骨折を予防するための骨粗しょう症(こつそしょうしょう)対策

骨粗しょう症は、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨粗しょう症はご高齢者に多くみられ、骨折をきっかけに要介護や寝たきりになることもあります。今回は、予防と早期発見が重要な骨粗しょう症についてお伝えします。

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨の量(骨量・骨密度)が減り、骨の中がスカスカの状態になる病気です。
骨は、骨吸収(破骨細胞によって古い骨が壊されること)と骨形成(骨芽細胞によって新しい骨が作られること)を常に繰り返しています。
このような骨の新陳代謝のバランスが崩れると、骨が作られる量より壊される量が多くなってしまいます。そして、骨からカルシウムなどの量(骨量)が減少し、骨がもろくなっていきます。


骨粗しょう症とは

骨がもろくなると、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。骨粗しょう症は、痛みなどの自覚症状がないことが多く、骨折して初めて気づくケースも少なくありません。
また、骨粗しょう症による骨折から身体機能が低下し、要介護や寝たきりの状態になることもあります。

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因

加齢

骨密度のピークは男女ともに20歳前後で、加齢とともに減っていくと考えられています。また、年齢を重ねると、骨を作るのに必要なカルシウムが腸から吸収されにくくなります。

閉経

骨粗しょう症は、特に閉経後の女性に多くみられる病気です。 女性ホルモンのエストロゲンには、骨吸収(破骨細胞によって古い骨が壊されること)を抑える働きがあります。閉経を迎えると女性ホルモンの分泌が減るため、骨密度が低下して骨粗しょう症になりやすくなります。

生活習慣

運動不足や偏った食事、喫煙、過度なダイエットによる栄養不足、日光に当たらない生活などは、骨粗しょう症のリスクを高めるといわれています。

その他

糖尿病、関節リウマチ等の病気や薬の影響などが、骨粗しょう症の原因となる場合もあります。

骨粗しょう症を防ぐために

骨粗しょう症を防ぐために

骨粗しょう症の原因には、加齢や閉経、病気など避けられないものもありますが、生活習慣など避けられるものもあります。日ごろの食事、運動、生活環境などを見直して、骨粗しょう症や骨折の予防につなげていきましょう。
また、「背中が丸くなる」「身長が低くなる」といった症状がないか確認し、定期的に検診を受けることも重要です。

バランスのよい食事をとる

さまざまな食材を組み合わせたバランスのよい食事を、1日3回しっかりとることが大切です。
そして、骨の材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、骨の形成を促進するビタミンK(ワーファリンを内服している方は注意が必要)を積極的にとるようにしましょう。
※ワーファリンを服用している方は、ワーファリンの作用に影響するビタミンKを多く含む食品の摂取に注意が必要です。

牛乳などの乳製品・木綿豆腐・凍り豆腐(こうや豆腐)・納豆・小松菜・乾ひじき・素干エビなどは、不足しがちなカルシウムが豊富です。牛乳を飲むのが苦手な方は、シチューやグラタンなどの料理に活用するとよいでしょう。
ビタミンDは魚類・キノコ類、ビタミンKは納豆・小松菜などに多く含まれています。

また、カルシウムの吸収を妨げるカフェインやアルコール、インスタント食品などに多く含まれるリンのとり過ぎ、カルシウムを尿中に排泄する塩のとり過ぎには注意しましょう。
※サプリメントでとる場合は、かかりつけ医に相談してください。


カルシウム

習慣的に運動をする

骨にカルシウムを蓄えて丈夫な骨を保つためには、体重をかけることが大切です。日常生活のなかで無理なく続けられる運動をみつけて、運動不足にならないようにしましょう。
本格的な運動でなくても、「家事をする」「散歩や買い物で歩く機会を増やす」「なるべく階段を使う」などの工夫で、骨に負荷をかけることができます。また、バランス運動や筋力トレーニングは、転倒予防にも役立ちます。

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日光を浴びる

日光浴は、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの活性化につながります。
晴れた日はできるだけ外へ出かけて、10~15分ほど散歩などを楽しみましょう。外出が難しいときは、窓を開けて適度に日光を浴びましょう。

定期検診を受ける

定期検診を受ける

骨粗しょう症は、骨密度測定や画像検査、血液検査、尿検査などによって診断されます。骨密度の測定には、レントゲン(DXA法・MD法)やCT、超音波などが用いられます。

骨粗しょう症と診断された場合は、栄養・運動療法、薬物療法(内服薬や注射など)が行われます。
気づかないうちに病気が進行していることも多いため、定期的に整形外科を受診して検診を受けることが推奨されています。

転倒を防ぐ

骨折の主な原因となる転倒を防ぐことも大切です。
骨粗しょう症によって骨がもろくなると、背骨(脊椎)、太ももの付け根(大腿骨)、手首(橈骨)や腕の付け根(上腕骨)などの骨折が起こりやすくなります。生活環境や設備を見直して、「段差をなくす」「手すりをつける」「照明を設置する」などの工夫をしましょう。

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骨折を伴う骨粗しょう症は、介護保険の「特定疾病」に指定されています。介護保険サービスは、通常は要介護認定を受けた65歳以上の方(第1号被保険者)が利用できますが、40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)が「骨折を伴う骨粗しょう症」で介護が必要となった場合は、介護保険サービスを受けることができます。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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