室内でも注意が必要!ご高齢者がかかりやすい熱中症の予防対策

2023/06/26

7月~8月は熱中症を発症する方が急増します。熱中症にかかりやすいご高齢者は、屋外だけではなく、室内でも注意が必要です。今回は、ご高齢者とそのご家族に特に気をつけていただきたい熱中症についてお伝えします。

熱中症とは

熱中症とは

熱中症は、高温多湿な環境にいて、体内に熱がこもり、体内の水分や塩分のバランスが崩れることで、身体に異常(気分の不調や吐き気など)が生じます。
ご高齢者や子ども、肥満や運動不足、体調不良の方、暑さに身体が慣れていない方などは熱中症になりやすく、重症になると命にかかわることもあります。熱中症の予防法や対処法を知り、早めに十分な対策をとって、暑さから身を守りましょう。

熱中症になりやすい環境

・温度、湿度が高い
・風が弱い
・急に暑くなった日
・日差し、照り返しが強い

※屋外で過ごすときだけではなく、日差しのない室内で何もしていないときでも熱中症を発症することがあります。

ご高齢者と熱中症

救急搬送される熱中症患者の約半数は65歳以上のご高齢者です。また、ご高齢者の熱中症の多くは、住宅で発生しています。

加齢によって体温調節機能が低下しているご高齢者は、体内に熱がこもりやすくなっています。
また、体内の水分量が減少して脱水状態に陥りやすく、のどの渇きや暑さも感じにくいため、気づかないうちに熱中症になっていることがあります。
エアコンが苦手な方や持病のある方、認知症の方、利尿剤を服用している方、トイレが心配で水分を控えてしまう方などは特に要注意です。ご家族や周囲の方が協力して、熱中症にならないように見守りましょう。

熱中症の主な症状

・めまい、立ちくらみ
・筋肉痛、足がつる
・大量の発汗
・ズキンズキンとする頭痛
・吐き気、おう吐
・力が入らない、ぐったりする
・体温が高い、身体に触ると熱い
・呼びかけへの返事がおかしい、意識がない
・けいれん

ご高齢者の熱中症の予防

ご高齢者の熱中症の予防

日頃から体調を整えておく

ご高齢者は暑さに対する抵抗力が低くなっているため、バランスのとれた食事と十分な睡眠を心がけて、体調を整えておきましょう。また、日頃から運動をして、汗をかく習慣を身につけておくと、熱中症になりにくくなります。

急に暑くなる日に注意する

身体がまだ暑さに慣れていない梅雨の晴れ間、梅雨明け直後も注意が必要です。
気温がそれほど高くない日は油断しがちですが、湿度が高いと熱中症になることがあります。体調がすぐれないときは、無理をしないようにしましょう。

水分をこまめに補給する

汗を大量にかいたときは、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などで、水分とともに適度な塩分(電解質)を補う必要があります。
ご高齢者は口渇感を感じにくいので、就寝前や起床時、入浴の前後、運動の前後など、定期的に水分をとり、寝るときも枕元に水分を用意しておきましょう。1日の水分摂取量は、1〜1.5リットルが目安ですので、例えば、500mlのペットボトルを3本用意し、1日で飲み切るようにしてもらうのもよいでしょう。なお、利尿作用があるアルコールやカフェインを多く含んだ飲み物は、水分補給に向いていません。

※水分制限のある方や持病のある方は、水分補給について必ず主治医にご相談ください。

涼しい服装ですごす

暑い夏は、服装の工夫も重要です。ゆとりがあり、通気性・吸汗性・速乾性に優れた衣服を選んで、涼しく過ごしましょう。また、黒色系の衣類は太陽の熱を吸収して熱くなるため、外出時の着用は避けましょう。

暑さを避ける

暑さを避ける

室内ですごすとき

気温や湿度の高い日は、無理をせずにエアコンや扇風機を利用しましょう。部屋の風通しをよくし、すだれやカーテンなどで窓からの日差しを遮るとさらに効果的です。
目立つところに温湿度計を置いて、室温が28℃を超えないように温度調節をしましょう。また、熱中症の危険度をブザーやランプで知らせる熱中症計(暑さ指数計)も市販されています。
ご高齢者は温度の変化に気づきにくいため、暑さを感じなくても、こまめに温度、湿度、暑さ指数(WBGT)を確認することが大切です。

なお、感染症対策のためには、エアコンを使用しているときでも換気をする必要があります。窓を開けたり換気扇を使ったりして、こまめな換気を心がけましょう。

外出するとき

天気のよい日は、昼下がりの外出をできるだけ控えましょう。
出かける場合は、通気性の高い衣類を選び、日傘や帽子で直射日光を避けることが大切です。こまめに水分や休憩をとり、体調の変化に気をつけましょう。

また、身体に熱がこもるのを避けるために、保冷剤や冷たいタオルなどで身体を冷やすようにしましょう。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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