歳を重ねても生き生きと!「アクティブ・エイジング」とは

「加齢」「高齢化」というとネガティブに捉えられがちですが、歳を重ねることをポジティブに捉える概念もあります。この概念を「アクティブ・エイジング」といいます。
今回は、介護福祉士などの国家試験に出題されたことのある「アクティブ・エイジング」という概念について解説します。さらに、「サクセスフル・エイジング」と「プロダクティブ・エイジング」についても触れます。

アクティブ・エイジングとは

アクティブ・エイジングとは

「アクティブ・エイジング」とは、世界保健機関(WHO)が国連の国際高齢者年※(1999年)や第2回
高齢者問題世界会議※(2002年)などで提唱した概念で、「人々が年を重ねても生活の質が向上するように、健康、参加、安全の機会を最適化するプロセス」と定義されています。

「アクティブ・エイジング」は「活動的な高齢化」などと訳されますが、「アクティブ」とは身体的に活動的であるということだけではありません。病気や障がいがあっても、すべての高齢者が社会経済的、文化的、精神的な活動に参加できるという意味も含まれています。

※「国際高齢者年」とは
国連(国際連合)が定めた国際年のひとつです。
「高齢者のための国連原則(自立・参加・ケア・自己実現・尊厳)」を採択し、1999年を「国際高齢者年」としました。

※「第2回 高齢者問題世界会議」とは
2002年にスペインのマドリッドで開催されました。
会議で採択された「高齢化に関するマドリッド国際行動計画(MIPAA)」の3つの柱は「高齢者と開発」「高齢期を通しての健康と福祉の増進」「高齢者が暮らしやすい生活環境の整備」。


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アクティブ・エイジングの3つの柱

アクティブ・エイジングの基本的な目的は、「参加」「健康」「安全」の3つです。
この3つの視点から、高齢者の生活の質(QOL)を高めるために取り組むことが示されています。

参加(Participation)

高齢者が一人ひとりの能力やニーズ、希望などに応じて社会に参加できることを意味します。
さまざまな活動への参加をサポートする環境であれば、歳を重ねても有給または無給の社会的な貢献活動を続けることができるとしています。

健康(Health)

年を重ねても健康状態を保ちながら生活することができ、高額治療やケアサービスを受ける高齢者が少ない状態を意味しています。
世界保健機関(WHO)の「健康」の概念は、身体的な状態だけではなく、社会的に家族や地域、社会、国に関与することができる状態を含みます。ケアが必要な高齢者に対しては、権利とニーズに対応した健康・社会サービス全般へアクセスできるようにします。

健康(Health)

安全(Security)

高齢者が自立した生活ができなくなり、支援が必要になったときには、政策などによって保護や尊厳、ケアが保証されていることを意味します。また家族やコミュニティが高齢者を支援する際にも、サポートを受けられることです。

安全(Security)

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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