身近な場所で認知症の方と出会ったとき、私たちはどのように接すればよいのでしょうか。今回は、認知症について正しく理解し、認知症の方やそのご家族が安心して暮らせるよう支援する「認知症サポーター」について解説します。
「認知症サポーター」とは?
認知症サポーターとは、認知症について正しく理解し、認知症の方やそのご家族を自分のできる範囲で手助けする人のことです。
2004(平成16)年12月に「痴呆」という呼び名が「認知症」に改まったことを契機に、国は翌2005(平成17)年度を「認知症を知る1年」と位置づけました。そして、同年に始まった「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」の一環として各地域で養成されるようになったのが「認知症サポーター」です。
認知症サポーターの人数は、2023(令和5)年 6月末時点で、14,645,915人(うちキャラバン・メイト数 176,020人)となっています。
「認知症サポーター」になるためには
認知症の症状や対応の仕方などを学ぶ「認知症サポーター養成講座」を受講すれば、どなたでも認知症サポーターになることができます。
認知症サポーター養成講座を実施しているのは、都道府県や市町村、職域団体、学校などです。また、社員研修として認知症サポーター養成講座を開催している企業もあります。
認知症サポーター養成講座を受講した方には、認知症サポーターの証として、認知症サポーターカードやオレンジリング(オレンジ色のブレスレット)などが渡されます。
※ 2020(令和2)年度まではオレンジリングが全国一律で配布されていましたが、2021(令和3)年4月以降は、原則として講座の実施主体者が作成する認知症サポーターカードが渡されるようになりました。
「認知症サポーター養成講座」について
「認知症サポーター養成講座」では、認知症の基礎知識、認知症の方と接するときの心構え、声かけ・対応の仕方などを学ぶことができます。
対象となるのは、地域にお住まいの方をはじめ、一般企業にお勤めの方、小・中・高等学校の学生などさまざまです。
講師は認知症について専門的な知識を持ち、県などが開催する養成研修を修了した「キャラバン・メイト」が務めます。
全国共通テキストや事例DVDを用いてわかりやすく説明してくれますので、予備知識がなくても安心して受講できます。
受講費は原則として無料で、所要時間の目安は90分です。
また、認知症サポーター養成講座を修了した方を対象とした「認知症サポーターステップアップ講座」というものもあります。ステップアップ講座は、認知症についてさらに理解を深めるための講座として、自治体(都道府県・市区町村)が開催しています。
「認知症サポーター」の役割
厚生労働省は「認知症サポーターに期待されること」として以下の5つを挙げています。
- ① 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない
- ② 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る
- ③ 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する
- ④ 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる
- ⑤ まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する
認知症サポーターは何か特別なことをしなければならないというわけではありません。認知症の方やそのご家族を温かく見守る応援者として、あくまでもできる範囲で手助けすることが期待されています。
たとえば「身近な方に学んだことを伝える」「ご本人やご家族の気持ちに寄り添う」「認知症の方に出会ったとき、ちょっとした心配りをする」などです。また、「地域でネットワークをつくる」「リーダーとして地域づくりを担う」など、人それぞれの活躍の仕方もあります。
認知症サポーター養成講座は、地域や職場、学校など身近なところで開催されています。「認知症について知りたい」「認知症サポーターになりたい」という方は、最寄り(在住・在勤・在学)の自治体事務局へお問い合わせください。
全国キャラバン・メイト連絡協議会ホームページ「全国の自治体事務局連絡先一覧」
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<参考・引用>
厚生労働省 認知症施策
全国キャラバン・メイト連絡協議会
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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