「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「有料老人ホーム」「グループホーム」の違いとは?

いざ介護を受けられる施設を探そうと思っても、種類が多く、違いも分かりにくい...。
そこで今回は「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」「介護老人保健施設」「有料老人ホーム」「グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」のそれぞれの違いをわかりやすく解説します。

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは?

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは?

特別養護老人ホーム(略して「特養」)は、老人福祉法のもとでは「特別養護老人ホーム」、介護保険法のもとでは「介護老人福祉施設」と呼ばれています。

特別養護老人ホームの特徴

特別養護老人ホームでは、施設に入所し、入浴・排せつ・食事などの介護、機能訓練、健康管理及び療養上のケアを受けることができます。

公的な施設であるため、民間の施設と比較すると費用が安価なのが特徴です。また、入所期間に制限がなく、医療行為が発生しない限り※終身利用が可能です。居室には、個室(または準個室)の「ユニット型」や4人部屋等の「多床室」などがあります。

※看護の配置は必須ではないため、事業者により異なります

特別養護老人ホームの種類

大きく分けて「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特別養護老人ホーム」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つに分類されます。

広域型特別養護老人ホーム
定員が30名以上の特別養護老人ホームです。居住地域に制限がなく、どの地域に住んでいても申し込むことができます。

地域密着型特別養護老人ホーム
定員が29名以下の小規模な特別養護老人ホームです。原則として事業者が所在する市町村に居住する方が申し込めます。

地域サポート型特別養護老人ホーム
対象地域で在宅介護を受けているご高齢者を対象に、24時間体制で見守りや相談業務などを行う特別養護老人ホームです。

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特別養護老人ホームの入所条件

基本的には地方公共団体と社会福祉法人に限って設置運営が認められています。原則として入所対象者は、要介護3以上のご高齢者としていますが、設立・運営を通して公的支援や税法上の優遇措置を受けるため公共性が高く、低所得者や単身者を優先的に受け入れます。民間の有料老人ホームと異なり、入所時の費用がなく、低料金であることから希望者が多いため、2015年度以降の新規入所者については原則として要介護3以上のご高齢者に限定されました。
2019年4月1日時点の特別養護老人ホームの入所待機者数(要介護3~5の入所申込者)は、約29.2万人(特例入所対象者3.4万人を加えると約32.6万人)となっています。

▼関連リンク
厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」(2019年)

※特例入所対象者とは
居宅での生活が困難なことについてやむを得ない事由があると認められる要介護1・2の方のこと。


特別養護老人ホームの人員基準

           
医師入所者に対し健康管理および療養上の指導を行うために必要な数(非常勤可)
看護・介護職員入所者数が3またはその端数を増すごとに1人以上
栄養士1人以上
機能訓練指導員1人以上
介護支援専門員1人以上(入所者の数が100またはその端数を増すごとに1を標準とする

介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設(略して「老健」)は、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)と同じく公的な介護保険施設のひとつです。

介護老人保健施設(老健)の特徴

医療機関と居宅の中間的な役割を持つ施設で、在宅復帰を目指している要介護の方が入所対象となります。
そのため、医師や看護職員が配置されており、老人ホームなどに比べると医療ケアが手厚くなっています。また、作業療法士や理学療法士も常駐してリハビリテーションを提供し、ご家庭への復帰を支援します。

施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護や機能訓練(リハビリテーション)、その他の必要な医療、日常生活上のサポートなどを受けることができます。
入所のほかに、ショートステイ(短期入所療養介護)やデイケア(通所リハビリテーション)などの利用も可能です。

公的な施設であるため、入所時の費用はありません。特別養護老人ホームよりは費用が高めですが、民間施設と比較すると安価になります。

介護老人保健施設(老健)の入所条件

原則65歳以上で要介護認定(要介護1~5)を受けており、病状が安定していて入院治療の必要がなく、リハビリテーションを必要とされる方が対象となります。
(施設によって入所条件が異なる場合があるため、事前にご確認ください。)

介護老人保健施設(老健)の人員基準

医師 常勤1以上、100対1以上
薬剤師 実情に応じた適当数(300対1を標準とする)
看護・介護職員 3対1以上、うち看護は2/7程度
支援相談員 1以上、100対1以上
理学療法士、
作業療法士
または言語聴覚士
100対1以上
栄養士 入所定員100以上の場合、1以上
介護支援専門員 1人以上(100対1を標準とする)
調理員、事務員
その他の従業者
実情に応じた適当数


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ライター:山下 優子
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。

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