第45回 国際福祉機器展レポート(1)日常生活に役立つ介護用品

昨年「介護の便利帖」でレポートした福祉機器の国際展示会「国際福祉機器展(H.C.R.)」が、今年も東京ビッグサイトで開催されました。1974年(昭和49年)に始まり、今ではアジア最大規模といわれる国際福祉機器展。今回は、展示された数多くの製品の中から「日常生活に役立つ介護用品」と「介護する方も快適になる介護用品」を2回に分けてご紹介します。


前回(第44回)の国際福祉機器展のレポートはこちらからご覧いただけます。

第44回 国際福祉機器展レポート(1)注目の介護製品

第44回 国際福祉機器展レポート(2)IoT・ICTを活用した福祉機器

国際福祉機器展(H.C.R.)とは

国際福祉機器展

国際福祉機器展(H.C.R.)とは、1974年に厚生省(現在の厚生労働省)と社会福祉法人全国社会福祉協議会の共催により、「社会福祉施設の近代化機器展」として始まった福祉機器の国際展示会です。
それから現在まで毎年開催されており、今年の「第45回国際福祉機器展(H.C.R.2018)」は、10月10日~12日の3日間にわたって東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催されました。

国際福祉機器展

今年は、国内外合わせて546社(自治体・公益団体などのブースへの参加企業を含めると621社)が出展、来場者数は約12万人に達しました。「国際シンポジウム」や「H.C.R.セミナー」、「特別企画」など、併催イベントの内容も充実していました。

国際福祉機器展

会場内では多くの方が製品の説明に熱心に耳を傾けたり、実際に体験したりする姿が見られました。

日常生活に役立つ介護用品

ここでは、浴室やトイレ、寝室などの日常的な場面で役立つ介護用品をご紹介します。

入浴用品

①浴槽見守りセンサー「バスセーフ」

バスセーフ

ご家庭の浴槽での溺死者数は増加傾向にあり、そのうちの約9割を占めているのが65歳以上のご高齢者です。とくに寒さが厳しい冬季には、溺水や溺死を含む入浴中の事故が多くなります。

浴槽見守りセンサー「バスセーフ」は、浴槽内での健康管理用として使用できるセンサー装置です。浴槽に設置したセンサーが入浴中の呼吸や脈拍、体動をリアルタイムで検知して、異変時にはアラームで知らせて、自動的に排水します。
標準タイプのマットセンサーは、裏面にある吸盤で浴槽の底面に簡単に設置可能。また、入浴毎に取り外し、フックを掛けて干すこともできます。

株式会社メディカルプロジェクト http://www.medicpro.co.jp/custom13.html


②ゴム製すべり止めお風呂マット「すべり止めマットV」

すべり止めマットV

強力グリップで石けんの泡や入浴剤などが付着してもすべりにくい、ゴム製のお風呂マットです。設置方法は、浴槽の底や床に置くだけと簡単。ステンレスのほかにも、木や樹脂、人工大理石、ホーロー、タイルなど幅広い材質に対応しています。

カラーは視認性の高いレッド・ブルー・ライトグリーンの3色。すべり止め効果を発揮する、表面の和柄模様がきれいですね。マットの縁には滑らかな傾斜がつけてあり、ご高齢の方もつまずきにくくなっています。水より重い比重の材質を使用しているため自沈式ですが、約900gと軽くて扱いやすい点もうれしい特長です。

ケアメディックス株式会社 http://www.caremed.co.jp/


③瞬速洗髪器「ルームシャンプー」

ルームシャンプー

服を着たままで手軽に洗髪できる瞬速洗髪器「ルームシャンプー」。
寝たきりの方や車いすを使用されている方も、寝たまま、座ったままで髪が洗えます。また、シャワーヘッドのブラシ部分にボディ用スポンジをつけると、身体を洗うことも可能です。

ルームシャンプー

「ルームシャンプー」は、本体にお湯を入れて、ご家庭の掃除機に接続して使用します。
約1リットルの水で洗髪ができ、準備や片付けも簡単。介護する方も介護される方も負担が少なく、慣れてくれば、準備から片付けまで5~10分ほどで終わるそうです。

私たちも実演を拝見し、さっぱりと洗い乾かした髪にも触れさせていただきました。


まずは霧吹きなどで髪・頭皮を湿らせてから、ムースタイプの専用シャンプーで洗髪。すすぐときは、掃除機のスイッチを入れ、ヘッドブラシを頭に当てて給水スイッチをオンにします。ヘッドブラシからお湯が吹き出ますが、瞬時に吸い込みながらすすぐため、泡やお湯はこぼれません。また、給水スイッチを押さずにブラッシングすると、タオルで拭き上げた程度に髪を乾燥させることもできます。

ガードナー株式会社 https://guardner.jp/roomshampoo/


トイレ用品

排尿予測デバイス「D Free Personal(ディー・フリー・パーソナル)」

D Free Personal

排尿のタイミングが把握できれば、不安が軽減されて自信につながり、ご本人もご家族も日常生活や外出をもっと楽しめるようになるのではないでしょうか。

個人向けの「D Free Personal」は、排尿のタイミングを事前に探知し、専用アプリからスマートフォンにお知らせする排尿予測デバイスです。
「病気などにより尿意を感じにくい」「尿意を感じてもトイレに間に合わないことがある」「トイレのタイミングがわからず外出が不安」などの悩みを持つ方をサポートします。

D Free Personal

「D Free Personal」が使用するのは、人体に無害な超音波。下腹部に装着したセンサーが、超音波で膀胱(ぼうこう)のふくらみを計測し、お手持ちのスマートフォンと連動してトイレのタイミングをお知らせします。

本体は、市販のネックストラップを使って首から下げたり、背面クリップで肌着につけたりして装着します。センサーと本体はコンパクトで軽く、外出するときも目立ちません。
装着中は、スマートフォンに表示される尿のたまり具合をリアルタイムで確認することができ、排尿の記録もつけられます。

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 https://personal.dfree.biz/


ベッド用品

SRアクティブマットレス「体圧ブンさん」

体圧ブンさん

SRアクティブマットレス「体圧ブンさん」は、オーダメイドの体圧分散を提供する床ずれ防止用具です。

独自開発のスマートラバー(SR)センサが全身の体圧分布を計測し、2段エアセルの膨張・収縮によって高圧部位をピンポイントに除圧。会場でお話を伺ったところ、エアセルの動きが小さく、船酔い感も感じにくいとのことでした。
除圧後は自動で「見守りモード」に移行し、体圧変化を常に観察します。30分経過、または寝返りの検知で「体圧分散モード」に移行します。また、背上げモードボタンを長押しすると「背上げモード」になり、離床時などに身体を起こしやすくなります。

介護する方にも優しい特長として、膝立ち姿勢でのケアが行いやすいようにマットレスの両サイドがクッション素材になっています。設置方法も簡単で、体重入力設定は必要ありません。また、2つに折りたたんで持ち運ぶこともできます。

住友理工株式会社 https://www.sumitomoriko.co.jp/product/health/MSZF831UL/


コミュニケーション・見守り機器

指伝話(ゆびでんわ)

指伝話(ゆびでんわ)

iPadやiPhone上で動作するコミュニケーションアプリ「指伝話(ゆびでんわ)」。画面をタップすると、相手に伝えたい言葉を合成音声で伝えることができます。
指伝話には「文字タイプ」や「絵カードタイプ」「五十音タイプ」があり、活用方法は使う方の状況によってさまざま。
障がいや病気の方の日常会話や言語訓練のほか、日本語以外に英語、中国語、ロシア語など36の言語に対応しているため、外国からのお客様対応のツールとしてお店などでも活用されています。

文字タイプの「指伝話プラス」は、あらかじめ登録しておいた言葉を音声で伝えるほか、その場で入力して音声にすることも可能です。
絵カードタイプの「指伝話メモリ」では、絵・写真・文字と音声を組み合わせたカードを自由に作ることができます。意思の伝達だけでなく、学習教材や飲食店の外国語メニュー、フォトアルバムなどとしての使い方も楽しめます。

有限会社オフィス結アジア https://yubidenwa.jp/


日常生活支援用品

「片手でも使えるモノ展」の自助具

自助具

日常生活支援用品コーナーの「片手でも使えるモノ展」に展示された製品の中から、毎日の食事に役立つ自助具や食器をご紹介します。

やじろべえ

簡単に使えるのに、グリップが手の中に隠れるため、周りからは普通の箸を使っているように見えます。質感も重視し、天然木(紫檀)を使用したこだわりのお箸です。

Saji(さじ)

手のひらの把握反射を利用した、北欧デザインの握りやすい木製スプーン。3種類のサイズ(大・中・小)があり、ご家族みんなで使うことができます。反射を利用するため、認知症の方や手の拘縮(こうしゅく)が始まった方にも適しています。木の玉と柄は、簡単に外して洗うことも可能です。

有限会社ウインド https://www.hashizokun.com/top.html

かるまげ

自由に曲げることができる超軽量タイプのスプーンとフォークです。柄の部分が手にフィットするため滑りにくく、リウマチなどのために腕の上がりにくい方も、お口に運びやすいようになっています。

斉藤工業株式会社 http://www.saitow.co.jp/

イージースプーンシリーズ

ご高齢者や、手の関節に障がい・筋力低下のある方向けのスプーン・フォーク・ナイフです。ほかにも、麺フォークや有田焼スープ碗などが展示されました。


MOAS(モアス)

ご高齢の方や障がいのある方々も使いやすいMOAS(モアス)のうつわシリーズ。
人気のカレー皿は、ごはんが最後の一粒まできれいにすくえるように作られています。白いごはんが判別しやすい濃い色合いのお皿は、認知症の方にもおすすめ。モダンなうつわが料理を引き立て、食事の時間をより豊かなものにしてくれます。

MOAS(モアス) https://www.utsuwa-hanada.jp/moas/




2018年11月15日~17日には、福岡県北九州市の西日本総合展示場 新館にて「第20回 西日本国際福祉機器展」が開催されます。幅広い製品が展示され、さまざまなイベントやセミナーも行われる予定です。ご興味をお持ちの方、お近くにお住まいの方は、お出かけになってみてはいかがでしょうか。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

第45回 国際福祉機器展レポート(1)日常生活に役立つ介護用品

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