歳を重ねても生き生きと!「アクティブ・エイジング」とは

「サクセスフル・エイジング」と「プロダクティブ・エイジング」

「サクセスフル・エイジング」と「プロダクティブ・エイジング」

「アクティブ・エイジング」の概念が提唱される以前に、「サクセスフル・エイジング」と「プロダクティブ・エイジング」という概念が存在していました。

サクセスフル・エイジングとは

アメリカでは、1960年代から「サクセスフル・エイジング」という言葉が用いられてきました。正式な和訳はありませんが、「成功加齢」や「幸福な老い」などと表現されています。

サクセスフル・エイジングの概念や定義は、学問分野によって異なります。老年社会学では1960年代に、高齢者が社会から離れていくことは避けられないとする「離脱理論」が提唱されます。「離脱理論」は、田舎で静かに暮らすことが理想的な老化であるというものでした。
次に「離脱理論」への反論として「活動理論」が提唱されます。「活動理論」では、高齢になってもこれまでの活動を続けることが理想的であるとされました。

現在では、サクセスフル・エイジングの条件として「健康寿命が長い」「生活の質(QOL)が高い」「社会と関わっている」などが挙げられています。
「人生100年時代」が到来するといわれる現代においては、誰もが老化について理解し、「長い老後をどう過ごすか」を考えていくことが大切といえるでしょう。


プロダクティブ・エイジングとは

プロダクティブ・エイジングとは

高齢者がもつ豊富な知識や経験などを活かしてプロダクティブ(生産的・創造的)な活動を行い、社会貢献する生き方を目指す考え方です。
「プロダクティブ・エイジング」の概念は、1975年にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が提唱しました。
バトラー氏は「高齢者のもっている広い意味での潜在的な(賃労働や物財の生産だけを意味しない)『生産性』をもっと社会に活用する発想を、強く強く押し出したい」と述べています。
就労やボランティアなど生産的な活動に参加することは、高齢者の生きがいや健康の維持にもつながるでしょう。

「アクティブ・エイジング」は、すべての高齢者を対象として「生活の質」や「ウェル・ビーイング※」も重視した概念ですが、生産的活動に限定した「プロダクティブ・エイジング」は予防的な概念であるといわれています。

※「ウェル・ビーイング」とは
個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。



<参考文献>
前田信彦『アクティブ・エイジングの社会学―高齢者・仕事・ネットワーク』ミネルヴァ書房,2006年
ベティ,フリーダン・アルバー,スバンボーグ他『プロダクティブ・エイジング―高齢者は未来を切り開く』日本評論社,1998年



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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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