何が変わる?2021年度(令和3年度)介護報酬改定のポイント

介護報酬に基づいて決められている介護保険のサービス費用。介護報酬は原則3年ごとに見直しが行われますが、2021年度(令和3年度)の改定では何が変わるのでしょうか。今回は、2021年度(令和3年度)介護報酬改定のポイントをお伝えします。

介護報酬とは

介護報酬とは

ご利用者様(要介護または要支援の方)に介護保険のサービスを提供した事業者には、その対価として介護報酬(サービス費用)が支払われます。
介護報酬の7~9割は「介護給付費」として保険者(市区町村)から支払われ、1~3割はご利用者様が負担します。

介護報酬では、介護サービスの種類ごとに「単位」が決められています。また、事業所のサービス提供体制やご利用者様の状況などによって加算・減算されます。

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2021年度(令和3年度)介護報酬改定の主な内容

介護報酬改定の主な内容

2021年度(令和3年度)は、0.70%のプラス改定となりました。このうち、0.05%は新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価(令和3年9月末までの間)となっています。
これを踏まえ、原則として全サービスの基本報酬が引き上げとなり、2021年(令和3年)4月~9月末までの間は、基本報酬に0.1%上乗せすることが決まりました。


2021年度(令和3年度)介護報酬改定の大きな柱は以下の5つです。

  • 〇感染症や災害への対応力強化
    感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築

    〇地域包括ケアシステムの推進
    住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取り組みを推進

    〇自立支援・重度化防止の取り組みの推進
    制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進

    〇介護人材の確保・介護現場の革新
    喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応

    〇制度の安定性・持続可能性の確保
    必要なサービスは確保しつつ、適正化・重点化を図る



感染症や災害への対応力強化

  • 日頃からの備えと業務継続に向けた取り組みの推進


    ・感染症対策の強化(全サービス)
    【施設系サービス】現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施を義務づける。

    【その他のサービス】委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。
    (※3年の経過措置期間を設ける)

    ・業務継続に向けた取り組みの強化(全サービス)
    【すべての介護サービス事業者】業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。 (※3年の経過措置期間を設ける)

    ・災害への地域と連携した対応の強化 (通所系・短期入所系・特定・施設系)
    【非常災害対策が求められる介護サービス事業者】小多機等の例を参考に、訓練の実施に当たって地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととする。

    ・通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応(通所介護・通所リハ・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護)
    通所介護等の報酬について、感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、特例措置を設ける。


地域包括ケアシステムの推進

  • ①認知症への対応力向上に向けた取り組みの推進

    ・認知症専門ケア加算の訪問サービスへの拡充
    ・多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設
    ・無資格者への認知症介護基礎研修受講の義務づけ
    (※3年の経過措置期間を設ける・新入職員の受講について1年の猶予期間を設ける)

    ②看取りへの対応の充実

    ・ガイドラインの取り組み推進
    ・施設等における評価の充実

    ③医療と介護の連携の推進

    ・老健施設の医療ニーズへの対応強化
    ・長期入院患者の介護医療院での受け入れ推進

    ④在宅サービス、介護保険施設や高齢者住まいの機能・対応強化

    ・訪問看護や訪問入浴の充実
    ・緊急時の宿泊対応の充実
    認知症グループホーム、短期入所療養介護、多機能系サービスにおいて、緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、緊急時短期利用の受入れ日数や人数の要件等を見直す。
    ・個室ユニットの定員上限の明確化

    ⑤ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保

    ・事務の効率化による逓減(ていげん)制の緩和
    ・医療機関との情報連携強化
    ・介護予防支援の充実

    ⑥地域の特性に応じたサービスの確保

    ・過疎地域等への対応(地方分権提案)

自立支援・重度化防止の取り組みの推進

  • ①リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの連携・強化

    ・計画作成や多職種間会議でのリハ、口腔、栄養専門職の関与の明確化
    ・リハビリテーションマネジメントの強化
    ・退院退所直後のリハの充実
    ・通所介護や特養等における外部のリハ専門職等との連携による介護の推進
    ・通所介護における機能訓練や入浴介助の取り組みの強化
    ・介護保険施設や通所介護等における口腔衛生の管理や栄養マネジメントの強化

    ②介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進

    ・CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進
    ・ADL維持等加算の拡充

    ③寝たきり防止等、重度化防止の取り組みの推進

    ・施設での日中生活支援の評価
    ・褥瘡(じょくそう)マネジメント、排せつ支援の強化


介護人材の確保・介護現場の革新

  • ①介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取り組みの推進

    ・特定処遇改善加算の介護職員間の配分ルールの柔軟化による取得促進
    ・職員の離職防止・定着に資する取り組みの推進
    ・サービス提供体制強化加算における介護福祉士が多い職場の評価の充実
    ・人員配置基準における両立支援への配慮
    ・ハラスメント対策の強化

    ②テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進

    ・見守り機器を導入した場合の夜間における人員配置の緩和
    ・会議や多職種連携におけるICTの活用
    ・特養の併設の場合の兼務等の緩和
    ・3ユニットの認知症GHの夜勤職員体制の緩和

    ③文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進

    ・署名・押印の見直し
    利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認める。署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する。
    ・電磁的記録による保存等
    ・運営規程の掲示の柔軟化


制度の安定性・持続可能性の確保

  • ①評価の適正化・重点化

    ・区分支給限度基準額の計算方法の一部見直し
    ・訪問看護のリハの評価・提供回数等の見直し
    ・長期間利用の介護予防リハの評価の見直し
    ・居宅療養管理指導の居住場所に応じた評価の見直し
    ・介護療養型医療施設の基本報酬の見直し
    ・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)の廃止
    ・生活援助の訪問回数が多い利用者等のケアプランの検証

    ②報酬体系の簡素化

    ・月額報酬化(療養通所介護)
    ・加算の整理統合(リハ、口腔、栄養等)


その他の事項

  • ・介護保険施設におけるリスクマネジメントの強化

    ・高齢者虐待防止の推進(全サービス)

    【すべての介護サービス事業者】利用者の人権の擁護、虐待の防止等の観点から、虐待の発生・再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めることを義務づける。
    (※3年の経過措置期間を設ける)

    ・基準費用額(食費)の見直し

    介護保険施設における食費の基準費用額について、令和2年(2020年)度介護事業経営実態調査結果から算出した額との差の状況を踏まえ、利用者負担への影響も勘案しつつ必要な対応を行う。

    基準費用額(食費)の見直し

    出典:
    厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」



    ・基本報酬の見直し

    すべてのサービスの基本報酬を引き上げる。(※別途の観点から適正化を行った結果、引き下げとなっているものもある)
    すべてのサービスについて令和3年4月から9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せする。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

何が変わる?2021年度(令和3年度)介護報酬改定のポイント

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