「保健センター」と「保健所」は、どちらも地域保険法によって設置されていますが、設置場所や役割などが異なります。住民に身近な保健サービスを提供するのが「保健センター」、広域的で専門的なサービスを提供するのが「保健所」です。今回は、「保健センター」と「保健所」の違いや役割、相談できる内容について解説します。
「保健センター」とは
保健センターは、保健活動の拠点として、地域の人々に身近な市区町村に設置されています。
主に保健師や管理栄養士、栄養士等が配置されており、母子保健事業、健康増進事業、予防接種など利用頻度の高い保健サービスを提供しています。
保健センターの主な業務
- ・母子健康手帳の交付
- ・乳幼児健診
- ・予防接種
- ・健康診査
- ・がん検診
- ・保健指導
- ・精神保健に関する個別相談や訪問指導 など
「保健所」とは
保健所は、地域住民の健康を支える広域的、専門的、技術的な拠点と位置づけられている施設です。
「地域保健法」にもとづき、都道府県、政令指定都市、中核市などに設置されています。
保健所の役割は、地域の医療機関や保健センターなどの活動を調整し、地域の人々に必要なサービスを提供する仕組みづくりや、健康危機管理の拠点となることです。
さまざまな専門職が配置されており、感染症対策、難病や精神保健に関する相談、食品衛生や環境衛生に関する監視指導など、専門性の高い業務を行っています。
保健所に配置されている職員
- ・保健師
- ・医師
- ・歯科医師
- ・薬剤師
- ・獣医師
- ・管理栄養士
- ・診療放射線技師
- ・臨床検査技師
- ・理学療法士
- ・作業療法士
- ・精神保健福祉相談員
- ・歯科衛生士 など
保健所の主な業務
健康に関する業務- ・結核、新型インフルエンザなど感染症の予防対策
- ・エイズ相談
- ・難病医療相談
- ・医療、医薬品相談
- ・人口動態統計や地域保健に関わる統計の作成
精神保健福祉に関する業務
- ・統合失調症、精神疾患、ひきこもり、アルコール依存症などの相談
- ・関係機関や医療機関などへの紹介
食品衛生・生活衛生に関する業務
- ・食品衛生、食中毒などの検査
- ・食品関係施設の営業許可
- ・環境衛生、水質調査に関する業務
※指定市等が設置する保健所では、老人保健法に基づく健康診査、健康教育、母子保健法に基づく乳幼児健診なども行っている場合があります。
「保健センター」と「保健所」の活用方法
「保健センター」と「保健所」では、電話や窓口で心身の健康に関する相談に応じています。
全国には2,391カ所の「保健センター」と462カ所の「保健所」があります。(2025年4月1日現在)
管轄の保健所を調べたいときは、厚生労働省の「保健所所管区域案内」
から検索できます。
※ 地域によっては「〇〇保健所」ではなく、「〇〇厚生センター」などの名称になっている場合がありますのでご注意ください。
保健センター
- ・生活習慣病の予防や健康に関すること
- ・心の悩みや問題に関すること
- ・予防接種に関すること
- ・各種検診に関すること
- ・歯科保健に関すること
- ・食生活や栄養に関すること
- ・訪問指導に関すること
- ・乳幼児の発育、発達、子育てに関すること など
保健所
個人の方- ・感染症に関すること
- ・エイズなど性感染症の相談や検査
- ・肝炎に関する相談や検査
- ・難病に関すること
- ・統合失調症、うつ病などの精神疾患、ひきこもりなど心の健康相談
- ・アルコールや薬物の依存症に関する相談
- ・不妊治療の費用助成に関すること
- ・医療に関する相談
- ・犬や猫に関する相談 など
施設の方
- ・いつもよりも有症状者が増えているときの相談
- ・感染対策に関する不安や疑問
- ・受動喫煙対策(喫煙場所の設置)に関すること など
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ご高齢者の健康を食から支える介護業界の管理栄養士・栄養士・調理師
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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