認知症は早い段階で発見し適切な治療を行なえば、進行を遅らせることができる場合があります。
そこで重要視されているのが、認知症に関する正しい知識と理解をもち、認知症の方やご家族を支援できる「かかりつけ医」です。今回は、私たちにとって身近な「かかりつけ医」への助言や研修等を行う「認知症サポート医」についてお伝えします。
認知症サポート医とは
認知症サポート医とは、認知症の方の診療に習熟している医師のことです。
「かかりつけ医」の認知症診断等に関する相談役や、専門医療機関や地域包括支援センター等との連携の推進役となるための研修を修了しています。
認知症サポート医になるためには、国立長寿医療研究センターが実施する「認知症サポート医養成研修」を受講する必要があります。
「認知症サポート医養成研修」は2005(平成17)年度から始まり、2011(平成23)年度からは「認知症サポート医フォローアップ研修」も開催されています。実施主体は都道府県・指定都市です。
研修の対象者
実施主体の長が都道府県・指定都市医師会と相談の上、下記のいずれかの条件を満たし適当と認めた医師
・「認知症サポート医の役割」を適切に担える医師
研修の内容
・地域における認知症高齢者を支えるために必要な介護分野の知識、地域医師会・地域包括支援センター等の関係機関との連携づくり並びに連携を推進するために必要な知識・技術
認知症サポート医の役割
「かかりつけ医の認知症対応力向上研修」の企画立案・講師
地域で認知症の方やそのご家族を支えていくためには、身近な「かかりつけ医」の認知症対応力を高めることが重要になります。
認知症サポート医の役割のひとつが、「かかりつけ医」を対象とした認知症対応力向上を図るための研修の企画立案です。
「かかりつけ医」に対して、適切な認知症診断の知識・技術、ご家族からの話や悩みを聞く姿勢を習得するための研修が実施されています。
かかりつけ医の相談役・アドバイザー、ほかの認知症サポート医との連携体制の構築
相談役・アドバイザーとして、認知症の方の医療に関わる「かかりつけ医」を支援することも認知症サポート医の役割です。
「かかりつけ医」を持っているご高齢者は多いと思います。
患者さんの日ごろの状態を知っている「かかりつけ医」なら、ちょっとした変化に気づきやすいため、認知症の早期発見・早期対応につながるでしょう。
地域医師会と地域包括支援センターとの連携づくりへの協力
認知症サポート医は、地域における「連携」の推進役としても期待されています。
専門医療機関や地域包括支援センターなどと連携し、医療と介護が一体となって認知症の方を支援する体制の構築を図ります。
認知症について相談したいときは
認知症もほかの病気と同じように、早期発見・早期対応がとても大切です。
早期発見・早期対応のメリット
・早期治療により改善が可能な認知症もある
・ご本人の意思を尊重しながら、治療方針や利用する介護サービスを決めることができる
「もしかして認知症かもしれない」と思ったら、「かかりつけ医」や地域包括支援センターなどに相談しましょう。
・地域包括支援センターなど
介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
・医療機関の「もの忘れ外来」
全国もの忘れ外来一覧(公益社団法人 認知症の人と家族の会)」
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「認知症サポート医養成研修」や「かかりつけ医の認知症対応力向上研修」のほかにも、歯科医師や薬剤師、病院勤務の医療従事者、看護職員を対象とした認知症対応力向上研修が実施されています。また、地域で認知症の方やご家族を支えるためのさまざまな取り組みも進められています。
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家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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