日ごろの予防が大切!高齢者がかかりやすい感染症とその対策

抵抗力が低下している高齢者はさまざまな感染症にかかりやすく、感染すると重症化しやすい傾向にあります。高齢者と介護する方の健康を守るためには、予防と早期発見がとても大切です。今回は、高齢の方がかかりやすい感染症の基礎知識や予防対策について解説します。

高齢者がかかりやすい感染症

ご高齢者がかかりやすい感染症

高齢の方がかかりやすい感染症には、以下のようなものがあります。

新型コロナウイルス感染症

主要な感染経路は「飛沫(ひまつ)感染」や「接触感染」といわれています。

感染すると発熱や呼吸器症状、倦怠感(強いだるさ)などがみられることが多く、高齢者は重症化リスクが高いことが報告されています。

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インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染することで発症します。

38℃以上の高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が突然現れるのが特徴です。

免疫力が低い高齢者がかかると重症化しやすく、肺炎、心筋炎などになることもあります。

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結核

結核菌による慢性感染症です。多くの方は感染しても発症しませんが、発症者の6割が70歳以上であり高齢者は注意が必要です。
主な症状は、咳と痰(時に血痰や喀血)、発熱、寝汗、倦怠感、体重減少などです。

しかし高齢者では、全身の衰弱や食欲不振などの症状が主となり、呼吸器症状や発熱などを伴わないことがあります。

また、過去に感染した方が免疫力の低下などにより発症することや再発することもあります。

感染性胃腸炎(ノロウイルス)

冬場の感染性胃腸炎の主な原因はノロウイルスです。感染力が強く、集団感染を起こすこともあります。

ノロウイルスは汚染された貝類や調理済み食品などを、生または十分加熱調理せずに食べた場合に感染します。介護施設等では飛沫感染、接触感染、感染した方の便や吐物からの二次感染も多くなっています。

主な症状は下痢、おう吐、腹痛、微熱です。多くは2~7日で治りますが、高齢の方は重症化することがあります。

吐物による窒息や肺炎にも注意が必要です。

腸管出血性大腸菌

人間の腸内に存在する大腸菌のほとんどは無害ですが、病原性のある腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生性大腸菌)もあります。

少量の菌量でも感染するため、高齢者施設などでは二次感染を防ぐことが必要です。

主な症状は水様下痢便、腹痛、血便です。高齢者は重症化しやすく、「溶血性尿毒症症候群」や「脳症」を併発することもあります。

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症

黄色ブドウ球菌が薬剤耐性化(薬が効かなくなること)したものがMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)です。現在、院内感染が問題となっています。

黄色ブドウ球菌は私たちの鼻の中や皮膚などに住んでいる菌ですが、高齢者など免疫力の低下した方が感染すると治療が難しくなることがあります。

尿路感染症

腎臓、膀胱(ぼうこう)、尿道などの尿の通り道(尿路)に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。

感染する場所によって「膀胱炎」「腎盂腎炎(じんうじんえん)」に分けられます。

「膀胱炎」の場合は、排尿痛、残尿感、頻尿、尿の濁りなどの症状、「腎盂腎炎」の場合は腎臓部分の痛み、発熱、血尿などの症状が出ます。

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誤嚥(ごえん)性肺炎

誤嚥性肺炎とは、誤嚥(ごえん)がきっかけで主に口腔内の細菌が肺に入り込んで起こる肺炎のことです。

加齢により飲み込む力が低下すると、誤嚥(ごえん)による肺炎を起こしやすくなります。

咳反射が低下した高齢者の場合は、むせる反射がなく、睡眠中などに口腔内の唾液が肺に流れ込んで不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)を起こすこともあります。

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疥癬(かいせん)

ダニの一種であるヒセンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生して起こる皮膚病です。介護施設や病院等での集団発生が問題になっています。

通常の疥癬の主な症状は、手首や手のひら、指の間、おなか、太ももの内側などに出る赤いブツブツ(丘疹・結節)です。

激しいかゆみを伴いますが、高齢者はかゆみの訴えが少ない場合もあります。

重症型の角化型疥癬の場合は、手足、おしり、ひじ、ひざなどに角質の増殖がみられます。

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帯状疱疹

加齢や疲労などによって免疫が低下し、潜伏していた「水痘・帯状疱疹ウイルス」が再活性化することで発症します。

主な症状は痛みを伴う水疱(水ぶくれ)で、神経に沿って体の片側だけにみられるのが典型的です。

皮膚の症状が治った後にも痛みが残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という合併症に移行することがあります。

接触感染が中心ですが、飛沫感染や空気感染にも注意が必要です。

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感染症予防のポイント(生活習慣など)

感染症予防のポイント(生活習慣など)

感染予防のポイントを、日ごろからできること、感染者が発見された場合にすることに分けて説明します。

日常生活での予防

・手洗いとうがい
外出先から自宅や施設に帰宅した時、手洗いとうがいを行います。指や爪の間もしっかり洗いましょう。

・口内や身体の清潔保持
汚れがたまりやすい口の中、身体、陰部の清潔を保つよう心がけましょう。

・十分な睡眠と栄養
体調を崩すと感染症に対する抵抗力が弱くなってしまいます。十分な睡眠と栄養をとるようにしましょう。

・予防接種
毎年流行するインフルエンザは、医師と相談のうえ予防接種を受けましょう。効果は接種後1~2週間ほどからですので、流行前に接種するようにしましょう。高齢者ご本人だけでなく、ご家族や介護者も接種するようにしましょう。

2025(令和7)年度から、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が定期接種の対象になっています。

感染経路とそれに沿った予防

咳やくしゃみなどで飛んだ飛沫から感染する「飛沫感染」
新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなどは「飛沫感染」でも感染します。

正しい手洗い、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、こまめな換気などで感染を防ぎましょう。

触って感染する「接触感染」
通常の疥癬(かいせん)は皮膚と皮膚の接触で感染します。また、衣類や寝具などから間接的に感染することもあります。

新型コロナウイルス感染症やインフルエンザは、ウイルスがついた手で口や鼻、目などの粘膜を触れて感染することもあります。

手洗いをしっかり行い、タオルなどの共有は控えましょう。

同じ空間にいることで感染する「空気感染」
結核は、結核菌を排菌している患者さんと同じ空間にいるだけで感染することがあります。

症状が出にくい高齢の方は、定期的に胸のレントゲン検査を受けることが大切です。

呼吸器症状や全身症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診する必要があります。

介護者の感染予防対策

介護者の感染予防対策

手袋やエプロンの使用

介護の際に血液や体液に触れる可能性がある場合は、手袋エプロンを使用しましょう。高齢者にひどい咳や痰の症状があるときなどはマスクをつけます。

手洗いやうがい

介護の前後の手洗いは徹底します。特に調理や食事介助をするときは、しっかり手洗いを行いましょう。

手袋をつけてケアした場合でも、手袋をはずしたあとに必ず手洗いをします。高齢者が咳をしている場合は、介護者も念入りにうがいをしましょう。

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高齢の方の感染症を予防・早期発見するためには、日ごろから健康状態を観察し、小さな変化も見逃さないことが大切です。「いつもより寝ている時間が長いな」「食欲がないな」「声に元気がないな」など、普段と違う様子に気づいたら早めの受診を心がけましょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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