フレイル(虚弱)を防ぐために

「栄養」「運動」「社会参加」は、健康長寿のための「3つの柱」といわれています。これらを意識することで、フレイルの予防にもつながります。
栄養
ご高齢者が陥りやすい「低栄養」は、フレイルに大きくかかわっています。
食事は時間を決めて、1日3食しっかり食べることが大切です。たんぱく質(肉・魚・大豆製品・乳製品・卵など)を積極的にとり、バランスのよい食事を心がけましょう。「食欲がない」「食が細い」などで必要な量がとれない場合は、間食で栄養補給したり、栄養補助食品などを利用したりしましょう。

ひとり暮らしのご高齢者は、ひとりで食事(孤食)をすることが多く、偏食や栄養不足に陥りがちです。
できるだけご家族や友人と一緒に、コミュニケーションをとりながら食事(共食)をすることも低栄養の予防につながります。
また、お口の機能低下(オーラルフレイル)を防ぐことも重要です。口腔ケアやお口の体操などを心がけて、口腔機能を維持・向上させましょう。
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運動

最近耳にするようになった「サルコペニア(加齢に伴い筋肉が衰えた状態)」や「ロコモ(ロコモティブシンドローム・運動器症候群)」もフレイルを招く原因になりえます。
筋力トレーニングには、サルコペニアやロコモの予防・改善効果も期待できます。運動が苦手な方は、テレビを見ながらストレッチをするなど簡単なことから始めてみましょう。ご自身に合った運動を取り入れて、無理なく楽しく続けることがポイントです。
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社会参加

社会参加や社会貢献も、フレイルの予防に欠かせない要素です。
ご高齢者は、定年退職や子どもの独立、親しい人との死別などがきっかけで家に閉じこもり、筋肉が衰えてしまうことがあります。
フレイルの進行と重症化を防ぐためには、趣味や地域の活動、ボランティアなどに参加し、社会的な役割を取り戻すことが大切です。特にひとり暮らしの方は積極的に外へ出て、友人との食事などを楽しみましょう。
その他
慢性疾患(糖尿病・高血圧・腎臓病・心臓病など)をかかえている場合は、まず治療で持病をコントロールすることがフレイル予防につながります。
また、免疫力が低下しているご高齢者は、感染症を予防することもフレイル対策のひとつです。バランスのよい食事や適度な運動で免疫力を高めるとともに、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種して、発症や重症化を防ぎましょう。
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健康寿命の延伸が重視される中、フレイルという言葉が注目されるようになったのは、長寿になれば要介護になるリスクは高いけれど、適切な心がけによって予防や回復も十分期待できるからです。健康寿命を延ばして自分らしい生活を続けるために、フレイルについて知り、予防意識を高めていきましょう。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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