ユマニチュードの「5つのステップ」
ユマニチュードの基本となる「4つの柱」を使って、実際にケアを行う手順を「5つのステップ」といいます。
① 出会いの準備
② ケアの準備
③ 知覚の連結
④ 感情の固定
⑤ 再会の約束
「5つのステップ」のポイント

① 出会いの準備
友人の家を訪問するときのように、扉をノックして相手に来訪を知らせるためのステップです。ノックを繰り返すことで相手の覚醒水準が徐々に高まり、脳が人と会うための準備をします。また、「誰かが入ってくることを受け入れるかどうか」を選択していただくことができます。
② ケアの準備
すぐにケアの話(「お風呂ですよ」「お薬ですよ」など)をするのではなく、「あなたに会いにきた」というメッセージを伝えます。それから、ポジティブな言葉でケアの提案をし、ご本人の同意を得てからケアを行います。もし3分以内に同意が得られなければ、いったんケアをあきらめます。
③ 知覚の連結
「見る」「話す」「触れる」を使い、自分が発する「あなたのことを大切に思っている」というメッセージに調和を持たせます。
④ 感情の固定
認知症が進行しても、感情に伴う記憶は残るといわれています。ケアが終わったら、ご本人にポジティブな感情記憶(「誰だかわからないけれど優しい人」「嫌なことはしない」など)をしっかりと残して、次回につなげます。
⑤ 再会の約束
「また会いたいですね」「また来ますね」と約束をします。ご本人が約束を覚えていなくても「喜び」や「期待」などのポジティブな印象が残っていれば、次回も笑顔で迎えてくれる可能性が高まります。
「ユマニチュード」実践する上で重要となる「5つのステップ」について詳しくはこちらをご覧ください。
認知症ケア技法「ユマニチュード」を実践するための5つのステップ
ユマニチュードは認知症ケアとして注目されていますが、ケアを必要とするすべての方への活用が可能です。また、この技法はケアを受ける人だけではなく、ケアをする人も「よかった」と満足できるように支えることを目標としています。「介護の負担が大きい」「やりがいを感じられるケアをしたい」という方も、ユマニチュードの技法も学んでみてはいかがでしょうか。
その他の認知症ケアについてはこちらの記事をご覧ください。
<参考文献>
本田美和子・イヴ,ジネスト・ロゼット,マレスコッティ『ユマニチュード入門』医学書院,2014.
イヴ,ジネスト・ロゼット,マレスコッティ『「ユマニチュード」という革命』誠文堂新光社,2016
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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