ご高齢者を24時間体制でケアする介護スタッフの夜勤業務とは?

介護スタッフは、ご高齢者の生命と健康を守りながら24時間365日の生活を支えています。常時介護を必要とされる方が入居する施設の勤務形態は交代制が多く、「日勤」「早番」「遅番」「夜勤」に分かれているのが一般的です。今回は、その中から「夜勤」について詳しく解説していきます。

介護スタッフの夜勤回数と勤務時間

介護スタッフの夜勤回数と勤務時間

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や有料老人ホームなど24時間体制の施設では、夜間勤務を担当するスタッフの存在が欠かせません。日本介護福祉士会の調査(「第11回 介護福祉士の就労実態と専門性の意識に関する調査」2015年実施)では、夜勤をしている介護福祉士(管理職や非常勤を含む)は全体の44.8%でした。

1か月あたりの夜勤回数は、同調査によると4回(32.4%)がもっとも多く、続いて6回(20.8%)、5回(20.3%)となっています。夜勤回数は施設によって異なりますが、一般的に月に4、5回のところが多いようです。なお、変則勤務のほかに「夜勤専従」という働き方もあります。

日帰りの「デイサービス(通所介護)」や、「訪問介護」は基本的に夜勤はありません。ただし、複合サービスを提供している施設では、デイサービスのスタッフが併設施設の夜勤を月に1回ほど担当する場合があります。また、「夜間対応型訪問介護(夜間の定期巡回や随時訪問・対応を行うサービス)」の場合は夜勤が中心です。

夜間の勤務時間は、介護老人福祉施設を例にとると17時~翌9時前後となります。2~3時間の仮眠時間を設けている施設もありますが、勤務人数によっては呼び出し(コール)や深夜の徘徊(はいかい)等に対応しなければなりません。

介護スタッフの夜勤業務の内容

介護スタッフの夜勤業務の内容


ここでは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における夜勤(17時~翌9時の場合)の主な業務内容と流れをご紹介します。

夜勤の業務内容(一例)

17時~
申し送り・離床介助・夕食介助・口腔ケア

19時~
排せつ介助・就寝介助・服薬介助

消灯後
巡視・体位変換(寝返り介助)・おむつ交換・トイレ誘導・コール対応

翌7時〜
起床介助、洗面介助・排せつ介助・朝食介助・口腔ケア・申し送り

夜勤手当(給料)や休日について

夜勤手当(給料)や休日について


夜間勤務の場合は夜勤手当などがつくため、日勤よりも収入が高くなります。夜勤手当は施設や地域、働く条件によって異なり、夜勤1回につき5千円~1万円程度とさまざまです。また、日給として支給する施設や、月に数回の夜勤を行うことを前提として数万円とする施設もあります。

休日は月に8~9回の施設が多く、シフトは1ヶ月ごとに決められる場合がほとんどです。交代制の勤務形態では、休みたい日をあらかじめ申し出て、ほかのスタッフと譲り合いながら休日を決めることになります。また、人員基準を満たしていれば、有給休暇をとることも可能です。

【介護老人福祉施設の勤務例(1週間)】
日  遅出(11:00~19:30)
月  夜勤(17:00~翌9:30)
火  夜勤明け
水  休み
木  休み
金  早出(7:00~15:30)
土  日勤(8:30~17:00)

夜勤は1回で2日分働いたとみなされるのが一般的です。介護スタッフの勤務時間は不規則ですが、1週間の勤務時間は労働基準法に従って一般の会社員と変わりません。日本介護福祉士会のアンケート調査(2015年実施)では、介護福祉士の1週間あたりの時間外労働(残業)を含む平均実労働時間は、正規職員が43.0時間、正規職員以外は31.9時間となりました。



夜勤や変則勤務は「体がきつい」という声があり、慣れるまでは体調管理が大変かもしれません。生活リズムを整えるためには、できるだけ起床時間を一定にするなどの工夫が必要になるでしょう。ただ、「慣れてくるとそれほど大変ではない」という声も聞かれます。どうしても生活リズムを整えられず体調管理が難しいという場合は、「日勤のみ」や「夜勤のみ」等の働き方を選ぶことも可能です。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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