2024年度(令和6年度)の介護報酬改定のポイント

2024/06/17

基本的に3年ごとに見直される介護報酬。2024(令和6)年度から介護保険サービスを利用したときにかかる費用や介護保険料などが変わります。今回は2024年度の介護報酬改定のポイントをまとめました。

2024年度の介護報酬改定の基本的な視点

2024年度の介護報酬改定の基本的な視点

地域包括ケアシステムの深化・推進

認知症の方、一人暮らしや医療ニーズが高い中重度の高齢の方を含め、質の高いケアマネジメントや必要なサービスが切れ目なく提供されるよう、地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組みを推進

〇自立支援・重度化防止に向けた対応

高齢の方の自立支援・重度化防止という制度の趣旨に沿い、多職種連携やデータ活用などを推進

〇良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

介護人材が不足する中、さらなる介護サービスの質の向上を図るため、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善に向けた先進的な取り組みを推進

〇制度の安定性・持続可能性の確保

介護保険制度の安定性・持続可能性を高め、全ての世代にとって安心できる制度を構築

過去の介護報酬改定についてはこちらをご覧ください

どう変わる?平成30年度(2018年度)介護報酬改定のポイント
何が変わる?2021年度(令和3年度)介護報酬改定のポイント

2024年度介護報酬改定の主なポイント

地域包括ケアシステムの深化・推進

質の高い公正中立なケアマネジメント

ヤングケアラーなど多様な課題への対応を進める観点等から居宅介護支援の特定事業所加算を見直し

地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組み

訪問介護の特定事業所加算や総合マネジメント体制強化加算の見直し

医療と介護の連携の推進
  • ・専門性の高い看護師が計画的な管理を行うことを評価する「専門管理加算」の新設(訪問看護)
  • ・「重度者ケア体制加算」を新設(療養通所介護)
  • ・入居継続支援加算の見直し(特定施設入居者生活介護等)
  • ・配置医師緊急時対応加算の見直し
  • など

看取りへの対応強化
  • ・訪問入浴介護における看取り対応体制の評価
  • ・訪問看護などにおけるターミナルケア加算の見直し
  • ・短期入所生活介護における看取り対応体制の強化
  • ・ターミナルケアマネジメント加算などの見直し
  • ・介護老人保健施設(老健)におけるターミナルケア加算の見直し
  • ・介護医療院における看取りへの対応の充実

感染症や災害への対応力向上
  • ・高齢者施設などでの感染症対応力の向上
  • ・業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入

高齢者虐待防止の推進

虐待の発生やその再発を防止するための措置が講じられていない場合に基本報酬を減算

認知症の対応力向上
  • ・(看護)小規模多機能型居宅介護の認知症加算に新区分を創設
  • ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、介護保険施設を対象とした「認知症チームケア推進加算」を新設

福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し

一部の福祉用具に貸与(レンタル)と購入の選択制を導入

選択可能な福祉用具
  • ・固定用スロープ
  • ・歩行器(歩行車を除く)
  • ・単点杖(松葉づえを除く)
  • ・多点杖

▼関連記事
地域で高齢者の暮らしを支える「地域包括ケアシステム」とは?
大人の代わりに家事やご家族のケアなどを担う「ヤングケアラー」
「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「有料老人ホーム」「グループホーム」の違いとは?

自立支援・重度化防止に向けた対応

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取り組みなど
  • ・通所リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算に新区分を創設
  • ・介護老人保健施設、介護医療院、介護老人福祉施設等の関係加算に新区分を創設
  • ・通所リハビリテーションの事業所規模別基本報酬の見直し
  • ・管理栄養士、歯科衛生士等が行う居宅療養管理指導の算定対象の見直し
  • ・訪問系サービス、短期入所系サービスに「口腔連携強化加算」を新設
  • ・「退所時栄養情報連携加算」の新設

自立支援・重度化防止に係る取り組みの推進
  • ・通所介護などの入浴介助加算の見直し
  • ・介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能の促進のための見直し
  • ・かかりつけ医連携薬剤調整加算の見直し

LIFEを活用した質の高い介護
  • ・科学的介護推進体制加算の見直し
  • ・自立支援促進加算の見直し
  • ・アウトカム評価の充実のための加算などの見直し
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LIFE(科学的介護情報システム)とは?導入するメリットと利用手順

良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
介護職員の処遇改善(2024年6月施行)
  • ・2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう加算率を引上げ
  • ・現行の加算を4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化

生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり
  • ・利用者の安全、介護サービスの質の確保、職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会設置の義務付け(経過措置3年間)
  • ・「生産性向上推進体制加算」の新設
  • ・生産性向上に先進的に取り組む特定施設の人員配置基準の特例的な柔軟化

効率的なサービス提供の推進
  • ・介護支援専門員(ケアマネジャー)1人当たりの取扱件数の見直し

制度の安定性・持続可能性の確保

評価の適正化・重点化
  • ・訪問介護で同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し
  • ・短期入所生活介護(ショートステイ)の長期利用の適正化
  • ・同一建物に居住する利用者へのケアマネジメントの新設
  • ・「その他型」「療養型」の介護老人保健施設と「Ⅱ型」の介護医療院に新たな室料負担を導入(2025年8月施行)

報酬の整理・簡素化
  • ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬の見直し
  • ・運動器機能向上加算の基本報酬への包括化
  • ・認知症情報提供加算、地域連携診療計画情報提供加算、長期療養生活移行加算の廃止

出典:
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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