介護疲れを軽減してストレスと上手に付き合うためのセルフケア

介護を無理なく続けるためには、介護する側も心身の負担を軽減して、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。今回は、介護疲れを感じているご家族、介護施設で働く方などが手軽に行えるセルフケアやリラクゼーション法をご紹介します。

セルフケアの基本

セルフケアの基本

ストレスマネジメント

自分自身でストレス反応に気づき、ストレスとどのように付き合っていくかを考えて適切に対処することを「ストレスマネジメント」といいます。

リラクゼーション

呼吸法やヨガ、アロマテラピーなど、さまざまなリラクゼーション法がありますが、その中から自分に合った方法を見つけて実践します。

ストレッチ

ストレスで身体に力が入ったり、同じ姿勢を長時間続けたりすると、血流が悪くなります。筋肉をゆっくり伸ばすストレッチを意識的に取り入れると、身体がほぐれて心もリラックスできます。

適度な運動

無理なく行える運動法を見つけて楽しみながら続けることは、気分転換やストレス解消に役立ちます。忙しいときは、ちょっと散歩に出るだけでも心身ともにリフレッシュできます。

快適な睡眠

必要な睡眠時間には個人差がありますが、起きたときに気持ちがよく、日中眠くならない睡眠を「快適な睡眠」といいます。在宅介護をされている場合は、デイサービスなどの介護サービスも活用し、短時間でも昼寝の時間を確保するとよいでしょう。

親しい人たちとの交流

悩みごとはご家族や友人、知人など親しい人たちと話して、ひとりで抱え込まないようにします。同じ立場の人が集まる家族会や介護教室などに参加して、介護について話してみると気持ちが楽になるかもしれません。また、ご近所の方との交流も普段から心がけておくと、いざというときに協力を求めやすくなります。

笑う

笑う

「笑い」には、免疫力を高めるなどの効果があるといわれています。日常生活に笑いを取り入れる工夫をしてみましょう。


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仕事から離れた趣味を持つ

自分の好きなことを楽しむ時間や、仕事以外の人間関係を大切にしましょう。自分の時間が持てない場合は、介護保険サービスのほか、介護保険外のサービスなども活用して、自分の時間を確保することが重要です。


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相談する

介護疲れを感じるときは、早めに地域包括支援センターやケアマネジャーなどに相談してみましょう。


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セルフケアに役立つリラクゼーション法

セルフケアに役立つリラクゼーション法

腹式呼吸

腹式呼吸は、短時間で簡単に行うことができるリラクゼーション法です。 ストレスがたまっているときや緊張しているときに深い呼吸(腹式呼吸)をすると、副交感神経が優位に働くため、心身をリラックスさせることができます。

① 両手をお腹に当てます。
② お腹をへこませながら、ゆっくりと息を吐き切ります。
③ お腹をふくらませるイメージで、鼻から息を吸います。
④ 再びゆっくりと口から息を吐き、お腹をへこませます。

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マインドフルネス

マインドフルネス

マインドフルネスとは、「今この瞬間」に意識を向けて、余計な考えにとらわれない状態のことです。
マインド(心)がフル(完全)に働いているということで、そのような状態に達するために行われる瞑想(めいそう)を「マインドフルネス瞑想」といいます。
マインドフルネスのベースは仏教の瞑想ですが、アメリカで医学的なプログラムが開発され、ストレス対策などに活用されるようになりました。
過去や未来ではなく「今」に集中することで脳が休まり、ストレス軽減などにつながるといわれています。
マインドフルネス瞑想にはさまざまなプログラムがありますが、ここではもっとも基本的な「呼吸の瞑想」をご紹介します。

事前準備

・静かで落ち着ける環境を選びます。
・装飾品はとり外し、できれば身体をしめつけない服を着ます。
・食事や排泄(トイレ)は済ませておきます。
※持病をお持ちの方は必ず事前に医師に相談してください。

呼吸の瞑想

① 身体に負担のかからない楽な姿勢をとり、背筋を伸ばします。目は軽く閉じるか、薄く開けます。
② お腹の動きに意識を向け、ふだん通りに呼吸をします。
③ 呼吸だけに集中しましょう。呼吸を通じて身体の感覚が変化することに気づき、雑念に反応しないようにします。
④ 続けられるところまで行い、目を開けます。

自律訓練法

自律訓練法

自律訓練法(じりつくんれんほう)とは、自己暗示によって心身の緊張を和らげ、リラックスさせる訓練法のことです。
ドイツの精神科医シュルツ博士が開発した自律訓練法は、1950年代に日本に紹介され、今日では医療機関(心療内科など)で治療法として用いられています。また、ストレスの対処法、予防法としてテレビなどでもとりあげられ、さまざまな領域で活用されています。

事前準備

・静かで落ち着ける環境を選びます。
・排泄(トイレ)は済ませておきます。
・時計やネックレス、メガネなどを外し、ネクタイ、ベルトなどは緩めます。
・平らで滑らない場所で、背もたれのある安定したいすに座り(または仰向けに寝て)、全身の力を抜きます。
※持病をお持ちの方は必ず事前に医師に相談してください。

自律訓練法の公式

軽く目を閉じて、深呼吸を2~3回します。
気持ちが落ち着き始めたら、以下の言語公式(決められた言葉)を順番に心の中で唱えていきます。
標準練習の公式は6つありますが、最初は第2公式まで練習してみましょう。1回の練習は3~5分です。

背景公式 「気持ちが落ち着いている」という言葉を、心の中でゆっくりと3回ほど繰り返します。
第1公式 右腕に意識を向けて「右腕が重たい」と3回ほど繰り返し、右腕が重い感覚を確かめましょう。
同様に「左腕が重たい」→「右脚が重たい」→「左脚が重たい」と順番に暗示をかけていきます。
第2公式 右腕に意識を向けて「右腕が温かい」と繰り返し、右腕がポカポカしてくる感覚を確かめましょう。
同様に「左腕が温かい」→「右脚が温かい」→「左脚が温かい」と順番に暗示をかけていきます。
第3公式 「心臓が静かに規則正しく打っている」
第4公式 「楽に息をしている」
第5公式 「お腹が温かい」
第6公式 「額が心地よく涼しい」
消去動作
(終了動作)
目を閉じたまま、両手を強く握り、ぱっと開きます。これを何度か繰り返します。
肩や首を大きく回したり、両肘の曲げ伸ばしをしたりします。大きく伸びをし、2~3回深呼吸をしたら目をあけましょう。
(寝る直前に行う場合は、消去動作をせずにそのまま眠りについてもよいでしょう。)
ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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