ご高齢者に多い皮膚の病気とスキンケアのポイント

2026/04/13

年齢を重ねると皮膚のうるおいを保つ機能が低下し、肌が乾燥しやすくなります。また、免疫力の低下などにより、皮膚の感染症にかかるリスクが高くなります。今回は、高齢の方に多い皮膚の病気とスキンケアのポイント、予防のためにできることをお伝えします。

ご高齢者がかかりやすい皮膚の病気

ご高齢者がかかりやすい皮膚の病気

老人性乾皮症(ろうじんせいかんぴしょう)

老人性乾皮症とは、加齢によって皮膚が乾燥した状態のことです。
皮膚の最も外側にある「角層」には、体内の水分の蒸発を防いで保持する機能があります。
角層の水分は「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」によって保たれていますが、加齢とともにこれら3つの要素が減少すると、肌が乾燥しやすくなります。
老人性乾皮症は空気が乾燥する季節におこりやすく、皮膚がカサカサして粉が吹いたような状態になります。また、かゆみや浅いひび割れが生じることもあります。

接触皮膚炎(かぶれ)

接触皮膚炎は、何らかの物質が皮膚に接触することで炎症が起こる病気です。一般的に「かぶれ」とも呼ばれます。

刺激物が皮膚に触れてかぶれる「刺激性接触皮膚炎」、アレルギー反応によってかぶれる「アレルギー性接触皮膚炎」、原因物質に触れた皮膚が光に当たることでかぶれる「光接触皮膚炎」などの種類があります。

原因となる物質は、洗剤、衣類、化粧品、医薬品、金属、動植物などさまざまです。

原因物質に触れた部位に、かゆみを伴う皮疹、赤み(紅斑)、小さな水ぶくれ(小水疱)などの症状があらわれます。

失禁関連皮膚炎(IAD)

失禁関連皮膚炎は、排せつ物が皮膚に接触することによっておこる皮膚炎です。
尿や便が接触する部位に、紅斑(こうはん)、びらん、潰瘍(かいよう)などが生じ、かゆみや痛みを伴います。

褥瘡(じょくそう・床ずれ)

褥瘡は、身体の一部に圧力がかかり続けて血流が滞ることで生じる皮膚や皮下組織の損傷です。「床ずれ」ともいわれています。
寝たきりや麻痺(まひ)などによりご自身で身体を動かせない方、認知症などの病気が原因で痛みを感じにくい方は、褥瘡ができやすくなります。

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疥癬(かいせん)

疥癬は、ダニの一種である「ヒゼンダニ」が皮膚に寄生しておこる感染症です。通常疥癬と角化型疥癬(かくかがたかいせん)の2種類があります。
通常疥癬の主な症状は、強いかゆみ、赤いブツブツ(丘疹、結節)、疥癬トンネルです。
角化型疥癬の主な症状は角質増殖(厚い垢が増えたような状態)で、かゆみは人によって異なります。

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白癬(はくせん)

白癬は、真菌(カビ)の一種である「皮膚糸状菌」によっておこる皮膚の感染症です。症状は感染した部分によって異なります。
感染部位によって、足白癬(水虫)、爪白癬(爪水虫)、体部白癬(ぜにたむし)、股部白癬(いんきんたむし)、手白癬(手水虫)、頭部白癬(しらくも)などさまざまな名前で呼ばれています。

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帯状疱疹(たいじょうほうしん)

帯状疱疹は、身体の中に潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することにより、水疱(水ぶくれ)ができ、痛みやかゆみを伴う病気です。
過去に水痘(水ぼうそう)にかかった方は、加齢や疲労などで免疫力が低下すると、帯状疱疹を発症する可能性があります。
ほとんどの場合、体の左右どちらかに痛みを伴う水疱(水ぶくれ)が帯状に現れます。
70歳代で発症する方が最も多く、「帯状疱疹後神経痛」という合併症を起こすこともあります。

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高齢の方がかかりやすい帯状疱疹(たいじょうほうしん)と合併症

肌トラブルを予防するためにできること

肌トラブルを予防するためにできること

老人性乾皮症

・症状に合った保湿剤をこまめに塗る
・入浴時はナイロンタオルなどでゴシゴシこすらず、柔らかいタオルを使う
・熱すぎるお風呂や長時間の入浴は控える
・石けんやボディソープの使いすぎに気をつける
・エアコンによる乾燥に注意し、加湿器などを利用する
・肌への刺激が少ない衣類や寝具を選ぶ

接触皮膚炎(かぶれ)

・皮膚の清潔を保つ
・症状が出たときは、原因物質をすぐに洗い流す
・患部を触ったり、かいたりしないよう気をつける
・医師の診察を受けて原因物質を特定する
・原因物質に直接触らないようにする

失禁関連皮膚炎(IAD)

・できるかぎりトイレで排せつできるよう支援する
・通気性の高いおむつを選ぶ
・サイズの合わないおむつの使用、尿とりパッドの重ね使いは控える
・おむつ交換ごとに清拭(せいしき)を行う
・1日1回、皮膚洗浄剤を用いて洗浄する
・洗浄後または入浴後に保湿剤を塗る
・保湿した後は皮膚保護剤を塗布して皮膚を守る

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褥瘡(じょくそう・床ずれ)

・寝たきりにならないよう心がける
・身体の清潔を保つ
・摩擦やズレを防ぐ
・バランスのよい食事を心がける
・着替えや入浴のときに皮膚の状態を観察する
・定期的に身体の向きや姿勢を変える(体位変換)
・褥瘡予防用具を使用する

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疥癬(かいせん)

・正しい手洗いをする
・着替えや入浴のときに皮膚の状態を観察する
・身体の清潔を保つ
・直接肌に触れるものは共用しないようにする
・換気や掃除をこまめに行う

白癬(はくせん)

・身体の清潔を保つ
・スリッパやサンダル等の共有は避ける
・部屋をこまめに掃除する
・入浴時はナイロンタオルや軽石でゴシゴシこすらない

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

・帯状疱疹ワクチンの接種を検討する
・バランスのよい食事をとる
・適度な運動と十分な睡眠を心がける
・疲労やストレスをためないようにする
・症状が出たら早めに医師の診察を受ける

記事監修

大西医師

科目

皮膚科・漢方内科・ペインマネジメント・麻酔科・産業医・公衆衛生

メデイア出演実績

テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ!」 / 宝島社 / 東京スポーツ東京スポーツ新聞 / 小学館

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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