ご高齢者がかかりやすい尿路感染症を予防するためにできること

高齢になると、免疫機能の低下などにより感染症にかかるリスクが高まります。尿路感染症(にょうろかんせんしょう)も、ご高齢者がかかりやすい感染症のひとつです。今回は、尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)について解説し、ご本人や介護する方に気をつけていただきたい症状や予防のためにできることもお伝えします。

関連記事
日ごろの予防が大切!ご高齢者がかかりやすい感染症とその対策

尿路感染症とは

尿路感染症とは

尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道のことを尿路といいます。
尿路感染症(にょうろかんせんしょう)は、尿路に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。
感染する場所によって、膀胱炎(ぼうこうえん)と腎盂腎炎(じんうじんえん)に分けられます。

膀胱炎(ぼうこうえん)

主に尿道から入り込んだ細菌が膀胱で増殖することによって起こります。
膀胱炎の症状は、頻尿(尿が近い)、残尿感(尿が残っている感じがする)、排尿痛(尿をするときに痛みがある)、尿混濁(尿がにごる)、血尿(尿に血が混じる)などです。


腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎臓の中の尿が集まる部分を腎盂(じんう)といいます。
膀胱で増殖した細菌が尿管を通ってさかのぼり、腎臓まで達してしまうことで腎盂腎炎が起こります。
腎盂腎炎になると、膀胱炎の症状(頻尿、残尿感、排尿痛など)に加えて、わき腹や腰の痛み、発熱などの症状がみられることがあります。


尿路感染症の主な症状

尿路感染症の主な症状

・急にトイレに行く回数が増えた
・尿をするときに違和感がある
・排尿しても尿が残っているような感じがする
・下腹部に違和感や痛みがある
・尿がにごることがある
・尿に血が混じることがある
・わき腹や腰に痛みを感じる
・高熱が出る

尿路感染症を防ぐためにできること

水分を十分にとりましょう

水分をこまめにとると尿量が増え、膀胱内に入った細菌を尿と一緒に流し出すことができます。


トイレを我慢しすぎないようにしましょう

尿が膀胱に長時間たまっていると細菌が増えやすくなるため、尿意を感じたら我慢しすぎずトイレに行くようにしましょう。また、排尿・排便後は前から後ろ(尿道から肛門に向かって)に拭くようにします。


体を冷やさないようにしましょう

体の冷えは免疫力の低下につながるといわれています。体(特に下半身)を冷やさないように気をつけましょう。


おむつを安易に使用しないようにしましょう

おむつや尿とりパッドなどを使用している場合は、排尿・排便後にできるだけ早く交換し、陰部の清潔を保ちます。
おむつを使用している方でも、尿意・便意があって安定した座位を保つことができれば、トイレやポータブルトイレでの排せつを検討してみましょう。


関連記事
ご高齢者のためのおむつの選び方とおむつ交換のポイント
おむつを使用する前に検討したいポータブルトイレの選び方と活用法
ご高齢者を傷つけない排泄介助(トイレ介助)のポイント

バランスのよい食事をとりましょう

低栄養になると免疫力や体力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。
栄養バランスのよい食事を心がけて低栄養を防ぎましょう。

また、便秘が続くと大腸で悪玉菌が増えるため、尿路感染症のリスクが高まるといわれています。
便秘を予防・改善するためには、食事などの生活習慣を見直してみることも大切です。


関連記事
ご高齢者の低栄養を防ぐために活用したい「食事バランスガイド」
ご高齢者の食べる能力に合わせた食事とは? 食形態から考える介護食

適度な運動を心がけましょう

適度な運動には免疫機能を高める効果があるといわれています。
ただし過度な運動はかえって免疫機能を低下させる恐れがありますので、ご自身の体力や体調に合った運動を無理なく続けることが重要です。

関連記事
いつまでも自分らしく暮らし続けるために「健康寿命」を延ばしましょう!
QOL(生活の質)を維持・向上するご高齢者の筋力トレーニング
ご自宅で気軽にできる体操で心身の健康を保ちましょう

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

ご高齢者がかかりやすい尿路感染症を予防するためにできること

Facebookページで
最新記事配信!!

あなたにおすすめの記事

関連記事

介護の基本のおすすめ記事