介護の現場でも役立つ!ご高齢者の暮らしをサポートする福祉系資格

2023/11/13

ご高齢者の方の生活や健康をサポートする資格は、介護スタッフのスキルアップにも役立つ資格です。今回はQOL(生活の質)向上につながる資格として「福祉住環境コーディネーター」「福祉用具専門相談員」「転倒予防指導士」の3つをご紹介し、試験内容やメリットなどについて解説します。

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターとは

福祉住環境コーディネーターは、ご高齢の方や障がいのある方が、ご自宅で可能なかぎり自立して生活できる住環境を提案するアドバイザーです。
主に、バリアフリー住宅の新築・リフォームにおけるコーディネート、福祉用具・介護用品・家具の選び方や利用方法のアドバイス、福祉施策等の情報提供などを行います。

一人ひとり異なるニーズに合った住環境を提案するためには、医療・福祉・建築などに関する幅広い知識が欠かせません。また、各種専門職と連携をとりながら、最適な解決策を提案できる能力も求められます。


福祉住環境コーディネーターになるには

福祉住環境コーディネーターの資格を取得するためには、東京商工会議所が主催する検定試験(1級・2級・3級)に合格する必要があります。
試験には、ご自身のパソコン・インターネット環境を利用して受験する「IBT方式」と、各地のテストセンターに設置されたパソコンで受験する「CBT方式」があります。(1級はCBT方式のみ)

受験資格

学歴・年齢・性別・国籍は問われません。

受験料(税込)

1級 9,900円+CBT利用料2,200円
2級 7,700円(CBT方式の場合は+2,200円)
3級 5,500円(CBT方式の場合は+2,200円)

試験時間

1級 前半:[多肢選択式]90分
後半:[記述式]  90分
2級 [多肢選択式] 90分
3級 [多肢選択式] 90分

合格基準

100点満点中、70点以上(1級は前半・後半各100点満点中、各70点以上)

2022年度 試験結果(全国分)

受験者数(人) 実受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
1級 333 285 16 5.6
2級 14,313 13,263 4,903 37.0
3級 6,063 5,616 2,183 38.9

東京商工会議所公式ホームページ https://www.tokyo-cci.or.jp/


介護現場での活用法

福祉住環境コーディネーターの資格は、医療・福祉関係や建築・建設関係の方のキャリアアップに活用できます。検定試験に合格した方は、名刺に記載するなど「福祉住環境コーディネーター」を名乗って活動することも可能です。

受験者のなかには、福祉用具専門相談員、介護福祉士、介護職員初任者研修、介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格保有者もいます。
介護や福祉の知識に加えて住環境に関する専門知識を身につけることで、ご利用者様やご家族のニーズにさらに寄り添えるでしょう。

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員とは

福祉用具専門相談員は、ご高齢の方や障がいのある方が適切な福祉用具を選ぶための支援をする専門職です。主な業務として、心身状況やご希望、使用環境などをアセスメントし、福祉用具の選定相談・調整・点検などを行います。
また、「福祉用具サービス計画」を作成し、介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職と連携しながら、ご高齢者の暮らしを福祉用具でサポートします。


福祉用具専門相談員になるには

福祉用具専門相談員になるには

都道府県知事が指定した研修機関が開催する「福祉用具専門相談員指定講習」の受講と、50時間のカリキュラム修了が必要です。また、講習の最後に、習熟度を測るための修了評価(筆記)を受ける必要があります。

受験資格

とくに制限はないため、基本的にどなたでも受講することが可能です。

受験費用・期間

研修機関によって異なります。

標準的なカリキュラム

科目 時間数
1.福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 2時間
2.介護保険制度等に関する基礎知識 4時間
3.高齢者と介護・医療に関する基礎知識 16時間
4.個別の福祉用具に関する知識・技術 16時間
5.福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 7時間
6.福祉用具の利用の支援に関する総合演習 5時間
50時間

介護現場での活用法

介護保険の指定を受けた福祉用具貸与販売事業所には、2人以上の「福祉用具専門相談員」の配置が義務づけられています。介護職員基礎研修などを修了した方や、その他の福祉系資格をお持ちの方は、あわせて取得することで業務の幅が広がったり、資格手当がついたりする可能性もあるでしょう。

以下の国家資格を持っている方は、指定講習を受講しなくても「福祉用具専門相談員」として仕事に就くことができます。

保健師・(准)看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士

全国福祉用具専門相談員協会ホームページ http://www.zfssk.com/

転倒予防指導士

転倒予防指導士

転倒予防指導士とは

ご高齢の方は、加齢や運動不足、病気や薬の影響などによって転びやすくなります。転倒による骨折は要介護の原因になることもあるため、転倒予防や転んでも骨折しない身体づくりが重要です。

転倒予防指導士の認定制度は、転倒に関わる学際的研究を推進するとともに、転倒予防について社会啓発活動を行い、学術の発展や人々の健康増進に寄与することを目的としています。

転倒予防指導士になるには

転倒予防指導士になるには

転倒予防指導士になるためには、日本転倒予防学会が主催する「転倒予防指導士基礎講習会」の受講が必要です。講習会で必要な講義と実技単位を取得し、講習会講義直後に行われる認定試験に合格することで認定されます。

基礎講習会の日程

2日間の講習と認定試験(筆記試験)が、年1回(7月)開催されます。

受講費用(資料代・審査認定料含む)

39,000円(税別)
認定カード代:1,000円(税別)

基礎講習会の内容

①5単位以上の講義
②3単位以上の実技(1単位は原則45分)

学べること

「転倒予防の基本理念」「転倒予防の現状と転倒後の外傷に対する治療」「転倒のリスク・機能評価」「転倒予防の運動療法」
「転倒に関係する疾患や認知症者の転倒予防」「病院、福祉施設および地域社会での転倒予防方法」など

認定のための資格

①転倒および転倒予防に関心のある満18歳以上の方
②「日本転倒予防学会 会員」であること


介護現場での活用法

日常生活に制限のない期間を指す「健康寿命」を縮めてしまう可能性の高い転倒は、ご家庭内など身近な場所で起こっています。
転倒予防指導士の講習で身につけた知識は、福祉施設やご自宅、地域などですぐに活用できるものです。転倒に関する正しい情報を伝え、転倒による骨折・寝たきり等を防ぐことは、ご高齢者の健康寿命の延伸や自立支援にもつながるでしょう。

日本転倒予防学会ホームページ http://www.tentouyobou.jp/

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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