65歳を過ぎたら気をつけたい肺炎球菌感染症(はいえんきゅうきんかんせんしょう)

2023/01/30

高齢になると免疫機能が低下するため、肺炎にかかりやすく重症化しやすいといわれています。「肺炎球菌」は、ご高齢者の一般的な肺炎の主な原因菌のひとつです。今回は、65歳を過ぎたら気をつけていただきたい肺炎球菌感染症や、ご高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種についてお伝えします。

肺炎球菌感染症とは

肺炎球菌感染症とは

肺炎球菌感染症(はいえんきゅうきんかんせんしょう)とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気のことです。
肺に感染して肺炎を起こすほか、敗血症(はいけつしょう)や髄膜炎(ずいまくえん)などを起こすこともあります。

肺炎球菌感染症にかかりやすいのは、乳幼児や65歳以上のご高齢者、基礎疾患をお持ちの方などです。
肺炎球菌は主に小児の鼻やのどに常在しており、ご高齢者の約3~5%にも常在しているといわれています。保菌している方すべてが発症するわけではありませんが、免疫力が低下している方が感染すると重症化リスクが高まります。

肺炎球菌の感染経路

主な感染経路は飛沫感染です。
咳やくしゃみをすることにより、唾液などを通じて人から人へ感染します。


肺炎球菌感染症の主な症状

肺炎の主な症状は咳、たん、発熱、息切れなどですが、ご高齢者は典型的な症状が出ないことがあります。進行が早く重症化しやすいこともご高齢者の肺炎の特徴です。


肺炎球菌感染症の予防対策

基本的な感染予防対策として、こまめな手洗い、うがい、マスクの着用などがあります。
規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事、適度な運動などを意識して、免疫力を落とさないようにすることも大切です。
ご高齢の方は誤嚥(ごえん)を起こしやすいため、口腔ケア、お口の体操、入れ歯(義歯)のお手入れを心がけましょう。
また、「肺炎球菌ワクチン」の予防接種という選択肢があります。


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肺炎球菌ワクチンとは

肺炎球菌ワクチンとは

2014(平成26)年から、ご高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種が始まりました。
定期接種で使用されるのは、「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」というものです。
肺炎球菌には90種類以上の血清型があり、「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」はそのうちの23種類の血清型に効果があるとされています。
この23種類の血清型は、成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の64%を占めるという研究結果があります。 すべての肺炎を予防するものではありませんが、接種することで肺炎の予防や重症化を防ぐ効果が期待されます。

肺炎球菌ワクチンの定期接種(高齢者)

肺炎球菌ワクチンの定期接種(高齢者)

主に65歳以上で定期接種の対象となる方は、肺炎球菌ワクチンを1回接種することができます。 定期接種の対象者は毎年度異なります。

肺炎球菌ワクチン定期接種の対象者(2023年度まで)

①もしくは②の方が定期接種の対象となります。

① 該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方

② 60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方

※すでに「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を接種したことがある方は定期接種の対象となりません。


予防接種の後に、接種部位の症状(痛み、赤み、腫れなど)、筋肉痛、だるさ、発熱、頭痛などの副反応が生じることがあります。
ワクチン接種の必要性や副反応などについて気になることがあれば、接種前にかかりつけ医に納得がいくまで質問しましょう。
定期予防接種により健康被害が生じた場合は、救済給付を行うための制度があります。

定期接種の実施主体は市区町村です。接種費用など詳細についてはお住まいの市区町村へお問合せください。


▼関連リンク:
厚生労働省「肺炎球菌感染症(高齢者)」

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日ごろの予防が大切!ご高齢者がかかりやすい感染症とその対策

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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