイでは、ご本人の身体状況に合わせた入浴や食事、機能訓練などを提供しています。規則正しい生活や適度な運動、栄養バランスのとれた食事は、ご本人の心身機能の維持・向上につながります。
楽しいイベントやレクリエーション、地域との交流なども行われていますので、気分転換できるとともに、コミュニケーションのきっかけになります。
将来的に施設への入居を検討している場合は、ショートステイを利用して施設の生活を体験し、少しずつ環境に慣れていただくのもよいでしょう。


ショートステイはこんなときにおすすめ

介護するご家族

・仕事の事情や出張など
・冠婚葬祭やご旅行
・体調不良や介護疲れ
・レスパイトケア(介護者の休息やリフレッシュ)


介護が必要なご利用者様

・心身の状況や病状が悪い
・退院直後で在宅介護に不安がある
・施設に入居する前に環境に慣れておきたい
・特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入居待機をしている


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ショートステイの費用はどれくらい?

ショートステイの費用はどれくらい?

ショートステイは介護保険が適用されます。
多くの方の自己負担額は、介護保険サービス利用料金全体の1割で、一定以上の所得がある方は2割または3割となります。
食費と居住費等は原則自己負担となりますが、「介護保険負担限度額認定証(※)」をお持ちの方は、証書をご提示いただくことで利用料が軽減されることがあります。

(※)「介護保険負担限度額認定証」とは?
ショートステイを利用したとき、一定の要件を満たした方を対象に食費と居住費が軽減されます。
(申請が必要です。詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。)
対象となる方の所得状況などに応じて「利用者負担段階(第1~第4段階)」に区分され、その段階区分ごとに負担限度額が決められます。(※介護保険料の所得段階とは異なります。)

1泊2日あたりのおおよその利用料<基本額+送迎加算(往復)+食費+滞在費>

個室ご利用の場合

料金
第4段階(認定証無し) 負担限度額区分
要介護度 居室の種類 1割負担 2割負担 3割負担 第1段階 第2段階 第3段階
要支援1 個室 10,180円 11,588円 12,994円 1,240円 3,030円 4,350円
要支援2 個室 10,424円 12,076円 13,728円 1,240円 3,274円 4,594円
要介護1 個室 10,528円 12,284円 14,040円 1,240円 3,378円 4,698円
要介護2 個室 10,676円 12,580円 14,482円 1,240円 3,526円 4,846円
要介護3 個室 10,828円 12,882円 14,938円 1,240円 3,678円 4,998円
要介護4 個室 10,976円 13,178円 15,380円 1,240円 3,826円 5,146円
要介護5 個室 11,120円 13,468円 15,816円 1,240円 3,970円 5,290円

多床室(2人部屋)ご利用の場合

料金
第4段階(認定証無し) 負担限度額区分
要介護度 居室の種類 1割負担 2割負担 3割負担 第1段階 第2段階 第3段階
要支援1 多床室(2人部屋) 6,380円 7,788円 9,194円 600円 2,930円 3,450円
要支援2 多床室(2人部屋) 6,624円 8,276円 9,928円 600円 3,174円 3,694円
要介護1 多床室(2人部屋) 6,728円 8,484円 10,240円 600円 3,278円 3,798円
要介護2 多床室(2人部屋) 6,876円 8,780円 10,682円 600円 3,426円 3,946円
要介護3 多床室(2人部屋) 7,028円 9,082円 11,138円 600円 3,578円 4,098円
要介護4 多床室(2人部屋) 7,176円 9,378円 11,580円 600円 3,726円 4,246円
要介護5 多床室(2人部屋) 7,320円 9,668円 12,016円 600円 3,870円 4,390円

多床室(4人部屋)ご利用の場合

料金
第4段階(認定証無し) 負担限度額区分
要介護度 居室の種類 1割負担 2割負担 3割負担 第1段階 第2段階 第3段階
要支援1 多床室(4人部屋) 6,380円 7,788円 9,194円 600円 2,930円 3,450円
要支援2 多床室(4人部屋) 6,624円 8,276円 9,928円 600円 3,174円 3,694円
要介護1 多床室(4人部屋) 6,728円 8,484円 10,240円 600円 3,278円 3,798円
要介護2 多床室(4人部屋) 6,876円 8,780円 10,682円 600円 3,426円 3,946円
要介護3 多床室(4人部屋) 7,028円 9,082円 11,138円 600円 3,578円 4,098円
要介護4 多床室(4人部屋) 7,176円 9,378円 11,580円 600円 3,726円 4,246円
要介護5 多床室(4人部屋) 7,320円 9,668円 12,016円 600円 3,870円 4,390円

※上記は東京都八王子市館町にある「あずみ苑 館町(ショートステイ)」の利用料を参考掲載しています。
※午前中に入所、翌日夕方に退所、施設送迎を行った場合の料金です。
※別途、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)、介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)のほか、ご利用内容により加算されます。



ショートステイご利用の流れ

ショートステイご利用の流れ

「ショートステイを利用してみようかな」「まずどうすればいいの?」という方に向けて、ショートステイご利用の基本的な流れをお伝えします。

要介護認定を受ける

介護保険サービスのショートステイを利用するためには、要介護認定を受けることが必要です。
まずお住まいの市区町村や地域包括支援センター等へ申請しましょう。申請後に認定調査(聞き取り調査)や審査判定が行われ、市区町村が要介護度を決定します。


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担当のケアマネジャーに相談する

当のケアマネジャーにショートステイの利用を検討していることを相談し、ご本人とご家族の希望や状況を伝えましょう。


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利用したい施設を選ぶ

担当のケアマネジャーがご本人の身体状況などに合った施設を探してくれます。ご本人やご家族が利用したい施設を選ぶことも可能です。事前に情報を集め、施設の見学をするのもよいでしょう。


利用申し込みをする

利用したい施設を選択したら、担当のケアマネジャーがご本人の、事前情報を施設に提供し、空き状況や受け入れが可能かどうかなどを確認して予約をします。


面談・契約

ショートステイを初めて利用する場合は、施設の担当者がご自宅を訪問し、ご本人やご家族と面談を行います。
サービスの利用が決定したら、担当のケアマネジャーが作成したケアプラン(介護サービス計画)に基づいたサービスの利用を開始します。
※ショートステイのご利用には事前予約が必要です。予約が取りにくい場合もあるため、できるだけ早めに担当のケアマネジャーに相談をしましょう。


ショートステイご利用時の主な持ち物

  • 〇必要書類(介護保険証・負担割合証・負担限度額認定証・診察券・おくすり手帳など)
    〇1回分ずつ小分けにしたお薬(服用中のお薬・ぬり薬・貼り薬・目薬など)
    〇衣類(部屋着・パジャマ・下着・靴下など)
    〇内履き(かかとのあるもの)
    〇タオル(バスタオル・フェイスタオルなど)
    〇身だしなみ用品(ヘアブラシ・化粧品・電気シェーバー・ティッシュペーパーなど)
    〇日用品(眼鏡・眼鏡ケース・コップ・歯磨きセットなど)
    〇入れ歯・入れ歯洗浄剤・入れ歯ケースなど(必要な方)
    〇車椅子・歩行器・杖・補装具・補聴器など(必要な方)
    〇袋類(洗濯物などを入れるもの)

    ※必要書類や持ち物については、施設のご利用案内を確認しましょう。
    すべての持ち物に、あらかじめ大きくお名前(フルネーム)を書いておきましょう。


「あずみ苑」のショートステイとは

「あずみ苑」の ショートステイでは、スタッフや同年代のお仲間たちとの出会いをはじめ、ご自宅にいる時にはできないことを、さまざまなかたちで楽しんでいただき、心身ともにリフレッシュしていただけます。


「あずみ苑」のショートステイの特徴

ショートステイ・デイサービス併設の施設がある

「あずみ苑」には、ショートステイと日帰りのデイサービスが併設している施設があり、ショートステイとデイサービスを組み合わせて利用することも可能です。

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温かな笑顔のあふれたお食事

「あずみ苑」でのお食事は、お仲間やスタッフたちに囲まれ、楽しいお喋りに花を咲かせながらいただくスタイルです。
ご利用いただくお客様の健康に配慮した手作りの味を毎日提供しています。時には、みんなで育てた野菜や一緒に作ったパンが食卓に並ぶことも。旬の素材を使ったメニューや慣れ親しんだ郷土料理、特別な日のイベント食なども好評です。


季節のイベント&レクリエーション

「あずみ苑」では、お客様の想いに応える手作りのイベントやレクリエーションを大切にしています。
四季折々のイベントや、もの作りの楽しさを体験いただける創作活動、地域の方々との交流などを通じて、皆様に笑顔をお届けしています。

レクリエーションのご様子は、「あずみ苑スタッフぶろぐ」や「あずみ苑公式Facebookページ」からご覧いただけます。


多様な介護サービスのご提供

関東・中部エリアを中心に87施設を運営している「あずみ苑」では、お客様の幅広いニーズにお応えできるよう、ショートステイ以外にも多様な介護サービスをご提供しています。

  • 「あずみ苑」の介護サービス
    有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、ショートステイ、居宅介護支援、訪問介護、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護

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▶メールフォームでのお問い合わせ
https://www.azumien.jp/contact/form/


▶電話でのお問い合わせ
0120-987-066(受付時間:平日9時~18時)



ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)とは?サービス内容や利用メリット・費用感をご紹介

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