シルバー人材センターは、高齢の方(会員)の生きがいの充実や生活の安定、地域社会への貢献を目的として、会員に働く機会を提供しています。今回は、シルバー人材センターが提供するお仕事の種類や利用方法などについてお伝えします。
シルバー人材センターとは

シルバー人材センターは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づいて事業を行う公益法人です。都道府県知事の指定を受けており、原則として市区町村単位に置かれています。
シルバー人材センターの理念
「自主・自立・共働・共助」を基本理念としています。
地域の高齢者(会員)が自主的・主体的に組織し、お互いに助け合いながら運営しています。
シルバー人材センターの目的
高齢者(会員)が経験や知識を生かしながら働くことを通じて、生きがいや健康を保ち、地域社会に貢献することを目的としています。
シルバー人材センターの目的 |
高齢者の生活の充実 ・高齢者の生きがいの充実、健康の維持・増進を図る ・高齢者の経済的な生活の安定を図る 地域社会への貢献 ・高齢者が地域社会の担い手として活躍し、地域社会の維持・発展を図る ・育児や介護などの分野で高齢者が働くことで、現役世代の活躍を推進する ・サービス業などの分野で高齢者が働くことで、企業などの人手不足の解消を図る |
シルバー人材センターのしくみ

シルバー人材センターのお仕事
シルバー人材センターでは、家庭や企業、公共団体などから、高齢の方にふさわしい仕事を引き受けて会員に提供しています。
また、ボランティア活動や介護事業、独自事業などを実施しているシルバー人材センターもあります。
主なお仕事例
技術分野 | 学習教室の講師、翻訳・通訳など |
技能分野 | 植木剪定、大工仕事、ペンキ塗りなど |
事務分野 | 一般事務、パソコン入力、宛名書きなど |
管理分野 | 建物の管理、駐輪場の管理、施設の管理など |
折衝外交分野 | 販売員、電気・ガスなどの検針など |
一般作業分野 | 除草・草刈り、屋内・屋外清掃、包装・梱包など |
サービス分野 | 家事サービス、福祉サービス、育児サービスなど |
お仕事の内容はシルバー人材センターごとに異なります。
詳しくは、お住まいの各市区町村のシルバー人材センターにお問い合わせください。
シルバー人材センターの就業時間
シルバー人材センターが提供するのは、臨時的かつ短期的(おおむね月10日以内)、または軽易な(おおむね週20時間未満)のお仕事です。
2016(平成28)年からは法改正によって、都道府県知事が指定した場合に「派遣」と「職業紹介」に限り、週40時間までの就業が可能となりました。
シルバー人材センターの働き方
▼出典:厚生労働省「シルバー人材センターの適正就業ガイドライン」
就業形態は基本的に「請負」または「委任」ですが、「派遣」や「職業紹介」などもあります。
請負・委任 |
シルバー人材センターが発注者から請負・委任で業務を受注し、会員は再請負・再委任の形で働きます。 発注者と会員の間、シルバー人材センターと会員の間に雇用関係はありません。 発注者は会員に指揮命令できません。 |
派遣 |
シルバー人材センターが発注者から業務を受注し、発注者と労働者派遣契約、会員と雇用契約を締結して、会員を発注者の元へ派遣します。 シルバー人材センターが会員を雇用します。発注者は会員に指揮命令できます。 |
職業紹介 |
シルバー人材センターが会員(または会員以外の高齢者)を発注者に職業紹介し、発注者が職業紹介された会員を雇用します。 発注者が会員などを雇用します。発注者は会員などに指揮命令できます。 |

シルバー人材センターで得られる収入
仕事量に応じてシルバー人材センターから配分金(報酬)が支払われます。
ひと月に得られる収入(配分金)は全国平均で、3~5万円ほどです(月8~10日就業した場合)。
なお、シルバー人材センターで収入を得ても年金は受け取ることができます。ただし、収入(配分金)は雑所得となり、確定申告が必要になる場合があります。
シルバー人材センターのメリット
・会員の方の希望や経験、能力などに応じた働き方ができる
・豊富な知識や経験、技能を活かすことができる
・技能や技術を高めるための講習を受講できる
・ボランティア活動やサークル活動などにも参加できる
シルバー人材センターの注意点
・「請負」「委任」の業務に従事する場合は、シルバー人材センター・会員・発注者のいずれの間にも雇用関係は発生しません。そのため、社会保険や労災保険の適用はありません。
・一定の就業日数や収入の保障はありません。
シルバー人材センターの利用方法

会員になるには
お住まいの市区町村のシルバー人材センターに入会する必要があります。
入会の条件
-
・原則60歳以上の健康で働く意欲のある方
・シルバー人材センターの趣旨に賛同する方
・入会説明を受けて、入会申込書を提出した方(理事会の入会承認が必要)
・定められた会費を納入した方
「請負」「委任」の契約で就業する場合は雇用関係がないため、労災保険(労働者災害補償保険)が適用されません。そこで会員の方は、就業中や移動中の事故などに備えてシルバー保険(傷害保険・損害保険)に加入する必要があります。
日本では少子高齢化がさらに進行し、労働力人口が減少すると見込まれています。そうした中、シルバー人材センターは、今後ますます重要な役割を担うことが期待されています。
シルバー人材センターに入会を希望される方は、お住まいの市区町村のシルバー人材センターへお問い合わせください。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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