安全においしく!介護初心者のための「口腔ケア」と「食事介助」

豊かな毎日を送るために欠かせないお食事。ご高齢者の食事介助では、食べものや唾液などが気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)に注意しながら、おいしく食べる喜びを感じていただくことが大切です。今回は、在宅介護がはじめての方にも分かりやすい「口腔ケア」と「食事介助」の基本をお伝えしていきます。

QOL(生活の質)を高めるための口腔ケア

QOL(生活の質)を高めるための口腔ケア

口腔ケアは、さまざまな効果が期待できます。

ご高齢者のお口のなかの特徴とは

口腔機能が低下しているご高齢者のお口は、歯石や歯垢がつきやすく、むし歯・歯周病・口内炎などのトラブルを起こしやすい状態になっています。また、唾液(だえき)の分泌量が減っているため、お口のなかは乾燥しがちです。

お口のトラブルに気づかないままにしておくと、「食べる」「話す」などの機能が衰えて、体力や抵抗力も低下してしまいます。

ご高齢者に必要な「口腔ケア」とは

このようなお口のトラブルを防ぎ、心身の健康を保つために必要なのが「口腔ケア」です。

口腔ケアには、お口の清掃や入れ歯のお手入れだけではなく、お口のリハビリやマッサージ・乾燥予防・食事介助・検診などがあります。ご自宅で行うセルフケアに加えて、歯科医師や歯科衛生士などが行うプロフェッショナルケアも取り入れましょう。

おいしいお食事や楽しい会話など、QOL(生活の質)の向上のためにも口腔ケアは欠かせません。また、発熱・誤嚥性(ごえんせい)肺炎・認知症・心臓病・糖尿病などの予防効果もあります。

ご自宅での基本的なお手入れの手順(介助者などが介助する場合)

ご自宅での基本的なお手入れの手順

ベッドの脇に座って行う場合は、背もたれになるようにお布団を置いて安定した姿勢を保ちます。足が床についていることもポイントです。

①感染予防のために介助者はマスクをつけ、手洗いをしてから使い捨ての手袋を使うことが大切です。お口はとても敏感なため、唇や歯に触れる前に必ず声をかけましょう。

②水や唾液が気管に入らないように、安全で疲れにくい姿勢をとります。いすに座る場合は、足が床についていることが大切です。いすに深く座り、アゴを引きましょう。ベッドで上体を起こして行う場合は、後頭部にバスタオルや枕をあててアゴを引きます

③お口を大きく動かしながら「ぶくぶく」とうがいをしていただきます。お口の運動になり、乾いたお口のなかをうるおす効果もあります。(入れ歯の場合は、外した入れ歯をみがきます。)

スポンジブラシで、お口の粘膜をやさしくこすります。このときに、スポンジブラシで左右のほほをふくらませるように上下にゆっくりと動かすとお口のストレッチにもなります。

歯ブラシを小刻みに動かしながら歯みがきをします。介助をする場合は両手を使いましょう。力を入れすぎず、軽い力でみがくことがポイントです。

舌苔(ぜったい)は、舌ブラシでやさしくこすります。

⑦しっかりとうがいをしていただいたら終了です。


リハビリのために、ご自身でできることはなるべくやっていただきましょう。完ぺきを目指しすぎず、スキンシップのひとつとして1日1回から、少しずつでも毎日無理なく続けることが理想的です。お口や身体の状態に合ったお手入れ方法については、かかりつけの医療機関に相談しましょう。

食事介助を安全に行うためのポイント

目を覚ましているか確認する

食事介助の前に声をかけて、ご高齢者の意識がはっきりしているかを確認しましょう。ボーっとしているときのお食事は、誤嚥(ごえん)のリスクを高めてしまいます。

お口のなかの状態を確認する

お食事をよりおいしく味わうために、うがいや軽い歯みがきでお口のなかを清潔にしておくことが大切です。

また、お口のなかが乾燥していると、食べものを飲み込みにくくなります。お水やお茶などでお口のなかを湿った状態にしてから、お食事に入るようにしましょう。

正しい姿勢になっているか確認する

正しい姿勢も、お食事中の誤嚥(ごえん)を防ぐための重要なポイントです。

・いすに座ってお食事する場合

いすに座ってお食事する場合

ご高齢者はいす(車いすも同様)に深く座り、テーブルはひじが置けるくらいの高さを目安にします。基本的な姿勢は、「足が床についていること」と「少し前かがみになっていること」です。

背中や後頭部、太ももの裏などに、クッションや座布団、バスタオルを入れて身体を安定させ、背筋をのばした前傾姿勢を保ちます。快適な姿勢を保ち、食べこぼしを防ぐためにも、いすとテーブルの距離はなるべく近づけましょう。

・ベッドでお食事する場合

ベッドでお食事する場合

ご自身でお食事ができる場合は、テーブルと垂直になるようにベッドを約90度の角度まで上げます。介助が必要な場合は、ベッドを約60度にするなど、ご高齢者が苦痛を感じない角度にすることが大切です。

頭がベッドの先端にくるように移動し、後頭部にバスタオルなどを入れて、背中と頭が直線にならないように安定させましょう。麻痺(まひ)や拘縮(こうしゅく)などがあって苦しい場合は、ベッドを約30度の角度にギャッジアップしてみます。

ご自宅での基本的な食事介助の手順

ご自宅での基本的な食事介助の手順

介助者は横に座り、目線はご高齢者と同じ高さにしましょう。

①あらかじめ声をかけて、意識を確認します。入れ歯は忘れずに装着し、トイレは済ませておきましょう。

安全な姿勢に調整して、必要な場合はエプロンをかけます。

③まずはうがいをしていただき、先に水分からお口へ運びます。一口目は特に誤嚥(ごえん)のリスクが高いため、注意しましょう。心配な場合は、1、2滴のお水を舌の上に垂らして飲み込むことを数回くりかえしてからお食事に入ります。

④声をかけながら、お食事の温度や量に注意してお口に運びます。ティースプーン1杯ほどの量が一口の目安です。

⑤のどの動きをみて飲み込んだことを確認しましょう。ゆっくりとタイミングをみながら次のスプーンを運びます。

⑥お食事が終わったら、すぐに横にならずにリラックスできる姿勢をとります。必要な口腔ケアも行いましょう。


介助者は横に座ると、ご高齢者の首に負担をかけずにスムーズな食事介助ができます。介助者の目線をご高齢者と同じ高さにすることも大切なポイントです。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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