さまざまな効果が期待できるご高齢者のレクリエーション

多くの介護施設では、さまざまな種類のレクリエーションを取り入れています。では、何のためにレクリエーションを行っているのでしょうか?具体的な活動内容を例に、レクリエーションを行う意義を考えていきましょう。また、ご自宅でも取り入れられる簡単なレクリエーションもご紹介します。

レクリエーションの目的と効果

レクリエーションの目的と効果

レクリエーションの効果には主に以下の3点があります。

身体機能の維持・向上

人は誰しも、歳を重ねてくると身体の機能が低下していきます。「老化現象」です。ところが、近年、筋肉に着目し、筋力を高めると、改善が見込めないとされていた老化現象の進行を改善できることがわかってきました。

「高齢だから」「病気だから」と運動に消極的なご高齢者は多いですが、動かないでいると、骨や筋肉はどんどん細くなって、関節も固くなり、より運動量が減ってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

適度な運動を取り入れるという意味で、レクリエーションには大きな効果があります。

脳の活性化

手先や頭を使うレクリエーションで脳を活性化することで、認知症の予防や症状の進行を遅らせる効果が期待できます。

また、単調になりがちな日常生活の中で、「非日常」なレクリエーションの時間をもつことにより、日々の生活に刺激を与え、心を明るくする効果もあります。

多くの介護施設では、年中行事や季節感を取り入れたり、プログラムをアレンジしたりして、マンネリ化しないようにします。

コミュニケーションの促進

ご高齢者お一人おひとりの「個」を大切にしながら、他の人とのコミュニケーションを生み、促進するのがレクリエーションです。
時にはボランティアの方に協力してもらったり、地域の集まりに参加したりするのもよいでしょう。
たくさんの人が集まると活気が出て、いつもと違う雰囲気を分かち合うことができます。そして、新しい出会いやつながりが生まれます。
人とのふれあいは、ご高齢者にとって生きがいを創出するきっかけとなり、認知症予防にもつながるといわれています。

レクリエーションの種類

レクリエーションってなにをするの?

身体を動かすレクリエーション

主に身体を使ったゲームやダンスなどがあります。
お一人おひとりの身体機能に合わせたやり方で適度な運動を行うことで、老化現象の進行の改善、寝たきりの防止などの効果が期待できます。

例えば・・・

・風船バレー

2つのチームに分かれて向かい合って座ります。1つの風船をうちわであおぎ、相手チームの床に風船を落としたチームの勝ちです。

・紙コップボールシュート

段ボール箱の中に並べた紙コップに、チームごとに色を分け、その色のボール等を投げ入れるゲームです。たくさん入ったチームが勝ちです。

・園芸や家庭菜園

季節の花々、野菜、果物などを育てていきます。屋外で日光を浴びながら気持ちよく身体を動かし、植物に触れて育てる喜びや収穫する楽しさを実感していただきます。


手先を使ったレクリエーション

実際に手を動かしていただく、小物づくりや調理レクなどがあります。
手先の運動のほか、「つくる喜び」「できる喜び」といった達成感にもつながります。

例えば・・・

・折り紙

ご高齢者にもなじみ深い「折り紙」を使って、定番の鶴や動物、季節に関連したものなどをつくります。つくった作品は、施設内やお部屋に飾っていただけます。

・お菓子や軽食づくり

和菓子や洋菓子、パン、たこ焼きなどを手作りし、おやつとしていただきます。

お菓子や軽食づくり

頭を使うレクリエーション

クイズゲームやパズルゲームなどがあります。
認知症予防や、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。

例えば・・・

・頭文字さがし

50音が書かれたカードから1枚引き、そこに書かれた文字から始まる言葉を書き出すゲームです。もっとも多く言葉を書き出したチームの勝ちです。

・逆文字ゲーム

上下左右をさかさまにしたひらがなで書かれたカードを見て、書かれた単語を当てるゲームです。

・おとなの学校

スタッフが先生となり、国語、算数、理科、社会、体育等のように授業に参加し、毎月変わる教科書を使用して「回想法」等を用いた"学校"のようなレクリエーションです。お一人おひとりのペースで、楽しみながら学ぶことができます。

岐阜県「あずみ苑大垣(デイサービス・ショートステイ)」のデイサービスでは、「おとなの学校」を実施しています。

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口腔機能を高めるレクリエーション

ストローや、昔懐かしいおもちゃの紙ふうせん、巻き笛(拭き戻し)などを使うレクリエーションは、お口の機能向上につながります。

例えば・・・

・ストローで福笑い

紙に顔の輪郭を描きます。厚紙に目・鼻・口などのパーツを描いて切り抜いておきます。好きなパーツをストローで吸い上げて動かし、顔の輪郭の上に置いていきます。

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認知症の方も楽しめるレクリエーション

ご自身のペースで取り組めるレクリエーションなどは、認知症の方も楽しめます。

例えば・・・

・キャップ並べ

ペットボトル(350ml)をテープで3個つないだものを3つ用意します。ペットボトルのキャップに、3色(赤・青・黄)のシールを貼ります。一面を切り取った牛乳パック3つをつないで土台をつくり、ペットボトルを入れます。介護者がホワイトボードにキャップの並べ方を描き、ご高齢者はキャップを指示どおりにしめていきます。


社会貢献のレクリエーション

主に地域との交流や、手作りの品をバザーで販売することなどがあります。
できないことが増えてくると、「自分は何もできない・・・」と考えてしまうご高齢者もいらっしゃいます。「できることをみつけてもらう」「やりがいを感じてもらう」ようにすると、自己肯定感を高めることにつながります。

例えば・・・

・異世代交流

最近では、ご高齢者と子どもの触れ合いを目的に、園児とご高齢者が関わるイベントを行っている施設も増えています。ご高齢者が子どもたちに懐かしい遊びを教えてあげたり、子どもたちが初めて聞くような昔話をしたりして、お互いに楽しい時間を過ごします。



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ライター:山下 優子
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。

さまざまな効果が期待できるご高齢者のレクリエーション

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