第46回(2019年)国際福祉機器展レポート(1)自立をサポートする介護用品

毎年「介護の便利帖」でレポートしている国際福祉機器展(H.C.R.)が、今年も9月25日から3日間にわたって東京ビッグサイトで開催されました。国際福祉機器展は、アジア最大級の規模といわれる福祉機器の国際展示会です。第1回の本記事では、日常生活の不便を解消して自立をサポートする介護用品をご紹介します。

第46回(2019年)国際福祉機器展レポート(1)

「第44回(2017年)国際福祉機器展レポート」はこちらからご覧いただけます。

第44回 国際福祉機器展レポート(1)注目の介護製品

第44回 国際福祉機器展レポート(2)IoT・ICTを活用した福祉機器

「第45回(2018年) 国際福祉機器展レポート」はこちらからご覧いただけます。

第45回 国際福祉機器展レポート(1)日常生活に役立つ介護用品

第45回 国際福祉機器展レポート(2)介護する方も快適になる介護用品

軽くて便利な「楽(らく)らくハンド」

軽くて便利な「楽(らく)らくハンド」

手の届かない場所にあるものを引き寄せたり、つかんだりするための道具の一種を「リーチャー」や「マジックハンド」などといいます。
「楽(らく)らくハンド」は、日常生活のさまざまな場面で活躍するリーチャー(マジックハンド)です。
先端にはフックがついており、リモコンや新聞などを楽々と手元に引き寄せることができます。また、キャッチャー部分に滑り止めとしてラバーを使用しているため、小さなものや薄いもの、ペットボトルなどがしっかりつかめます。

サイズは、ミニタイプ(全長40cm)、ショートタイプ(全長55cm)、ロングタイプ(全長70cm)の3種類。車椅子に乗った状態で使う方、立位で腰が曲がらない方、腕が上がらない方など、身体状況や使う場所、用途などに合わせて選ぶことができます。

軽くて便利な「楽(らく)らくハンド」

軽くて便利な「楽(らく)らくハンド」

照明をつける、カーテンを引く、洗濯物(ハンガー)をかけるなどの細かい動作も試してみました。
実際に持ってみて、まず感じたのはその軽さ。そして、つかむ動作をするためのハンドルを握るときに指や手首への負担が少ないことが印象的でした。

先端のはさむ部分は軽く引くことで90度ずつ360度回転し、柄の部分はアルミで作られているため、軽量で使いやすくなっています。

軽くて便利な「楽(らく)らくハンド」

軽くて便利な「楽(らく)らくハンド」

薄いティッシュペーパーも1枚ずつ簡単につかめて、スムーズに取り出すことができました。ボタンやコインなども無理なくキャッチできるので、小物をうっかり落としてしまったときも安心ですね。
ハンドル部分には、手首に通せるストラップがついていて保管にも便利。さらに、鉄製のヘアピン、クリップなどをくっつけて拾えるマグネットがついています。

株式会社インタージェット AIJ福祉事業部
http://www.aij-osaka.com/products/pr_rh.html

スライド式食具「スマイルスプーン」

スライド式食具「スマイルスプーン」

「スマイルスプーン」は、摂食嚥下(せっしょくえんげ)を快適にサポートするスライド式食具です。

例えば、十分に口を開けることができない開口障害(かいこうしょうがい)をお持ちの方の食事介助では、スプーンが口に入りづらいことがあります。また、麻痺(まひ)などで舌の動きや口唇(こうしん)の閉鎖が不十分な場合は、食べ物がスプーンを抜く際に口から出てしまったり、置いた場所から移動して食物残渣(食べ物のかす)が残ったりすることがあります。
スマイルスプーンは、食べ物を口の中に取り込むことが困難な方と介助者、双方への負担を抑えます。

スマイルスプーンの使い方
① ゼリーなどの食べ物をすくいとります。
② スプーンを口の中へ持っていきます。
③ スライドさせて、飲み込みやすい舌の位置に食べ物を置きます。

さじ部分は一般的なティースプーンのサイズに近いコンパクトな作りで、高さはわずか7mmです。
ゼリーなどをスライス状にしやすいよう、やや四角い形になっていますが、外側には丸みをもたせており、舌にフィットしやすくなっています。
柄の部分は約18cmと長めで太く、スライド式のレーキは持ちやすいように工夫されているため、介助用としてだけでなく、自助具としての活用も可能です。

カラーはピンク、バイオレット、ライムグリーンの3色。いずれも明るく優しいトーンで、食事の時間がより楽しくなりそうですね。

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スライド式食具「スマイルスプーン」

株式会社サカエ工業
https://www.sakae-k.co.jp/smilespoon.html

ゼリー飲料用ストロー「スマイルストロー」

ゼリー飲料用ストロー「スマイルストロー」

「スマイルストロー」は、市販のゼリー飲料をより安全・快適に飲めるよう工夫されたストローです。

ご高齢の方や嚥下(えんげ)障がいがある方などの水分・栄養補給に便利なゼリー飲料。
市販のゼリー飲料の吸い口は通常8~9mmですが、スマイルストローは適量に調節しやすい3mmに設計されています。
飲むときは、ストローを吸い口にセットし、中央部にあるへこみまでくわえて、ひと口量を手で押し出します。吸い込むのではなく、舌の上に押し出すのが安全に飲むコツだそうです。

ストローのベース部分にはキャップオープナーがついており、小さなキャップを開けにくい方もご自身で簡単に開けやすくなっています。また、倒れてもゼリー飲料がこぼれにくい設計です。
使用後は付属のブラシで簡単にお掃除することができます。

株式会社サカエ工業
https://www.sakae-k.co.jp/smilespoon.html

介助用食器「らくらくゴックン」

介助用食器「らくらくゴックン」

「らくらくゴックン」は、食べづらい方、飲み込みづらい方のための介助用食器です。 むせやすい、口を十分に開けることができない、スプーンを噛んでしまうなど、食事介助で困っている方をサポートします。介助用としてはもちろん、可能であれば自助具として使うこともできるそうです。

青いキャップの容器は「おかゆ・ミキサー食用」、赤いキャップの容器は「スープ・お茶用」で、1人用の食事に必要な個数をセットにした「一人前セット」もあります。 容器は煮沸消毒することができ、電子レンジの使用も可能です。(水量調節器具は不可)

介助用食器「らくらくゴックン」

青いキャップの「おかゆ・ミキサー食用」は、上部のピストンを押しながら、ノズルゴムを親指と人差し指で先端にすべらせるようにしごき、食品を絞り出します。 ノズルゴム部には小さじスプーン1杯分(約5cc)が入り、3回で大さじ1杯分(約15cc)の量になります。ノズルがシリコンゴムなので、口にくわえても違和感がありません。

介助用食器「らくらくゴックン」

赤いキャップの「スープ・お茶用」は、レバーで水量を調整しながら飲めるので、サラッとした水分でむせてしまう方でも飲みやすいのが特長です。ノズルゴムをくわえてもらい、声をかけながら、少しずつ飲んでいただきます。もし容器が倒れてしまっても、中のものはこぼれません。

斉藤工業株式会社
http://www.saitow.co.jp/etc_20010.html



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ご高齢者に多い病気等と知っておきたい福祉用具の種類・選び方

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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