認知症とともに暮らせる社会をつくる認知症本人大使「希望大使」

認知症になっても自分らしく生き生きと暮らしている方はたくさんいらっしゃいます。認知症の方ご本人の前向きな姿に勇気づけられる方も多いのではないでしょうか。今回は、認知症への理解を深めるための普及・啓発を行う認知症本人大使「希望大使」についてお伝えします。

認知症本人大使「希望大使」とは

認知症本人大使「希望大使」とは

認知症本人大使「希望大使」とは、認知症への関心と理解を深めるための活動を行う認知症の方ご本人です。

2019(令和元)年6月に策定された認知症施策推進大綱(にんちしょうしさくすいしんたいこう)では、施策の柱として「普及啓発・本人発信支援」を掲げています。
厚生労働省は、認知症の方からの発信を支援するために、認知症・若年性認知症の方ご本人を「希望大使」として任命しました。
2020(令和2)年1月20日には「認知症本人大使「希望大使」任命イベント~私たちと一緒に希望の輪を広げよう~」が開催され、5名の「希望大使」が誕生しました。

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認知症本人大使「希望大使」の活動

認知症本人大使「希望大使」の活動

「希望大使」は、自らの体験や思いをご自身の言葉で語り、認知症になっても希望をもって前向きに暮らすことができる姿などを発信しています。

「希望大使」の主な取り組み

・国が行う認知症の普及啓発活動への参加・協力
・国際的な会合への参加
・認知症の人からのメッセージ動画作成の企画運営
・認知症の方ご本人がまとめた「認知症とともに生きる希望宣言」の紹介

「認知症とともに生きる希望宣言」とは

「認知症とともに生きる希望宣言」は、認知症とともに暮らす方お一人おひとりが体験と思いを言葉にしたものです。2018(平成30)年11月に、一般社団法人 日本認知症本人ワーキンググループが表明しました。

認知症とともに生きる希望宣言
① 自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
② 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
③ 私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
④ 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
⑤ 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを一緒につくっていきます。

「地域版希望大使」とは

「地域版希望大使」とは

厚生労働省は、各地域で暮らす認知症の人とともに普及啓発を進める体制を整え、発信の機会を広げることを目的として、都道府県ごとの「地域版希望大使」の設置を目指しています。
※ 大使の名称は地域によって異なります(「オレンジ大使」など)。

2023(令和5)年3月現在、「地域版希望大使」が任命されている都道府県は、静岡県・香川県・大分県・神奈川県・愛知県・埼玉県・東京都・兵庫県・岐阜県・長崎県・千葉県・高知県・愛媛県・京都府・熊本県・群馬県です。

「地域版希望大使」の主な取り組み

・「認知症サポーター養成講座」の講師であるキャラバン・メイトへの協力
・都道府県が行う認知症の普及啓発活動への参加・協力

認知症になっても、突然すべてのことができなくなるわけではありません。「希望大使」に任命された方々は、ボランティアや地域活動、「認知症カフェ(オレンジカフェ)」に通う当事者の相談・支援活動などにも取り組んでいます。また、得意なことを活かしながらご自身のペースで活躍している方もいらっしゃいます。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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