介護現場で活用できる!ケアの質の向上につながるセラピー系資格

介護スタッフが持っていると役立つ資格は数多くありますが、セラピー系の資格もケアの質の向上につながる資格です。今回は、介護現場で活かせるセラピー系の資格について、その内容や取得方法、活用法をご紹介します。

音楽療法士(ミュージックセラピスト)

音楽療法士(ミュージックセラピスト)

音楽療法(ミュージックセラピー)とは

音楽の持つ力を活用する音楽療法(ミュージックセラピー)は、身体機能の維持・改善やQOL(生活の質)の向上などを目的に行われるセラピーのひとつです。
音楽療法の対象となる方は乳幼児からご高齢者までと幅広く、病院や福祉施設、地域、ご自宅など、さまざまな場所で実践されています。

音楽療法士になるには

日本では、「日本音楽療法学会」や「全国音楽療法士養成協議会」などが認定する民間資格があります。

日本音楽療法学会

音楽療法士(補)試験の受験資格を得る方法として、2つのコースがあります。

認定校コース 学会の認定校において必要なカリキュラムを終了するコース
必修講習会コース 約2年半にわたる必修講習会を受講し、その他の条件も満たすコース

必修講習会コースは、在職中で認定校への進学が難しい方などを対象に設けられたコースです。
必修講習会コースの申請に必要な条件として、「臨床経験5年以上(音楽を使用した臨床経験2年を含む)を有すること」が求められます。また、音楽試験(ピアノ実技と音楽理論)を受験して合格する必要があります。

年1回の日本音楽療法学会認定音楽療法士(補)資格審査(筆記試験)を受験し、合格すると「学会認定音楽療法士(補)資格」を取得できます。
学会認定音楽療法士(補)資格を取得した方は、認定音楽療法士資格審査(面接試験)を受けることができます。この面接試験に合格すると、「日本音楽療法学会認定音楽療法士」の資格を取得できます。

日本音楽療士養成協議会

全国音楽療法士養成協議会の音楽療法士養成課程を有する大学院・大学・短期大学等に入学し、所要単位数の修得によって、卒業と同時に音楽療法士(専修・1種・2種)の称号が付与されます。在職中の方は、「長期履修学生制度」を利用しながら音楽療法士の称号を取得することも可能です。

介護現場での活用法

ご高齢者の場合は、体操などに音楽を組み合わせることで、認知症や介護予防の効果が期待できます。意思の疎通が難しい方でも、音楽を介してコミュニケーションが生まれ、周囲の方と楽しい時間を過ごせるでしょう。

介護の現場では、懐かしい思い出の曲を用いて脳を活性化させたり、心の安定をはかったりするプログラムが導入されています。また、音楽療法は認知症のBPSD(行動・心理症状/周辺症状)の緩和にも役立つといわれています。

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メイクセラピスト

メイクセラピスト

化粧療法(メイクセラピー)とは

化粧(メイク)には、自信や意欲を高めたり、心身を健康に導いたりする力があります。

化粧療法とは、そのような化粧の力を活用して、生活をより豊かなものにすることを目指す療法です。年齢や性別を問わず取り入れることができ、医療・福祉の分野でも活用されています。

化粧療法を行う上で必須の資格はありませんが、メイクセラピストには美容や化粧の知識・技術のほか、カウンセリング等の知識も欠かせません。
認定資格を取得することで、参加者やご家族からの信頼が得られ、自信をもって活動できるようになるでしょう。

メイクセラピストになるには

検定試験のひとつに、一般社団法人メイクセラピストジャパン メイクセラピー検定事務局が認定する「メイクセラピー検定」があります。受験レベルは「3級」「2級」「1級」「特級」の4つです。3級は在宅筆記試験のみで行われ、2級まではどなたでも受験できます。

学習方法には独学のほか、eラーニング、通信講座、LIVE&実技講座、外部セミナーの活用などがあり、在職中の方も学びやすくなっています。
筆記試験に出題される分野は「メイクセラピー的心理学」「コミュニケーション」「化粧心理学」「メイク理論」「色彩学」などさまざまです。2級からは、クライアント役(メイクをされる役)のモデルに半顔メイクを施す実技試験が加わります。

介護現場での活用法

介護の現場で行われる化粧療法は、認知症や介護の予防・改善、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の維持・向上などを目的としています。
ご高齢者が化粧やおしゃれをすると、表情や気分が明るくなるなどの効果が期待できます。また、化粧から遠ざかっていた方が自信を取り戻して、外出や人と交流を楽しめるようになる場合もあります。

さらに化粧療法には、脳の働きを活性化させたり、過剰な気持ちの高まりを落ち着かせたりする効果もあるといわれているため、認知症ケアにも活用できるでしょう。

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アニマルセラピスト

アニマルセラピスト

アニマルセラピーとは

動物との触れ合いによって心身を健康に導く活動を「アニマルセラピー」といいます。
「動物介在活動(AAA)」「動物介在療法(AAT)」「動物介在教育(AAE)」の3つに大別されますが、日本で行われるアニマルセラピーは、QOL(生活の質)の向上を目的として動物と触れ合う「動物介在活動(AAA)」が大半です。

アニマルセラピストになるには

認定資格のひとつに、NPO法人日本アニマルセラピー協会の「アニマルセラピスト認定資格」があります。

アニマルセラピスト資格認定受講資格

◯小学生(高学年)から大人まで(小中学生はジュニア登録・受講料は半額)
◯アニマルセラピストの使命を理解し、福祉事業に関心があり、社会貢献する意欲のある方

この資格の種類は、「初級」「中級」「上級」「師範」の4つです。初級コースでは「動物介在活動(AAA)」、中級コースでは「動物介在教育(AAE)」、上級コースでは「動物介在療法(AAT)」を実施するために必要な知識を身につけることができます。
セラピスト上級を修了した方を対象とする師範コースは、セラピストの募集や育成を担う師範を目指す方向けに設けられたコースです。

「アニマルセラピスト認定資格」は、通信教育(実地体験は任意)によって取得できるため、在職中の方もチャレンジしやすい資格といえるでしょう。合格した方には、NPO法人日本アニマルセラピー協会から認定書と身分証明書が渡されます。

介護現場での活用法

介護の現場で主に行われているのは、レクリエーションの一環として、ご高齢者に動物(主に犬)と楽しい時間を過ごしていただくための活動です。愛情表現が豊かでかわいらしい動物との関わりから、ご高齢者の表情が和らいだり、無口だった方の発語が増えたりすることがあります。

また、医療従事者が動物を介在させて行う「動物介在療法(Animal Assisted Therapy)」は、認知症ケアや緩和ケア、リハビリテーション分野での活用が期待されています。

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アロマセラピスト

アロマセラピーとは

アロマセラピー(アロマテラピー)は、エッセンシャルオイル(植物から抽出した香り成分である精油を用いて心身を整え、健康や美容に役立てていくものです

芳香浴、吸入、トリートメントなど、さまざまな方法があり、医療や福祉の分野でも活用されています。

アロマセラピストになるには

ほとんどの方は養成機関や専門学校などで、アロマセラピーに関連する民間資格を取得しています。

例えば、公益社団法人 日本アロマ環境協会では「アロマテラピー検定」や「アロマセラピストの試験・認定」などを行っています。

介護現場での活用法

アロマセラピーには、心身のリラックス効果、睡眠の質向上が期待できるといわれています。また、認知症の症状を改善する効果があるともいわれています。

介護をしているご家族や介護職員の方が、セルフケアとして疲れやストレスを感じたときに取り入れてみるのもよいでしょう。

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今回ご紹介したセラピー系の資格は、職場だけでなく、ご自身やご家族、ご友人、ボランティア活動等で地域の方々などのためにも役立てることができるものです。
ご興味をお持ちの方、資格取得について詳しくお知りになりたい方は、各団体までお問い合わせください。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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