認知症の当事者同士で支え合う「認知症ピアサポート」

同じような悩みや経験を持つ人同士が支え合うピアサポート。幅広い領域で使われる言葉ですが、認知症の当事者同士による支援活動は「認知症ピアサポート」といいます。今回は、認知症と診断されたご本人やご家族の心理的な負担軽減が期待できる「認知症ピアサポート」についてお伝えします。

ピアサポートとは

ピアサポートとは

ピアサポート(peer support)とは、同じような立場の人同士の支え合いを表す言葉です。ピア(peer)は「仲間」を意味し、サポート(support)は「支援」を意味します。

認知症の方に限らず、何らかの病気や障がいを抱えている方、同じ学校の学生、職場の同僚など、同じ立場や環境にいる人同士が交流、相談、情報交換等を行う活動もピアサポートです。
当事者が対等な仲間としてお互いに支え合うところが、専門家によるサポートと異なります。

認知症ピアサポートとは

認知症ピアサポートとは

認知症と診断されたら、ご本人やご家族はショックを受けたり、「これからどうなるのだろう...」と不安になったりするでしょう。自信を失い、家にこもりがちになる方も少なくありません。
介護が長引けばご家族のストレスや疲れがたまってしまうため、早めに心身への負担を減らすことが大切です。

「認知症ピアサポート」とは、認知症の当事者同士で支え合う活動のことです。
認知症の診断を受けた当事者(ピアサポーター)がご自身の経験を生かし、同じ想いを抱える方の負担軽減を図ります。

2019(令和元)年に政府がとりまとめた「認知症施策推進大綱」で「本人発信支援」が掲げられ、全都道府県に認知症ピアサポート活動に取り組むことが求められています。


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認知症ピアサポートの活動内容

認知症ピアサポートの活動内容

相談支援

認知症の人同士がお互いの経験を話し合い、悩みを相談することで、前向きな気持ちになれるようサポートします。
友人などに話しにくいことも、同じ立場のピアサポーターになら話せるかもしれません。当事者同士だからこそ共感できることもあるでしょう。
また、ピアサポーターは体験に基づいた具体的なアドバイスや生活の工夫などを伝えることができるかもしれません。たとえ問題が解決しなくても、悩みを言葉にするだけで気持ちが和らぐこともあります。


当事者同士の交流

認知症の当事者同士が出会い、交流の輪が広がるようサポートします。
例えば、本人ミーティング(認知症のご本人が集まり、体験や希望などを話し合う場)に誘う、同行するなどです。
また、ピアサポートをする認知症の方が仲間同士の交流を通じて社会とのつながりを取り戻したり、生きがいを見出したりすることもあります。


認知症に関する情報の提供

介護をするご家族等が適切なケア、環境の調整をすることで、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発症予防効果や軽減が期待できます。
認知症の方のご家族を対象としたピアサポートでは、認知症に関する正しい知識や介護に関する情報提供も行っています。また、このような活動を通じて周囲の理解を得ることができれば、認知症になっても暮らしやすい地域になるのではないでしょうか。


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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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