暮らしをもっと豊かに!介護保険の福祉用具と利用手順

福祉用具はご高齢者ご本人の自立を助けるとともに、介護者であるご家族の身体的な負担を減らしたり、活動の範囲を広げたりするために有効です。今回は、介護保険を利用してレンタルや購入ができる福祉用具についてみていきましょう。

介護保険で利用できる福祉用具

介護保険で利用できる福祉用具


介護保険における福祉用具は、貸与(レンタル)を基本としています。その理由は、身体の状態が変わったときにその状態に合ったものに借り換えられるためです。使用後に、事業者が消毒や点検・整備して、次の方の手に渡ります。 ただし、直接肌に触れたり、何度か使うと形状等が変わってしまったりする入浴や排せつに関する福祉用具など、貸与(レンタル)になじまないものは購入対象品となります。

介護保険でレンタルできるもの(制度名:福祉用具貸与)

               
福祉用具 給付対象者
要支援要介護度
2345
車いすおよびその付属品
特殊寝台(介護用ベッド)およびその付属品
床ずれ(褥瘡)防止用具
体位変換器 
認知症老人徘徊感知機器(外部との通信機能を除く)
移動用リフト(つり具の部分を除く)
手すり(工事不要のもの)
スロープ(工事不要のもの)
歩行器
歩行補助杖
自動排泄処理装置 排便機能を有するもの
それ以外のもの

※一定の条件に該当する方は、例外的に保険給付の対象となる場合もあります。

介護保険で購入できるもの(制度名:特定福祉用具販売)

  • ・腰掛便座
    ・入浴補助用具
    ・簡易浴槽
    ・移動用リフトのつり具の部分
    ・自動排泄処理装置の交換可能部分


福祉用具貸与・販売の利用者負担

福祉用具貸与

  • 福祉用具貸与の利用者負担は、貸与価格の1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)です。

    福祉用具の貸与価格は上限が設定されており、商品ごとの全国平均貸与価格や貸与価格の上限は公表されています。

特定福祉用具販売

  • 都道府県等の指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入したもののみが給付の対象です。

    利用者がいったん購入金額の全額を支払い、その後に申請をして費用の9割(一定以上の所得がある場合は8割または7割)が介護保険から払い戻される「償還払い(しょうかんばらい)」を原則としています。

    福祉用具購入費の利用限度額は、1年間(毎年4月1日から翌年3月31日)につき10万円までです。10万円を超えた分については全額自己負担となります。

介護保険での利用手順

介護保険での利用の手順


介護保険で福祉用具をレンタルや購入するためには、まず市区町村から要介護認定を受けることが必要です。

要介護度が決まったら、次にケアマネジャー(介護支援専門員)ケアプランの作成を依頼します(個人でも作成可能です)。そのケアプランのなかで、利用サービスとして「福祉用具貸与」「特定福祉用具販売」が必要か検討・判断されることで、初めて利用できる段階になります。

ケアマネジャーは、ご本人とご家族の希望などを確認しながら、福祉用具専門相談員の助言を受けて福祉用具を選定し、ケアプランに位置付けていきます。


厚生労働省「福祉用具貸与・販売の流れ」

出典: 厚生労働省「福祉用具貸与・販売の流れ」

福祉用具専門相談員とは

福祉用具専門相談員とは

利用者が心身状況や生活環境に適した福祉用具を選ぶための支援をするのが「福祉用具専門相談員」です。介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に2名以上配置することが義務付けられています。

「福祉用具専門相談員」は、福祉用具の選定相談(アセスメント)や計画作成(プランニング)、調整と取り扱いについての説明、定期的な訪問確認(モニタリング) などを行います。

また「機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示すること」「利用者に交付する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付すること」「貸与しようとする商品の特徴や貸与価格、当該商品の全国平均貸与価格も利用者に説明すること」が義務づけられています。

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介護保険福祉用具レンタルの注意点

福祉用具のレンタル商品を購入に変更することを推奨するという事例が報告されていますのでご注意ください。


福祉用具専門相談員とは

出典:一般社団法人 日本福祉用具供給協会


「介護用ベッドを使うことで自分で起きられるようになった」「車いすを使うことで外出する機会が増えた」など...福祉用具は上手に使うことで「困難になったこと」を補い、生活を豊かにしてくれるものです。ケアマネジャーや看護師、福祉用具専門相談員などの専門家とともにご自分に合ったものをぜひ探してみてください。

ライター:山下 優子
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。

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