心身の機能が低下する「生活不活発病」の予防・改善のポイント

災害や感染症の流行などによって、身体を動かす機会が減ると「生活不活発病」が心配されます。特にご高齢の方や持病のある方は生活不活発病になりやすく、悪循環に陥りやすいため注意が必要です。今回は「生活不活発病」のチェックリストや予防・改善のポイントについて解説します。

生活不活発病とは

生活不活発病とは

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生活不活発病(せいかつふかっぱつびょう)は、動かない(生活が不活発な)状態が続くことにより、心身の機能が低下する病気です。「廃用症候群」と呼ばれることもあります。

地震、台風、大雨等の災害、感染症の流行などによって、「動きたくても動けない」「動かない」状態が続くと、生活不活発病が起こりやすくなります。
生活不活発病になると、疲れやすくなったり、日常生活動作や歩行が難しくなったりして、フレイル(虚弱)が進んでしまいます。
また、身体だけでなく心や頭の働きにも影響が及んで、うつ状態や知的活動の低下などにつながることがあります。

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生活不活発病の主な症状

・心肺機能の低下
・起立性低血圧(立ち上がった時にめまいや立ちくらみがする)
・消化器機能の低下(食欲がなくなる、便秘になるなど)
・尿量の増加、血液量の減少(脱水)

・関節拘縮(関節が硬くなり動きにくくなる)
・筋肉の萎縮、筋力低下、筋持久性低下
・骨や皮膚の萎縮
・褥瘡(じょくそう・床ずれ)
・静脈血栓症→肺塞栓症

・知的活動の低下
・うつ傾向
・自律神経不安定
・姿勢・運動調節機能の低下

生活が不活発になる主な原因

することがなくなった

・食事作りや庭の手入れなど、家庭内での役割がなくなった
・地域の付き合いや行事、趣味の会などがなくなった

遠慮や抑制

・「災害時に自分が楽しんでいいのか...」と遠慮する
・「歳だから...」「病気だから...」とあきらめている
・ボランティアなど周囲の人が代わりにやってくれる
・ご家族に「危ないから外出しないで」「迷惑になるから動かないで」と止められている

環境の変化

・周囲の道などが危なくて歩けない
・家の中や庭などが散乱していて動けない
・一緒に出かける友人や知人がいなくなった



生活不活発病チェックリスト

生活不活発病チェックリスト

生活不活発病は地震などの災害時に多発することから、厚生労働省は「生活不活発病チェックリスト」を公表しています。
最近の新型コロナウイルスのまん延による外出自粛が続く中でもご高齢者をはじめとした生活不活発病が心配されています。
早く発見して対応するために、ぜひ「生活不活発病チェックリスト」を活用してご自身の状態を確認してみましょう。

※チェックリストは地震の前後を想定した内容となっていますが、地震以外の災害時にも活用できます。

生活不活発病とは

出展:厚生労働省「生活不活発病チェックリスト」


生活不活発病の予防・改善のポイント

生活不活発病の予防・改善のポイント

生活を活発化する

ただ身体を動かすだけでなく、ご自身が楽しめることを見つけ、心と体の両面から毎日を充実させることが大切です。 災害時でも遠慮せずに楽しみや役割(散歩、避難所の手伝いなど)をつくり、気分転換をしましょう。


動かない時間を減らす

身の回りを片づけて動きやすい環境を整え、日常生活の中で少しずつでも動く時間を増やしましょう。
昼間、つい横になってしまう方は、なるべく座るようにしましょう。座りっぱなしになっている方は、テレビのコマーシャル中などに立つ、足踏みをする、部屋の中を歩くなどしてみましょう。
掃除などの家事を行うことでも運動量を増やせます。ご自宅でできる体操を取り入れるとさらによいでしょう。
持病のある方は「安静第一」「無理は禁物」と思い込まず、「どれくらいなら動いてよいか」「どういう動きをしてはいけないか」を医師に相談し、直接指導してもらいましょう。

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ご家族や友人と交流する

ご家族や友人と交流する

電話などを利用して、ご家族や友人とおしゃべりすることも大切です。
お口の中やお口周りの筋肉を保つために、歌を歌ったり、お口の体操を行なったりするのもよいでしょう。

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食事をしっかりとる

バランスのよい食事をよく噛んで、3食欠かさず食べるようにしましょう。
筋肉量を維持するために、たんぱく質をしっかりとることが大切です。(食事制限を受けている方は、かかりつけ医の指示に従ってください。)
また、毎食後や寝る前に口腔ケアを行い、お口を清潔に保ちましょう。

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新型コロナウイルス感染予防のために、さまざまなことが制限され、以前と違う生活リズムになってしまった方も多いと思います。
不安な日々が続きますが、「新しい生活様式」を取り入れながら、楽しみや役割を見つけて生活を活発化させましょう。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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