ご高齢者に多い病気等と知っておきたい福祉用具の種類・選び方

2019/03/26

ご高齢の方は、加齢や病気などによって身体が思うように動かなくなることがあります。しかし、ご自身にあった福祉用具を活用したり、ちょっと工夫したりすると、日常生活を過ごしやすくなります。
今回は、ご高齢者に多い関節リウマチ・パーキンソン病・片麻痺(へんまひ・かたまひ)について解説し、便利な福祉用具をご紹介します。

関節リウマチ

関節リウマチ

関節リウマチは、関節に炎症が起こり、骨や軟骨が破壊されていく病気です。炎症は手足の関節で起こりやすく、腫れや痛みを伴います。また、関節だけでなく、貧血や微熱、だるさ、食欲不振などの全身症状が起こることもあります。
進行すると関節が変形して動かなくなることがありますが、早期発見して適切な治療を受ければ、症状のコントロールや進行の抑制が可能になってきています。

関節リウマチは、介護保険の対象となる「特定疾病(16種類)」のひとつです。介護保険サービスは、通常は要介護認定を受けた65歳以上の方が利用できますが、40歳から64歳までの方(第2号被保険者)が関節リウマチで「要介護」と認定された場合は、介護保険サービスを受けることができます。
日常生活においては、福祉用具や便利グッズなどを活用して、関節への負担を減らすことが大切です。


歩行補助用具

・歩行補助杖

杖には「T字型杖」「C字型杖」「L字型杖」「多脚型杖(多点型杖)」「肘支持型杖(プラットホーム杖)」「ロフストランド杖(ロフストランドクラッチ)」「歩行器型杖(サイドケイン)」「松葉杖」などの種類があります。

関節リウマチの方は、手指や手首の痛み、変形のために、杖の持ち手を握れない場合や、肘を十分にのばせない場合があります。そのため、関節リウマチの方には「肘支持型杖(プラットホーム杖)」などが用いられます。

肘支持型杖(プラットホーム杖)
杖の上部に肘をつける台座がついており、肘を曲げたまま前腕で体重を支えることができる杖です。
関節リウマチなどで手指や手首に負担をかけられない方に向いていて、「リウマチ杖」と呼ばれることもあります。
介護保険でレンタル(福祉用具貸与)できます。

・歩行車(歩行器)

歩行車には「四脚四輪歩行車」「三輪歩行車」「椅子付き歩行車」などの種類があり、屋内用と屋外用があります。
このうち、関節リウマチの方には、前腕で支えるタイプの「四脚四輪歩行車」などが用いられています。

四脚四輪歩行車(前腕で支えるタイプ)
四脚に車輪が付いた歩行車で、軽く押しながら歩行できます。
手で支えるタイプとは異なり、前腕を置くアームレストがついているため、関節リウマチなどで手指や手首に負担をかけられない方や肘を十分にのばせない方に向いています。
ブレーキが付いているものは、スピード調節が可能です。また、ハンドルの高さや角度を調節できるもの、折りたたみ可能なものなどがあります。ただし、左右の握力が異なる場合などは、回転してしまうことがあるため注意が必要です。
介護保険でレンタル(福祉用具貸与)できます。


住環境・日常生活の工夫

ご自宅の玄関や階段、トイレ、浴室などに、手すりを取り付けるとよいでしょう。
ドアノブは、丸型よりレバーハンドル(または「ドアノブ用グリップバンド」を取り付ける)の方が開け閉めしやすくなります。水道の蛇口も、レバーハンドル式(または「水道栓回し」を取り付ける)の方が関節への負担を減らせます。また、バランスのよい食事や適度な運動(リウマチ体操など)を心がけ、冷えや湿気から身を守りましょう。

パーキンソン病

パーキンソン病

パーキンソン病は、脳の異常のために、身体の動きに障害があらわれる病気です。代表的な症状には「手足がふるえる(振戦)」「手足の筋肉がこわばる(筋固縮)」「バランスがとれない(姿勢反射障害)」「身体の動きが遅い・少ない(無動・寡動)」があります。

また、幻覚や抑うつなどの精神症状や、便秘などの自律神経症状が生じることがあり、ご高齢の方は認知症を合併することがあります。
パーキンソン病も、介護保険制度の「特定疾病」に指定されています。


歩行補助用具

・歩行補助杖・歩行器

パーキンソン病の方には、「小刻み歩行」「すり足歩行」「加速歩行」「すくみ足」など歩行障害の症状があらわれることもあります。
「すくみ足」とは、足底が地面にへばりついたようになり、前に進めなくなる現象のことです。歩こうとしても最初の一歩が踏み出しにくくなり、転倒につながることがあります。

パーキンソン病の方が安全に歩行する方法として、リハビリテーションや歩き方の工夫がありますが、杖・歩行器などを使うとよい場合もあります。歩行補助用具を利用するときはケアマネジャーや理学療法士などの専門職に相談し、ご自身の症状や環境にあったものを選びましょう。

多脚型杖(多点型杖)
杖の先が複数に分岐しており、一本杖よりも安定度が高い杖です。支持面が広いワイドベースと、支持面が狭いスモールベースがあります。市販されているのは脚が4本のものが多く、「四点杖」や「四脚杖」と呼ばれています。
四点杖・四脚杖


住環境・日常生活の工夫

手すり

日常生活においては、骨折につながりやすい転倒を防ぐことが大切です。
ご自宅のトイレや浴室などに手すりを取り付け、段差はスロープで解消しましょう。また、よく通る場所は広くし、照明を設置して常に明るくしておきましょう。
「すくみ足」の症状がある方は、床にテープなどで歩幅間隔の目印をつけ、これをまたぐようにすると歩きやすくなる場合があります。
衣服の着脱、入浴などは安定した椅子に座って行うと楽で安全です。歯ブラシやカミソリなどは、電動のものを使うとよいでしょう。また、食べ物が飲み込みにくい場合は、適度にとろみをつけるなどの工夫をしましょう。


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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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