「8050」とは、一般的に80代の親と自立できない事情を抱える50代の子どもを指し、こうした親子が社会的に孤立してしまう問題が「8050問題」と呼ばれています。今回は、深刻化する「8050問題」の現状やその背景にある「ひきこもり」、関連する相談窓口などについてお伝えします。
8050問題とは
いわゆる「8050問題」とは、80代の親と50代の子どもの組み合わせによる生活問題のことです。
80代前後の高齢の親が、同居する50代前後の子どもの生活を支えることにより、社会的孤立を深め、経済的にも困窮する世帯が増えています。
この問題の背景には、子どもの「ひきこもり」の長期高齢化、ご家族やご本人の病気、親の介護、子どもの介護離職(ご家族の介護のために仕事を辞める)やリストラなど、さまざまな要因があります。また、複数の要因が複雑に絡まり合っている場合も多くあるため、包括的な支援体制が必要となっています。
8050問題の背景にある「ひきこもり」
「8050問題」の背景には、子どもの「ひきこもり」の長期化・高年齢化があるといわれています。
ひきこもりとは、「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」と定義されています。(厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
ひきこもりの要因はひとつに特定できないことが多く、統合失調症などの精神疾患や発達障がいなどが要因になっている場合もあります。
内閣府の調査では、ひきこもり状態にある方は100万人を超えると推計されています。40~64歳の方は推計61.3万人となっており、7割以上が男性でした。
ひきこもり状態になってからの期間をみると、「3~5年」が21.3%と最も高くなりましたが、「7年以上」が半数近くを占めています。
ひきこもり状態になったきっかけは「退職したこと」が最多で、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」、「職場になじめなかったこと」が続きました。
(内閣府「令和元年版 子供・若者白書(全体版)特集2 長期化するひきこもりの実態」)
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8050問題・ひきこもりに関する相談窓口
高齢の方や介護が必要な方、ひきこもり状態にある方、そのご家族が抱える複合的な課題に対応するため、国や自治体では包括的な相談・支援体制の構築を進めています。
関連リンク:
厚生労働省ひきこもり支援推進事業
厚生労働省ひきこもり支援ポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」
ひきこもり地域支援センター
ひきこもりに特化した専門的な第1次相談窓口です。都道府県と指定都市に設置されてます。 社会福祉士や精神保健福祉士、臨床心理士などの資格を持つ「ひきこもり支援コーディネーター」が、ひきこもりの状態にある方やご家族からの相談に応じています。
精神保健福祉センター
ひきこもり相談のほか、精神保健福祉全般にわたる相談に応じています。都道府県と指定都市に設置されています。
全国精神保健福祉センター長会「全国精神保健福祉センター一覧」
保健所
地域住民の健康を支える中核となる施設です。保健師や精神保健福祉士などの専門職が、ひきこもり相談のほか、こころの健康や保健、医療、福祉に関する幅広い相談に応じています。都道府県や指定都市、中核市、特別区などに設置されています。
市町村保健センター
地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設です。多くの市町村に設置されています。
詳しくは各市町村役所や役場までお問い合わせください。
生活困窮者の自立相談支援機関
「働きたくても働けない」「住む所がない」など、生活全般にわたる困りごとの相談窓口です。
専門の支援員が相談者に寄り添いながら、他の専門機関と連携して解決に向けた支援を行っています。
地域包括支援センター
地域のご高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の支援などを行っています。
市町村に設置されています
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公的な相談窓口のほかに民間の相談窓口などがありますが、ひきこもり支援を目的として掲げる民間事業者との契約・利用時等において消費者トラブルも発生しています。消費者庁は、「対応が説明と異なる」「途中で解約できない」「高額な利用料を請求される」などのトラブルに遭った場合には、お近くの消費生活センターに相談するよう呼びかけています。
・消費生活に関する相談の窓口
消費者ホットライン(局番なしの188)
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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