介護施設にお勤めの方のキャリアプランは人によってさまざまです。なかには「施設長になりたい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。今回は、介護施設の施設長の仕事内容や資格要件、理想の人物像についてお伝えしていきます。
介護施設の施設長の仕事内容
介護施設の施設長は、施設のあらゆる面において管理を行う責任者です。施設長の仕事内容は多岐にわたり、所属する施設によっても異なります。施設のご利用者様やそのご家族をはじめ、働くスタッフもいきいきと過ごせる快適な環境を整えることも重要な仕事です。
施設長は介護施設によって、ホーム長・センター長・事業所長などと呼ばれることもあります。
施設長(管理者)の具体的な仕事内容
・スタッフの人事や労務の管理
・スタッフの教育
・ご利用者様やご家族への対応
・地域や他機関との連携
・建物や設備の管理
・収支管理
・請求管理
・帳票管理
・コンプライアンスの管理
・必要に応じた介護業務の兼務 など
施設長(管理者)として勤務できる施設
・デイサービス
・ショートステイ
・グループホーム
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・養護老人ホーム
・有料老人ホーム
・軽費老人ホーム(ケアハウス)
・サービス付き高齢者向け住宅
・訪問介護事業所 など
施設長(管理者)になるために必要な資格や要件
介護施設の施設長(管理者)になるためには、資格や要件が必要な場合もあります。
資格や要件が必要な主な施設
・特別養護老人ホーム
施設長は、下記の①~③のうちいずれかを満たすことが必要です。(※管理者は資格不要)
<施設長の資格要件(基準省令第5条第1項)>
①社会福祉主事の要件を満たす者
※社会福祉主事の要件の1つとして、社会福祉士が認められています。(社会福祉法第19条)
②社会福祉事業に2年以上従事した者
③社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
社会福祉施設長資格認定講習会の研修期間は、通信授業6か月・面接授業5日間です。
・介護老人保健施設
<資格要件(介護保険法第95条)>
介護老人保健施設の開設者は、都道府県知事の承認を受けた医師に当該介護老人保健施設を管理させなければならない。 ※都道府県知事の承認を受け、医師以外の者に管理させることができる。
・介護療養型医療施設
<資格要件(医療法第10条)>
病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修修了医師に、これを管理させなければならない。
・小規模多機能型居宅介護事業者
<管理者要件>
指定施設の従業者または訪問介護員等として3年以上認知症の方の介護に従事した経験を有し、厚生労働大臣が定める研修を修了している者。
・認知症対応型共同生活介護事業者(グループホーム)
<管理者要件>
必要な知識や経験を持ち、指定施設の従業者または訪問介護員等として3年以上認知症の方の介護に従事した経験を有し、厚生労働大臣が定める研修を修了している者。
・単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所
<管理者要件>
必要な知識や経験を有し、厚生労働大臣が定める研修を修了している者。
信頼される施設長を目指すためのポイント
知識をバランスよく身につける
介護施設の施設長になるためには、介護現場の知識のほかに、法制度や経営の知識も必要になります。介護現場では目の前の仕事をこなすだけではなく、常に視野を広く持ちましょう。自ら積極的に学び、考え、実践しながら、さまざまな知識をバランスよく身につけていくことが大切です。
自分を磨いて人間力を高める
介護関連の資格や経験を持っている方が望ましいとも言えますが、それだけで施設長が務まるわけではありません。施設の運営責任者としてふさわしい人格を備えていなければ、ご利用者様やスタッフからの信頼を得ることは難しいでしょう。質の高いサービスを提供するためには、組織マネジメント能力やコミュニケーション能力等も求められます。知識だけではなく人間力を高め、あらゆる状況に即応できる実力を身につけることが大切です。
経営的な視点を持ち数字に強くなる
施設長は、介護サービスを充実させるとともに円滑な経営も行わなくてはなりません。仕事には経理業務が含まれることもあるため、数字に強くなっておく必要があります。日常業務のなかでも予算やコストについて意識し、計数感覚を養っておきましょう。
超高齢社会のなかで介護施設が急増しているため、今後も優秀な管理者がますます必要になるでしょう。介護職でのキャリアアップを目指す方は、施設長になることを目標にしてみてはいかがでしょうか。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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