無理なく安全に!移乗・移動介助の基本と留意点

3. 移乗介助(立ち上がる・座る)
~端座位(ベッドの端に座った状態)から車いすへの移乗<全介助の場合>~

移乗介助(立ち上がる・座る)

移動に車いすを使うときに必要な介助動作です。車いすは、ベッドの側面に対して10度〜30度(介助される方の状態に応じて角度を変える)の角度で設置し、必ずブレーキをかけてフットサポートを上げておきます。片麻痺(かたまひ・へんまひ)がある場合は、車いすを健側(麻痺がない側)に設置しましょう。


ベッドサイドに立ち上がる
介助される方の両足が床につくように臀部(おしり)をずらし、浅めに座っていただきます
②介助される方の両腕を介助者の肩へまわします。
③介助者は支持基底面を広げ(足を大きく開き)、重心である腰を低くし、両腕を介助される方の背中にまわします。
④介助者の肩を介助される方の胸に近づけ、前傾姿勢で立ち上がっていただきます(体重前方移動で立つ)。


車いすに座る
⑤介助者は車いすに近い方の足を軸足にして、車いすに向き合うように方向転換します。
⑥介助される方にアームサポートをつかんでもらいながら、ゆっくりと座っていただきます。
⑦フットサポートを下ろし、介助される方の両足をのせます。


■ベッドから車いすへの移乗のポイント
・車いすのシート(座面)はベッドより少し低くなるように調節します。
(車いすからベッドへ移乗する場合は逆)


▼関連記事
事故を防いで心地よく!車いすの基本的な介助方法と注意点

4. 歩行介助(歩く)
~足腰の筋力が弱っている方・歩行が不安定な方の歩行介助~


杖の使用が無い場合

歩行介助(歩く)

①介助者は介助される方の横に立ち、脇に手を入れ身体を支えます
②反対側の手で介助される方の手を下から支えるように軽く握ります。
歩調を合わせて、慌てずゆっくりと歩きます。


■歩行介助のポイント
・介助される方は動きやすい衣服と滑りにくい靴を着用するようにしましょう。
片麻痺(かたまひ・へんまひ)等がある場合には、介助者は原則として患側(麻痺がある側)に立ちます



杖(一本杖)歩行の場合

基本動作の介助方法とポイント

杖の固定ネジのゆるみや杖先ゴム(チップ)のすり減りがないか、事前に確認しましょう。
②杖(一本杖)は、原則として健側(麻痺や痛みのない側)に持っていただきます。
③介助者は、杖と反対側に立ちます
「杖→患側の足→健側の足」の順番で歩いていただきます。


杖の長さの目安
足先から外側に約15cm離して杖先をつき、肘が150°に曲がる長さを目安に調節します。または、立位で腕を自然に下ろしたときの、床面から手首の骨の出っ張り(茎状突起)までの高さを目安にします。



杖を使用して階段を昇降する場合

階段の手すりがある場合は、介助者が杖を預かるなどして手すりを利用しましょう。


杖を使用して階段を上るとき
①介助者は、患側の斜め後方に位置します。
②杖を一段上に出し、健側の足を一段上げ、患側の足を引き上げます。(杖→健側→患側


杖を使用して階段を下るとき
①介護者は患側の斜め前方に立ち、一段先に下ります。
②杖を一段下に出し、患側の足を一段下ろし、健側の足をそろえます。(杖→患側→健側


■杖(一本杖)歩行介助のポイント
・杖を選ぶときは、理学療法士や福祉用具販売店などの専門家に相談し、アドバイスを受けましょう。
・転倒予防のために、杖先ゴム(チップ)はすり減ったら交換しましょう。
・杖を健側に持つことで、支持基底面を広くし、安定性を確保します。
・杖を使用する方の介助をする場合は、基本的に介助者が杖と反対側に立ちます
・介助される方が右足(左足)を出したら介助者も右足(左足)を出すと、空間ができて歩きやすくなります。



移乗・移動介助においても、介助される方の自立支援を意識し、必要最低限の介助を心がけましょう。できるかぎりご自身の力を使っていただくことは、身体機能の維持・向上だけでなく、生活意欲を高めることにもつながります。
介助される方の状況により、安全に介助することが困難な場合は、適切な福祉用具を利用し、無理なく安全に介助をするようにしましょう。



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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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