ポータブルトイレとは

ポータブルトイレ（腰掛便座）とは、自由に動かせる簡易型トイレのことです。主にご高齢者の寝室のベッドサイドなどに置いて使用します。
できるかぎりトイレで排泄していただくことが大切ですが、トイレへの移動が難しい方などは、ポータブルトイレを使うことでQOL（生活の質）が向上する場合があります。
尿意・便意があり、座位姿勢を保持できる方は、おむつを使用する前にポータブルトイレの活用も検討してみましょう。

ポータブルトイレを使用するメリット

排泄の自立をサポートできる

寝室からトイレまで距離や段差がある場合などに、ポータブルトイレを寝室に置くと、自力で排泄できる可能性が高まります。
「トイレまで歩いて行くのが難しい」「屋内でも車いすを使用していて移動が困難」という方は、ポータブルトイレの導入を考えてみましょう。また、「日中はトイレまで行けるけれど、夜はトイレまでの歩行が不安...」という方も、ベッドの近くにポータブルトイレがあれば安心できるでしょう。

介助スペースがとれる

トイレ介助が必要な方は、トイレやトイレまでの廊下が狭くて介助が難しい場合があります。
ゆとりのある寝室や居間などにポータブルトイレを置けば、無理なく動けるようになり、介助も容易になります。

トイレ介助の負担が軽減する

夜間にトイレに行く回数が多い場合、転倒のリスクが高い場合などは、ご家族のトイレ介助の負担も大きくなります。
夜間はポータブルトイレを活用することで、お互いに気を使わず、ゆっくり眠れるようになります。

ポータブルトイレの種類と選び方

ポータブルトイレは、ご本人の体格や身体状況、設置場所、ニーズなどに合わせて選ぶことが大切です。さまざまな種類や機能がありますので、福祉用具専門相談員などの専門家とよく相談しながら最適なものを選びましょう

ポータブルトイレの種類

家具調ポータブルトイレ

インテリア性が高く、居間などに置いても違和感なく使用できるポータブルトイレです。重量があるため安定性も高く、ふたをすると椅子として使えるタイプもあります。座位保持が不安定な方、ポータブルトイレの使用時間が長い方は、背もたれやひじ掛けがしっかりした座り心地のよいものを選ぶとよいでしょう。ポータブルトイレを移動させる必要があるなら、キャスター付きが便利です。比較的高価で、十分な設置スペースが必要になります。

プラスチック製ポータブルトイレ

軽くて持ち運びしやすく、お手入れがしやすい点がメリットです。比較的安価で、シンプルなものから多機能のものまで幅広い種類があります。部屋が狭い場合は、場所をとらないコンパクトタイプを選ぶとよいでしょう。ただし、軽量型は安定性に欠けるため、立ち座りや座位保持が不安定な方には向きません。転倒のリスクがある場合は、専用の手すりなどが必要になることもあります。

水洗式ポータブルトイレ

水洗式でニオイが気にならないポータブルトイレです。使用後の後始末が要らないため、介助するご家族の負担も軽くなります。寝室などに後付けできますが、設置スペースや工事が必要です。

ポータブルトイレの機能

座面の高さ調整

使用する方の体格や身体状況に合わせて、座面の高さを調整できるものがあります。ベッドサイドに設置する場合は、ベッドと座面を同じくらいの高さに調整すれば、移乗しやすくなります。

ひじ掛けの跳ね上げ・着脱

ひじ掛けの跳ね上げや取り外しができるタイプは、乗り移りがしやすくなります。座位移乗（座った姿勢でベッドとポータブルトイレ間を移乗する）で使用する場合は、ひじ掛け可動式のものを選びましょう。

脱臭機能

ポータブルトイレは寝室やベッドのすぐ横に置くことが多いため、部屋にニオイが染みつきやすくなります。不快なニオイを消す脱臭機能が付いたタイプなら、ご本人や介助者の精神的負担の軽減にもつながります。

温水洗浄・暖房便座

おしりをふきにくい方は、温水でおしりを洗える機能がついたタイプが便利です。おしりの清潔保持や、肌トラブルの予防もできます。また、暖房機能付きの便座なら冬場もあたたかく、便座の冷たさによるショックを軽減できます。

ソフト便座機能

おしりがやせている方や排泄に時間がかかる方などには、便座がやわらかく、おしりが痛くなりにくいタイプが向いています。

後方介助スペース

後ろからの介助が必要な場合は、座面を後方に倒せるものや、手を差し込む空間があるものを選ぶと便利です。

介護保険制度の活用によるポータブルトイレの購入

ポータブルトイレ（腰掛便座）は水洗式のものも含めて、介護保険制度の「福祉用具購入費（※）」の対象になります。ただし、「特定福祉用具販売事業者」から購入したものに限りますのでご注意ください。介護保険の要介護（要支援）認定を受けている方は、担当のケアマネジャー（介護支援専門員）などに事前に相談しましょう。

※「福祉用具購入費」とは？

介護保険の福祉用具には「購入」と「貸与（レンタル）」があります。
ポータブルトイレ（腰掛便座）を含む入浴・排泄関連用具は、衛生管理面などで貸与（レンタル）になじまないため、「福祉用具購入費」を保険給付の対象としています。
購入の限度額は、年間（4月から翌年3月）で10万円です。1割負担の方は、10万円の範囲内でかかった費用の1割が自己負担額となります。（10万円を超えた部分の費用は全額自己負担となります）。

ポータブルトイレ（腰掛便座）は、次のいずれかに該当するものに限ります。
・和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの（腰掛式に交換する場合に高さを補うものを含む）
・洋式便器の上に置いて高さを補うもの
・電動式またはスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの
・便座、バケツ等からなり、移動可能である便器（水洗機能を有する便器を含み、居室において利用可能であるものに限る）ただし、設置費用は除く。

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