地域の認知症施策を推進するために活動している「認知症地域支援推進員」

2018(平成30)年度からすべての市区町村に配置されている認知症地域支援推進員。認知症の方ができる限り住み慣れた環境で暮らし続けることができるよう、地域の実情に応じたさまざまな支援を行っています。

認知症地域支援推進員とは

認知症地域支援推進員とは

国は、2015(平成27)年に「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」を目指す新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)を策定しました。

この新オレンジプランの総合的な推進役が、認知症地域支援推進員です。
すべての市区町村が、地域包括支援センターや市区町村の本庁、認知症疾患医療センターなどに認知症地域支援推進員を設置しています。

認知症地域支援推進員の主な役割

認知症地域支援推進員の役割は、大きく分けて以下の3つがあります。

・医療・介護等の支援ネットワーク構築
・関係機関と連携した事業の企画・調整
・相談支援・支援体制の構築

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認知症地域支援推進員の活動内容

認知症地域支援推進員は、地域の特徴や課題に応じて、医療機関・介護サービス・地域の支援機関の連携支援、認知症の方やそのご家族への相談支援などを行っています。(活動の内容は市区町村によって異なります。)

医療・介護等の支援ネットワーク構築

認知症の方にやさしい地域づくりを進めるために、医療や介護、地域の多世代の人たち、生活関連領域(買い物先・金融機関・交通機関など)をつなぐ役割を担っています。
この役割の一環として、認知症ケアパス(認知症の方の状態に応じた適切なサービス提供の流れをまとめたもの)を作成し、普及、活用を進めています。

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関係機関と連携した事業の企画・調整

地域の方に認知症のことを正しく知ってもらうために、関係機関と連携しながら、学び合いの場や機会などの企画・調整を行っています。
認知症カフェ(認知症の方やご家族、地域の方、介護・医療の専門職など誰でも気軽に集える場所)の開設支援、ご本人の社会参加活動の体制整備のための企画・調整、認知症サポーター養成講座の開催なども認知症地域支援推進員に期待される役割です。
それらの活動を通じて、認知症の方への対応力向上地域のつながりの拡充を図り、認知症の方とご家族を地域で支え合う体制を築くことが求められています。

ご本人が社会参加する活動のための体制整備

【認知症地域支援推進員の具体的な取り組み例】
●市町村が適当と認めた者による農業、商品の製造・販売、食堂の運営、地域活動等の社会参加に対する支援
●専門家を派遣するなど、利用者に対する技術・専門知識の指導・助言
●マルシェ等イベントの開催支援

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相談支援・支援体制構築

相談支援・支援体制構築

認知症の方やご家族などからの相談に応じています。
悩みや困りごとだけでなく、ご本人の思い、希望、好きなこと、やりたいことなどにも耳を傾けて記録します。そしてご本人がよりよく暮らしていけるよう、関係者や地域の方たちと話し合い、一緒に支援策を考えていきます。



認知症地域支援推進員は、医療・保健・福祉に関する資格、認知症の医療・介護の知識や経験を持つ専門職です。認知症になってもご本人の意思が尊重され、自分らしく生活できることを目指し、皆さまがお住まいの地域でも活動しています。認知症に関することでお悩みの方は、ご本人やご家族だけで抱え込まず、まずは相談してみてください。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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