ご高齢者の低栄養を防ぐために活用したい「食事バランスガイド」

栄養バランスのとれた食事が大切とわかっていても「1日に何を、どれだけ食べたらよいかわからない」という方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、1日の食事量の目安となる「食事バランスガイド」について解説します。

ご高齢者の身体と食生活

ご高齢者の身体と食生活

高齢になると、食欲不振や嗜好の変化などによって食事量が減り、低栄養(健康維持に必要な栄養素が不足した状態)になりやすくなります。
低栄養になると、筋力や体力、免疫力、認知機能などの低下を引き起こすことがあります。また、低栄養はサルコペニア(加齢に伴い筋肉が衰えた状態)やフレイル(虚弱)の要因のひとつです。栄養バランスのとれた食生活は、サルコペニアやフレイルなどの予防につながります。
適度な運動や生きがいのある生活を心がけるとともに、「食事バランスガイド」を活用して食生活を見直してみましょう。

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「食事バランスガイド」とは

「食事バランスガイド」とは

「食事バランスガイド」作成の目的

食事バランスガイドは、「食生活指針」を実際の食生活の中で具体的に行動に結びつけるためのツールとして、2005年(平成17年)に厚生労働省と農林水産省が決定しました。
「食生活指針」とは、2000年(平成12年)に文部省、厚生省、農林水産省(当時)が策定し、2016年(平成28年)に改定されたものです。健康で豊かな食生活を送るために実践してほしいことが、10項目にまとめられています。


食生活指針全体の構成

出典:農林水産省「食生活指針の解説要領」



「食事バランスガイド」のイラスト

「食事バランスガイド」は、1日の食事の目安をわかりやすく「コマ」の形で表現したものです。
食事の望ましい組み合わせと、おおよその量がイラストで示されており、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考になります。


食生活指針全体の構成

出典:農林水産省「食事バランスガイド」について



「コマ」で表現していること

        
運動「コマ」の上で人が走り「運動」を表しています。 バランスよく食べて、適度な運動をすることで「コマ」が安定して回ります。
水分・お茶水分は食事の中で欠かせない存在として「コマの軸」で示されています。
菓子・嗜好飲料食生活の楽しみとして適度にとりたい菓子や嗜好飲料は「コマ」を回すための「ヒモ」で表現されています。(お酒や菓子パンなどはここに含まれます。)


1日に「何を」食べたらよいか

        
主食 炭水化物が多く含まれているごはん・パン・うどん・そば・パスタなど
副菜 ビタミン・ミネラル・無機質・食物繊維が多く含まれている野菜・きのこ・いも・海藻料理など
主菜 たんぱく質が多く含まれている肉・魚・卵・大豆料理など
牛乳・乳製品 カルシウムが多く含まれている牛乳・チーズ・ヨーグルトなど
果物 ビタミン・カリウム等が多く含まれているみかん・バナナ・りんごなど

主に使われている食材や、その食材に多く含まれる栄養素によって、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの料理グループに分けられています。どれかが足りないと、または摂りすぎていると食事バランスが悪くなり、「コマ」は傾いて倒れてしまいます。



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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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