事故を防いで心地よく!車いすの基本的な介助方法と注意点

歩行や姿勢保持が困難なご高齢者の生活の幅を大きく広げる車いす。離床して適切な座位を保持することで、心身機能の向上が期待でき、介護の負担軽減にもつながります。
ただし、車いすを利用するときには安全に十分配慮し、事故を未然に防ぐことが重要です。今回は車いすの種類や基本的な介助方法、注意点について解説します。

車いすの種類

車いすの名称

車いすには、「自走用車いす」「介助用車いす」「電動車いす」「リクライニング・ティルトタイプ車いす」など、さまざまな種類があります。
車いすや付属品を選ぶ際は、必ず専門家に相談しましょう。

自走用車いす

自走用車いすには、ハンドリム(後輪に外側についている輪)がついており、ご自身の手でこいで動かすことができます。レッグサポート(足を乗せる部分)を外して足で動かすことも可能です。
介助者用のグリップがついているものは、介助者に後ろから押してもらうこともできます。


介助用車いす

介助用車いすは、介助者が操作して動かすタイプで、ハンドリムがついていません。後輪が自走用より小さく、コンパクトで軽量なのが特徴です。

電動車いす

「電動車いす」は、電動モーターで動く車いすのことです。最高速度は、時速6Km以下に制限されています。
一定の条件を満たした電動車いすは、道路交通法上で「歩行者」とみなされるため、運転免許は必要ありません。

その他

背もたれの角度を変えられる「リクライニングタイプ」や、背もたれと座面を一体で後ろに倒せる「ティルトタイプ」の車いすなどがあります。
部屋や廊下が狭い場合は、小回りができる「6輪型車いす」という選択肢もあります。



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車いすの安全確認(前準備)

車いすを利用する前には、必ず安全確認をしましょう。また、定期的なメンテナンスも大切です。

車いすの点検ポイント

・ブレーキ、ストッパーなどが正常に作動するか
・タイヤに十分空気が入っているか
・車輪がスムーズに動き、まっすぐに進むかどうか
・フットサポート(足を乗せる部分)が上げ下げできるか
・座面(シート)にたわみはないか
・ネジのゆるみ、がたつき、異音、破損などはないか  など

介助者の準備と心構え

  • ・ご高齢者のお身体に合った車いす用クッションを準備しておきましょう。
  • ・麻痺(まひ)側に傾く場合は、クッションなどを入れて姿勢を調整しましょう。
  • ・外出するときはご高齢者のご気分や体調をうかがい、無理のないようにしましょう。
  • ・寒いときには保温のためにひざ掛けなどを用意しましょう。
  • ・介助者はスカートやヒールのある靴などを避け、動きやすい服装を心がけましょう。
  • ・介助者は腕時計やアクセサリーなどをはずしておきましょう。
  • ・介助をするときは動作のたびに必ず声かけをしましょう。
  • ・移乗などの動作が終了したら、その都度体調の変化を確認しましょう。
  • ・介助者の腰痛などを防ぐために無理な姿勢にならないよう気をつけましょう。
  • ・可能であれば、折りたたみ式のスロープを用意しておきましょう。

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車いす移動介助の基本と心構え

車いす移動介助の基本と心構え

車いすの押し方

①介助者は車いすの真後ろに立ち、グリップ(手押しハンドル)を両手でしっかり握ります。
②ご高齢者にアームサポート(肘掛け)を握っていただき、足はフットサポートにのせていただきます。
(片麻痺がある場合は、麻痺側の腕を太ももの上に乗せていただきます。)
③動かす前に必ず声をかけ、前後左右に注意しながらゆっくり押しましょう。

ブレーキのかけ方

①介助者は車いすの側面または後方に立ちます。
②片手でグリップを握り、もう片方の手でブレーキをしっかりとかけます。
③反対側のブレーキもかけます。

段差の上がり方

車いすの押し方

①段差に対して車いすを正面に向けます。
②介助者はグリップを押し下げながらティッピングレバーを片足で踏み、キャスター(前輪)を上げます。
③バランスを保ちながら車いすを前進させ、ゆっくりとキャスター(前輪)を段差の上にのせます。
後輪を押し上げます。

段差の降り方

①安全のために必ず車いすを後ろ向きにし、後輪をおろします。
ティッピングレバーを踏んでキャスター(前輪)を浮かせた状態にし、ゆっくりと後方に下がります。
③ご高齢者の足が段差にぶつからないか確認し、キャスター(前輪)を静かにおろします。

坂道(斜面)での押し方

坂道(斜面)での押し方

(上り坂)
介助者は脇をしめ、歩幅を広げて一歩一歩ゆっくりと押し戻されないように進みます。

(下り坂)
ゆるやかな下り坂の場合は、進行方向を向いたままで普通の押し方で前進します。急な下り坂の場合は、後ろ向きのほうが安全です。
後ろ向きになる場合は、介助者がグリップをしっかりと握り、後方に注意しながら歩幅を広げてゆっくりと下りましょう。

※歩道でも車両進入用の傾斜地では車いすが車道側に傾きます。介助者は車道側の手をグリップからアームサポートに持ちかえると、まっすぐに押しやすくなります。

車いす移動介助の注意点

  • ・急発進や急な方向転換、急停止は絶対にやめましょう。
  • 停止するとき車いすから離れるときは、ほんの少しの間であっても必ずブレーキをかけましょう。
  • ・ご高齢者の手足が車いすに巻き込まれないよう気をつけましょう。
  • ・傾斜や段差、溝などがある場所、砂利道、砂地などはできるだけ避けましょう。
  • ・砂利道など凸凹のある場所では、キャスター(前輪)を上げた状態で押す方法もあります。
  • ・溝などの格子状のふたの上は、斜めに通過しましょう。
  • ・1人での介助が難しい場面では、無理をせずに周りの方に協力を求めましょう。
  • ・傾斜が急な場合、ご高齢者の転落など事故につながるケースがあります。無理な介助は避けて、周囲に手助けを依頼しましょう。

車いすで移動すること、介助を受けることは、ご高齢者にとって非常に不安なことです。介助者には平らに見える道でも、ご高齢者は振動やスピードを感じていることもあります。ご高齢者の目線に立ち、こまめに声かけをしながら焦らずゆっくりと進むようにしましょう。

記事監修

大西医師

科目

皮膚科・漢方内科・ペインマネジメント・麻酔科・産業医・公衆衛生

メデイア出演実績

テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ!」 / 宝島社 / 東京スポーツ東京スポーツ新聞 / 小学館

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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