介護する方が高齢者の糖尿病について知っておきたいこと

2024/06/10

高齢になるとさまざまな病気にかかりやすくなりますが、糖尿病もそのひとつです。高齢の糖尿病の方には、若い方とは異なる特徴があります。今回は、ご本人だけでなく介護する方やご家族、周囲の方にも知っておいていただきたいことをまとめました。

糖尿病とは

糖尿病とは

糖尿病は血糖値が高い「高血糖」の状態が続く病気です。 膵臓(すいぞう)から出る「インスリン」というホルモンは、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を一定に保つ働きをしています。 しかし、インスリンが不足したり作用が低下したりすると、高血糖の状態になります。

糖尿病には「1型糖尿病」や「2型糖尿病」などがありますが、日本の糖尿病患者の多くが「2型糖尿病」といわれています。 「1型糖尿病」は膵臓からインスリンがほとんど出ないため、インスリンの注射が欠かせません。 「2型糖尿病」は遺伝的な要因に生活習慣(食べ過ぎ・運動不足など)が重なって発症することが多いため、食事療法と運動療法、必要に応じて薬物療法が行われます。

糖尿病が怖いといわれるのは、自覚症状がほとんどないまま進行して重い合併症につながることがあるからです。 糖尿病の合併症には、神経障害・網膜症・腎症は(三大合併症)などがあります。また、動脈硬化が進んでさまざまな病気を発症するリスクが高まります。 合併症の発症や進行を防ぐためには、治療を続けて血糖値をコントロールすることが大切です。

糖尿病の主な症状

  • ・疲れやすい
  • ・トイレが近くなる(尿の回数が増える)
  • ・のどが渇いて水をよく飲む
  • ・食べているのに体重が減る

高齢者の糖尿病の特徴

高齢者の糖尿病の特徴

症状が出にくい

高齢の方は高血糖になっても上記のような症状が出にくい傾向にあります。また、症状に気づいていても「歳のせい」と考えてしまいがちです。

重症の低血糖をおこしやすい

糖尿病のお薬で治療されている場合は、血糖値が下がり過ぎて、「冷や汗が出る」「動悸がする」「手がふるえる」などの低血糖症状が現れます。しかし高齢の方は低血糖になっても症状に気づきにくく、重症化してしまうことがあります

食後高血糖をきたしやすい

高齢の方は食後高血糖(食後2時間が過ぎても血糖値が高い状態)をおこしやすい傾向にあります。

要介護などで治療が難しいことがある

ひとり暮らしの方や介護が必要な方、認知症の方などは、食事療法や服薬管理が難しい場合があります。 指導を受けても長年にわたる生活習慣を改善することが難しいケースもあるでしょう。

介護する方が気をつけたいこと

介護する方が気をつけたいこと

通院の付き添いや介助をする

糖尿病の方は定期的な受診が必要ですが、高齢者はさまざまな理由で受診できないことがあります。 自己判断で治療やお薬の服用をやめてしまう方や、おひとりでの通院が難しくなってきた方には、定期的に受診しているか見守ったり、通院に付き添ったりします。 ご家族が対応できないときは、訪問介護や訪問診療などを利用できる場合があります。

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糖尿病を理解してサポートする

高齢の方は糖尿病のほかにもさまざまな病気を抱えていることが多く、症状や治療法はお一人おひとり異なります。 糖尿病について正しく知り、ご本人の生活習慣なども理解して、QOL(生活の質)が低下しないようサポートすることが大切です

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体調の変化に気を配る

高齢の方は自覚症状が出にくい傾向にあるため、低血糖のときの対応などについて主治医に確認しておきましょう。 また、ご家族も無理をせず、さまざまな制度やサービスを活用しましょう。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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