ご高齢者の遠距離介護を始める前に知っておきたいこと

2018/05/11

遠方で暮らすご高齢の親御さんや親戚等に介護や生活支援が必要になったとき、同居・近居での支援だけでなく「遠距離介護」という選択肢もあります。今回は、遠距離介護のメリットとデメリット、リスクへの備え、負担を軽くする方法などについてお伝えします。

遠距離介護のメリット・デメリット

遠距離介護のメリット・デメリット

ここでは、遠く離れて暮らすご高齢の親御さんを子どもがサポートする場合のメリットとデメリットをみていきます。

遠距離介護のメリット

住環境を大きく変えなくてすむ
子どもが親御さんを近くに呼び寄せる方法もありますが、ご本人が「住み慣れた家や土地を離れたくない」「これまで築いてきた人間関係を失いたくない」と望んでいる場合も多いはずです。

転居による環境の変化は、ご高齢の方にとって大きなストレスとなります。環境の変化がきっかけで、認知症やうつ病を発症したり、状態が悪化したりすることも珍しくありません。
また、子どもがUターンをする場合も、同様のストレスに加え、介護離職(ご家族の介護のためにやむを得ず仕事を辞める)などのリスクを伴います。

遠距離介護なら親も子も転居をせずにすむため、今まで通りの生活や仕事をできるだけ維持することができます。

身体的・心理的負担が軽くなる
最近は育児と介護が同時進行する「ダブルケア」に直面するケースも増えており、同居や近居となると、介護するご家族の身体的・精神的負担が大きくなってしまいます。
また、介護をされるご本人が「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、心理的ストレスをため込んでしまうことも少なくありません。
遠距離介護は適度な距離を保つことで、心身ともに余裕が生まれ、良好な親子関係を築ける場合があります。


遠距離介護のデメリット

遠距離介護のデメリット

緊急時にすぐ対応できない
遠く離れて暮らしていると、急病や事故などの緊急時にすぐ駆けつけることができません。電話で声を聞いたり顔を合わせたりする機会が少ないと、親御さんの小さな異変を見逃してしまう可能性もあります。
また、子どもが親御さんを近くで見守れず毎日の様子が分からないために不安が募る、ご高齢の親御さんと離れて暮らし続けることに罪悪感を抱くなどのケースも少なくありません。

お互いに安心して暮らすためには、普段からコミュニケーションを密にとり、もしもの時への備えや体制を整えておく必要があるでしょう。

費用の負担が大きくなる
遠距離介護では、帰省のための交通費や通信費など、目に見えない費用の負担が大きくなります。
介護費用の問題は、兄弟・姉妹間のトラブルに発展してしまう可能性もあるため、事前に家族の間でよく話し合っておくことが重要です。

緊急時への備えと対策

緊急時への備えと対策

主治医やケアマネジャーなどの専門職、隣近所の人とまったく面識がないと、いざというときの対応に時間がかかってしまうことがあります。
ご本人の心身状態を把握するためにも、親御さんの主治医と積極的にコンタクトをとっておきましょう。受診日に同行するか家族受診をお願いし、遠距離介護であることや緊急時の連絡先などを伝えておきます。

介護保険サービスを利用する場合は、ケアマネジャーなどの専門職と顔を合わせて信頼関係を築いておくことが大切です。ケアマネジャーは、月に1度の状況確認やサービス担当者会議を行います。忙しくて都合がつかないことも多いかと思いますが、可能であれば定期的な訪問の際に同席して情報を共有しておきましょう。
利用している介護サービスや事業所の重要事項説明書の内容、在宅生活をするうえの希望などもご本人の意向を確認し、ケアマネジャーと話をすることが望まれます。

親御さんが暮らしている自治体や地域包括支援センターにも相談し、介護保険サービス以外の支援制度等に関する情報を事前に集めることも対策のひとつです。最近は土曜日も開所している地域包括支援センターが多くなっています。
また、帰省の際に親御さんの友人や隣近所に挨拶に行き、感謝の気持ちを伝えて、何かあったときは連絡してもらえるようお願いしておくと安心でしょう。

遠距離介護をサポートするサービス

遠距離介護をサポートするサービス

遠距離介護をする方の増加に伴い、さまざまな支援サービスが増えています。ご高齢者の心身状況やご家族のニーズに合わせて、最適なサービスを組み合わせてみてはいかがでしょうか。

見守り・情報共有サービス

「見守りサービス」には、訪問型やセンサー型、カメラ型など多様な種類があり、安否の確認から緊急時の駆けつけまで幅広く対応しています。郵便局や電気・水道会社、セキュリティ会社、家電メーカー等がサービスを提供しています。
また、ご家族とケアマネジャー、介護サービス事業者をつないで情報共有できる「介護コミュニケーションアプリ」などを導入している事業者もあります。

見守り・情報共有サービス

通信費・運賃の割引サービス

遠距離介護の金銭的な負担を減らすためには、通信費や交通費をできるだけ抑えることがポイントです。
通信費はSkypeやFacebook、LINEなどの無料アプリを活用することで節約できます。

負担の大きい交通費は、運賃の割引サービスの利用をおすすめします。たとえば飛行機の場合は、日本航空(JAL)の「介護帰省割引」や全日空(ANA)の「介護割引」などがあります。(適用条件や必要書類は各社によって異なる場合がありますので、詳しくは各社の公式サイト等でご確認ください。)



各種介護サービス

各種介護サービス

仕事や育児をしながら遠距離介護を続けるためには、ご家族だけで全てを行おうとせず、公的な介護サービスのほか、民間の介護サービスを上手に活用することも大切です。
また、遠距離介護は、在宅だけではなく施設への入居という選択肢もあります。

介護の専門知識をもったプロに任せることは、ご家族だけではなくご本人のためにもなります。例えば介護はプロに任せ、ご家族は介護に関する情報収集や手続き、親御さんの話し相手になり精神的にサポートするなど役割分担をしても良いでしょう。
困りごと、悩みごとがあるときはケアマネジャーや相談員、地域包括支援センター、友人、同僚など、一人でも多くの人に相談し、一人で抱え込まないようにしてください。



事前にさまざまな情報を集めてご家族でよく話し合い、リスクに備えておくことが遠距離介護を乗り切るポイントです。また、介護をするご家族が頑張り過ぎないことも「遠距離介護」の成功につながります。
心身の疲れと経済的な負担を少しでも減らし、ご自身の健康と生活を守りながら無理をしないようにしましょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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