関節リウマチの症状と上手に付き合うためのポイント

関節リウマチは、関節に炎症が起こり、腫れや痛み、こわばりが現れる病気です。早期発見と治療、そして上手に付き合うことが大切といわれています。今回は、介護保険制度における16種の「特定疾病」に指定されている関節リウマチについて分かりやすく解説します。



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「関節リウマチ」とは

関節リウマチとは

関節リウマチの原因はまだ解明されていませんが、免疫の異常によって起こると考えられています。

国内の関節リウマチの患者数は70万人とも100万人ともいわれ、30代〜50代の女性に多く発症します。
腫れ、痛み、こわばりなどの症状は、関節だけでなく、全身症状が起こることもあり、進行すると関節が破壊されて変形などがみられるようになりますが、早期発見と早期治療によって症状や進行を抑えることが可能となってきています。

関節リウマチの主な症状

初期には「熱っぽい」「だるい」「食欲がない」「朝方に関節がこわばる」「腫れや痛み」などの症状が現れることがあります。

関節リウマチの典型的な初期症状といわれる「朝のこわばり」は、朝起きたときに手足の指などの関節がこわばって動かしにくいというものです。
例えば、着替えや歯みがき、朝食を作るときなどの動作に違和感を覚えることがあります。
腫れと痛み(関節炎)は、はじめは手指の関節に出ることが多く、左右対称に起こることもあります。
進行すると骨や軟骨が破壊され、関節の変形まで進んでしまうと日常生活に支障をきたすことになります。

ご高齢者と関節リウマチ

ご高齢者と関節リウマチ

関節リウマチは30代~50代で発症することが多い病気ですが、現在の医療では完治が難しいため、高齢になるほど罹患率は高くなります。
60歳以上で発症した関節リウマチは「高齢発症関節リウマチ」と呼ばれており、男女の発症率はほぼ同じになります。

関節リウマチとの上手な付き合い方

関節リウマチとの上手な付き合い方

体調の管理

バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動が体調管理の基本となります。疲れやだるさを感じるときは無理をせず、できるだけ休むようにしましょう。
自己判断で治療を中断したり、薬を減らしたりすることは危険です。不安や疑問があるときは、主治医に相談しましょう。

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リハビリテーション

薬物治療などと併用されるリハビリテーションは、生活の質(QOL)を下げないために行われます。
症状が落ち着いているときは、リウマチ体操などを取り入れることが勧められています。体操の種類や回数については、主治医や理学療法士に相談し、指示に従いましょう。
家事などの日常生活の動作をできるだけご自身で行うこともリハビリテーションの効果が期待できます。

感染症・合併症の予防

関節リウマチの治療中は、免疫力が低下している場合が多いため、感染症にかかりやすくなっています「手洗い」「うがい」「マスクの着用」「予防接種」などを心がけ、感染症を防ぐことが大切です。
また、歯みがきや入れ歯の手入れをこまめに行い、口腔内を清潔に保ちましょう。

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生活習慣の改善

太り過ぎは関節の負担となり、痩せ過ぎても感染症などに弱くなるため、適正な体重を維持することが大切です。ストレスをためない、たばこを吸う方は禁煙するなど、生活習慣を改善することも重要になります。

住環境の工夫

関節リウマチの方は骨粗しょう症にかかりやすく、骨折しやすくなっています
食生活の改善や適度な運動に取り組むとともに、住環境を整えて転倒を防ぐことも重要です。玄関や階段、トイレ、浴室などには手すりを設置し、段差はスロープをつけるなどして解消しましょう。
和式の生活は、立ち座り時に関節への負担がかかりがちです。椅子やベッドを使う洋式の生活の方が負担は軽くなります。台所や浴室、玄関などにも椅子を置くとよいでしょう。
また、ドアノブや水道の蛇口はレバー式の方が関節への負担を減らせます。

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日常生活の工夫

日常生活では、自助具や便利グッズを活用すると、関節への負担を減らすことができます。
自助具には、ソックスエイドやボタンエイド、リーチャー、自助包丁、自助スプーン・フォーク、フォームラバーなどがあります。
寒い時期や冷房を使う時期は、関節が冷えないよう、サポーターをつけるなどの工夫をしましょう。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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