予防・早期発見が重要な床ずれ(褥瘡・じょくそう)の予防法と対処法

床ずれ(褥瘡・じょくそう)とは、圧迫による皮膚の潰瘍と定義されています。寝たきりの方に多くみられますが、認知症や麻痺のある方にも起こりがちです。今回は床ずれとはどういうものなのかを解説し、その予防法とできてしまったときの対処法をまとめます。

床ずれ(褥瘡・じょくそう)の原因と発生しやすい部位

床ずれ(褥瘡・じょくそう)の原因と発生しやすい部位

床ずれとは?

一般的に床ずれ(とこずれ)といわれますが、医学用語では「褥瘡(じょくそう)」といいます。床ずれとは、からだの一部が圧迫され続けることで、皮膚に酸素や栄養がいきわたらなくなってしまって壊死し(腐ってしまうこと)、皮膚が崩れていく状態をいいます。

床ずれの重症度

初期症状は、肌に赤み(「発赤」といいます)がみられます。比較的初期の床ずれは、現在では2~3週間で治癒するケースが増えています。皮下脂肪や骨まで達するような重症のケースは簡単には治癒せず、感染を合併すると死に至ることもあります。

NPUAPのステージ分類

                     
ステージI 皮膚に圧迫しても消えない発赤や皮内出血などがみられる
ステージII 「ステージI」の床ずれに摩擦力が働き、表皮が剥離して真皮層が露出したり、
水疱などができたりしている
ステージIII 組織欠陥が皮下組織に及んでいる
ステージIV 組織欠陥が筋膜を超えて筋肉や骨、腱などにまで至り、感染を伴いやすい

床ずれの好発部位

床ずれは持続的に圧力のかかりやすい骨の出っ張った部位にできやすくなります。
仰向けで寝ているときに最も発生しやすいのは、体圧のかかる仙骨部(おしりの中央の骨が出た部分)です。また、横向きに寝ているときは、大転子部(太ももの付け根の外側)などに発生しやすくなります。

仰向け(仰臥位)

後頭部・肩甲骨部・脊柱部・仙骨部・踵骨部(かかと)など

仰向け(仰臥位)

横向き(側臥位)

耳介部(耳)・肩関節部・肘関節部(ひじ)・腸骨部・大転子部・膝関節部・外踝部(くるぶし)など

横向き(側臥位)

座位

坐骨部・尾骨部・背部・肘関節部など

床ずれの原因

以下のような原因が考えられますが、いくつかの原因が重なって起きるケースもみられます。

①皮膚への持続的な圧迫
長時間の同一体位、補装具等の圧迫、寝具の重みや窮屈な寝衣など

②皮膚の湿った不潔な状態
オムツ等による皮膚のムレ、発汗や排尿・排便時の皮膚の汚れなど

③皮膚への摩擦
シーツや寝衣のしわや糊のききすぎ、ベッドのギャッジアップ時や座位時のずり落ちなど

④全身状態の低下
栄養不良、血行障害、運動・感覚障害、皮膚や筋肉、皮下脂肪の退化など

床ずれの予防方法

床ずれの防止方法

床ずれの予防の基本は、発生要因を除去することが基本です。

①体位変換
体の同じ部分に長時間の圧迫がかからないように、寝ているときの姿勢を変えることが、床ずれ予防になります。1~3時間を目安に体位を変えましょう。発赤がみられたら、そのできた部位からどの体位がよいか考えるとよいでしょう。

②褥瘡予防用具の使用
エアマットレスやクッションなど、体圧分散用具を活用することで予防できます。

③身体の清潔保持
汗や尿、便は丁寧に拭き取り、いつも清潔にします。おむつは通気性のよいものを選び、ぬれたまま長時間あてないようにしましょう。また、寝具や衣類も清潔で乾燥したものを使用します。血行を良くする入浴は、床ずれの予防にも効果的です。入浴が難しい場合は清拭(せいしき)を行いましょう。

④皮膚摩擦を防ぐ
体を動かすときに引きずったりすると、皮膚に対する摩擦により床ずれが起こることもあるため、持ち上げて移動します。また、シーツ、寝衣などのしわや縫い目は、皮膚に直接あたらないようにしましょう。

⑤栄養を十分にとる
バランスのよい食事と適度な水分補給を心がけ、食事量の少ない方は栄養価の高い食品をとり、栄養状態を良好に保ちましょう。
高たんぱく・高カロリーで、ビタミン・ミネラルが豊富な食材を選び、ご本人の食べる能力に合った食形態のものをおいしく食べていただきます。ご家族が忙しいときは、市販の栄養食品などを利用するのもよいでしょう。また、口腔ケアも低栄養の予防や改善につながります。

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床ずれの対処方法

日ごろから着替えや入浴の際に、皮膚の状態をよく観察し、発赤を見逃さないように意識して介護を行うことが重要です。

床ずれになってしまったら、まず医師や看護師に相談しましょう。床ずれの進行度に応じた治療が選択される必要があるため、自己判断をせず、必ず診察を受けます。床ずれのできたご高齢者が在宅で療養する場合は、除圧のためのマットレスを介護保険で借りることができます。ケアマネジャーとも相談して、医療機関の診療や訪問看護などを適切に受けられるようにしましょう。

なお、発赤のできた部位を血行を良くしようとマッサージすると、皮下組織の損傷の原因となるので、マッサージは禁物です。


床ずれは予防可能な病気ですが、体調が悪化したり食事がとれなくなったりすると、十分に気を配っていてもできてしまうことがあります。初期段階での発見と適切な対応が重要なため、床ずれの疑いがあるときは、すぐにケアマネジャーや医師、看護師に相談しましょう。

ライター:山下 優子
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。

予防・早期発見が重要な床ずれ(褥瘡・じょくそう)の予防法と対処法

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