認知症の方とのコミュニケーション法「バリデーション」とは?

「バリデーション」のテクニック

「バリデーション」のテクニック

言語的テクニック

リフレージング(反復)

認知症の方が話した中で最も重要だと思われるキーワードをリフレージング(反復)します。その際に、相手の声のトーン、大きさ、話すスピードなどを一致させるようにします。

オープンクエスチョン

「いつ」「どこで」「何を」「誰が」「どのように」を聞くオープンクエスチョン(開かれた質問)を多用し、自由に回答をできるようにします。(「なぜ?」という質問は認知症の方にとって難しいため使わないようにします。)

レミニシング

過去の出来事について質問し、昔話をしていただきます。認知症の方が繰り返す昔話には、「人生の価値」や「人生の未解決の問題」などの大切なメッセージが込められていることも少なくありません。

非言語的テクニック

ミラーリング

認知症の方の真正面に向き合い、動作や感情を映し出す「鏡になる」方法です。認知症の方と同じ表情、姿勢、呼吸をすることで感情を分かち合います。(ただし、認知症の初期段階の方は、ばかにされていると感じる恐れがあるため、活用は避けます。)

アイコンタクト

認知症の方の真正面に座り、カリブレーション(共感)を続け、「あなたを受け止めます」というメッセージを送りながら相手の目を見つめます

タッチング

バリデーションには、目的をもって認知症の方に触れる「アンカードタッチ」という方法があります。スキンシップで相手の感情に寄り添い、話の内容に応じてタッチの仕方を変えます。

タッチン

・母のタッチング...手のひらで頬をなでるのを繰り返す。

・父のタッチング...頭頂部から後頭部を丁寧になでおろす。

・子のタッチング...首の後ろを指先でなでる。

・友のタッチング...肩を包み込むようにし、上腕部へなでおろす。

音楽を使う

認知症の方の感情に合った音楽や、その方が大切にしてきた歌を耳元でハミングします。

はっきりとした低く温かい声

会話が感情的でないときは、声のトーンを低めに抑えて、はっきりとした温かい口調で話しかけます。認知症の方が怒りや悲しみなどの感情を表出しているときは、その感情に共感し、声のトーンを合わせることが大切です。



「バリデーション」は、認知症の方だけでなく、ご家族や専門職にも役立つ方法として世界で高く評価されています。すべてのテクニックを使う必要はなく、使う順番も特にありません。最初は難しいと感じる方も多いかもしれませんが、興味をお持ちの方は具体的な方法を学んでみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
都村尚子『バリデーションへの誘い―認知症と共に生きるお年寄りから学ぶこと』全国コミュニティライフサポートセンター, 2014.
ビッキー・デクラーク・ルビン(飛松美紀 訳)『認知症ケアのバリデーション・テクニック ―より深いかかわりを求める家族・介護者のために』筒井書房,2009.


▼関連リンク
一般社団法人 公認日本バリデーション協会
VTI(バリデーショントレーニング協会)


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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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