地域で高齢者の暮らしを支える「地域包括ケアシステム」とは？

2020/01/16

介護の基本

地域包括ケアシステムとは、高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域で支え合う体制のことです。
現在、市区町村や都道府県などの各自治体では、さまざまな取り組みが進められています。
今回は、ご高齢者を地域社会で支える「地域包括ケアシステム」についてわかりやすく解説します。

「地域包括ケアシステム」とは

「地域包括ケアシステム」とは、「住まい」、「医療」、「介護」、「予防」、「生活支援」のサービスを地域で一体的に提供するシステムのことです。「団塊の世代」が75歳以上となる2025年を目途に構築の実現を目指しています。

「地域包括ケアシステム」は、市区町村や都道府県が主体となり、地域（おおむね30分圏内）の特性や実情、課題に応じて作り上げていきます。
また、行政だけではなく、自治会やNPO、ボランティア、民間企業、地域住民などが一体となって取り組むことが求められています。さらに、お元気なご高齢者が生活支援の担い手となるなど、社会参加や生きがいづくり、介護予防につなげていくことも重要になります。

地域包括ケアシステムの背景

日本で「地域包括ケアシステム」が必要になった背景には、少子高齢化があります。
今後も高齢化は進行し、65歳以上の高齢者数が2025年には3,657万人、2042年には3,878万人になると予測されています。
65歳以上のご高齢者のうち、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の方が増加していき、2025年には470万人となる見込みです。そして65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯もますます増えると予測されています。
また、75歳以上の高齢者の全人口に占める割合が増加し、2055年には25％を超えると見込まれています。

出典：厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」

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「地域包括ケアシステム」のポイント

中心的な役割を担う地域包括支援センター

地域包括ケアシステムの実現のために中心的な役割を担っているのが、各市区町村が設置する「地域包括支援センター」です。
地域包括支援センターでは、保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員（主任ケアマネジャー）などを配置し、さまざまな支援を行っています。

地域包括支援センターの主な業務
① 介護予防ケアマネジメント業務
② 総合相談支援業務
③ 権利擁護業務
④ 包括的・継続的ケアマネジメント業務

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そして、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に進めていく「地域包括ケアシステム」の実現に向けた手法として開催されているのが「地域ケア会議」です。

「地域ケア会議」とは、地域包括支援センターや市区町村が主催する話し合いの場のことで、主な構成員は、自治体職員、地域包括支援センター職員、ケアマネジャー、介護事業者、医療関係者、民生委員、リハビリ職などです。
多職種が協働して、ご高齢者が抱える個別の課題の解決を図るとともに、地域の課題を把握して共有します。そして、地域課題を解決するために必要な資源開発や地域づくりを行い、さらには政策形成につなげることで、地域のケア体制を整備していきます。

4つの助（自助・互助・共助・公助）

出典：厚生労働省「地域包括ケアシステムの5つの要素」を加工して作成

地域包括ケアシステムは、4つの助（自助・互助・共助・公助）の連携によって成り立っています。

自助

自分自身のケアのことです。市場サービスの購入も含まれます。
・地域の活動に参加する
・健康維持のために定期検診を受ける
・健康づくりや介護予防に取り組む　　　など

互助

地域のつながりによる支え合いのことです。費用負担が制度的に裏付けられていない自発的なものを指します。
・近隣住民の助け合い
・NPOやボランティアの生活支援　　　など

共助

制度化された相互扶助のことです。
・介護保険制度や医療保険制度　　　など

公助

福祉サービスなど、公の負担（税による負担）で行う支援のことです。
・高齢者福祉事業
・生活保護や人権擁護、虐待対策　　　など

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ライター：樋口　くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。