ご高齢者の生活を支援する軽費老人ホームの種類とサービス

軽費老人ホームは、ご自宅での生活に不安のあるご高齢者が、職員の支援を受けながら、ご自宅と同じように生活できる施設です。今回は、軽費老人ホームの種類やサービス内容、費用の目安、ご入居までの流れについて解説します。

軽費老人ホームとは

軽費老人ホームとは

軽費老人ホームは、さまざまな理由により居宅での生活が困難なご高齢者が、無料または低額な料金で入居できる施設です。
2020年4月現在、軽費老人ホームは全国に2,311施設あり、主に地方公共団体や社会福祉法人、知事認可を受けた法人が運営しています。

介護保険法上は「居宅」と見なされるため、外部の介護サービス事業者と個別に契約し、施設内で介護サービスを受けることができます。また、軽費老人ホームのなかには「特定施設入居者生活介護(※)」の指定を受けて介護ニーズに対応したり、地域密着型サービスを提供したりしている施設もあります。

  • ※「特定施設入居者生活介護」とは
    介護保険の居宅サービスのひとつです。特定施設に入居している方に、ケアプランに基づいて、介護や日常生活上の支援、機能訓練などのサービスを提供します。

対象となる方

身体機能の低下などにより、自立した日常生活を営むことに不安があると認められ、ご家族による援助を受けることが困難な原則60歳以上(ご夫婦の場合はどちらかが60歳以上)の方が対象となっています。
例えば、所得の低い方、入院中で退院先がない方、独居生活に不安のある方、家族から虐待を受けた方など、さまざまな方が入居しています。


軽費老人ホームの居室

居室は原則すべて個室になっています。2人部屋がある施設では、ご夫婦で入居することも可能です。

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軽費老人ホームの種類とサービス

軽費老人ホームの種類とサービス

軽費老人ホームには、「軽費老人ホームA型」「軽費老人ホームB型」「ケアハウス」「都市型軽費老人ホーム」の4種類があります。
ただし、軽費老人ホームを新築、または「A型」「B型」を改築する際は「ケアハウス」に統一することになっているため、現在はその大半が「ケアハウス」です。

施設の種類 サービス内容 費用の目安(月額)
軽費老人ホームA型 食事の提供や日常生活上必要な便宜(入浴の準備、相談および援助、緊急時対応など)を行います。 6~17万円ほど(食事代込み)
※利用者の収入よって異なります。
軽費老人ホームB型 日常生活上必要な便宜(入浴の準備、相談および援助、緊急時対応など)を提供します。
食事の提供がないため、自炊できることが前提です。
3~4万円ほど
ケアハウス 食事の提供や日常生活上必要な便宜(入浴の準備、相談および援助、緊急時対応など)を行います。 6~17万円ほど(食事代込み)
※ 利用者の収入よって異なります。
※ 別途、居住に要する費用(管理費)が必要となる場合があります。
※ 介護保険サービスを利用する場合はその費用(本人負担分)が必要となります。
都市型軽費老人ホーム

軽費老人ホームA型

高齢等のために独立して生活するには不安がある方が対象です。
食事の提供や、入浴等の準備、相談および援助、健康管理、社会生活上の便宜の供与、その他日常生活上必要な便宜を行います。所得などの要件を設けている施設もあります。


軽費老人ホームB型

身体機能等の低下等がある方、高齢等のために独立して生活するには不安がある方が対象です。食事の提供がありませんので、自炊できることが前提となります。
入浴等の準備、相談および援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上必要な便宜を提供します。


ケアハウス

身身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことに不安がある方、ご家族による援助を受けることが困難な方が対象です。
食事の提供や入浴等の準備、相談および援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上必要な便宜を提供します。

ケアハウスの特長は、居室の個室化やバリアフリー対応(車いす利用者への配慮など)によって、ご高齢者が自立した生活を続けられるよう工夫されていることです。
介護が必要になった場合は、外部の介護サービス事業者と契約し、訪問介護などの必要なサービスを受けることができます。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設では、要支援や要介護のご高齢者に介護サービスを提供しています。


都市型軽費老人ホーム

原則として既成市街地等(首都圏・近畿圏・中部圏にある一定の区域)に設置される施設です。入居定員が20人以下で、居室面積などの基準が緩和されています。サービス内容はケアハウスと同じです。

軽費老人ホームに入居するには

軽費老人ホームに入居するには

相談・見学する

お住いの市区町村の窓口や地域包括支援センター、入居を希望する軽費老人ホームに相談してみましょう。資料を取り寄せてよく確認し、納得がいくまで説明を受けましょう。また、契約前に見学しておくとよいでしょう。
費用については自治体や施設によって異なりますので、入居を希望する軽費老人ホームに確認する必要があります。

軽費老人ホームと契約する

ご高齢者ご本人と軽費老人ホームとの契約により入居できます。
利用申込書に必要事項を記入して提出し、健康診断や面談など(各施設で異なる)が行われます。


入居する

入居が決定したら必要な手続きを行い、入居となります。



軽費老人ホームは、自立している方から介護が必要な方まで幅広いニーズに対応している生活支援施設です。多くの施設が地域活動や地域支援に取り組んでおり、支援が必要な方からの相談などに対応しているところもあります。詳しくは、お住いの市区町村や地域包括支援センター、お近くの軽費老人ホームへお問い合わせください。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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