新たな在留資格「特定技能」とは?外国人の介護人材を受け入れる制度

介護分野では、依然として深刻な人材不足が続いています。政府は、総合的な介護人材確保のための対策に取り組んでおり、介護分野への外国人の受け入れ拡大も図っています。
今回は、介護に従事する外国人を受け入れる制度についてお伝えします。

外国人介護人材の受け入れ制度

外国人介護人材の受け入れ制度

介護分野の有効求人倍率は全産業に比べて高い水準にあり、慢性的な人材不足が続いています。
2025年末には介護職員の需要が約245万人に達すると見込まれており、年間6万人程度の介護職員を確保する必要があります。

国における介護人材確保に向けた取り組み
① 介護職員の処遇改善
② 多様な人材の確保・育成
③ 離職防止・定着促進・生産性向上
④ 介護職の魅力向上
⑤ 外国人材の受け入れ環境整備   など

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外国人の介護人材について

外国人の介護人材を受け入れる制度には「EPA(経済連携協定)」「在留資格(介護)」「技能実習」「特定技能1号」の4つがあります。

政府の2025年に向けた介護人材の確保においては、「国内人材の確保対策を充実・強化していくことが基本」とされ、「外国人介護人材の受入れに係る検討は、人材不足への対応ではなく、各制度の趣旨に沿って進めていく」とされています。


外国人介護人材受入の仕組み

出典:厚生労働省(外国人介護人材受入れの仕組み)


EPA(経済連携協定)
二国間の経済活動の連携強化を目的とした特例的な受け入れです。
現在は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヵ国と協定が結ばれています。
2017年(平成29年)4月から、更なる活躍の促進のため、EPA介護福祉士の就労範囲に「訪問系サービス」が追加されました。

在留資格「介護」の創設
2017年(平成29年)9月1日に「入管法一部改正法」が施行され、「介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士資格を取得した者」を対象とする在留資格「介護」が創設されました。
これにより、在留資格「留学」による留学生が、留学中に介護福祉士国家資格を取得し介護業務に従事することで、日本に長期間滞在できることになりました。

技能実習制度への介護職種の追加
技能実習制度は、国際貢献のために日本から相手国へ技能を移転する制度です。
2017年(平成29年)9月29日に、サービスの質の担保など介護サービスの特性に基づく要請に対応できるよう、介護職種に固有の要件を定める告示が公布されています。
2017年(平成29年)11月1日には「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習の保護に関する法律」が施行され、同時に対象職種に「介護」が追加されました。

新たな在留資格「特定技能」
2019年(平成31年・令和元年)4月1日に、新たな外国人材受け入れのための在留資格「特定技能」が施行されました。
「特定技能」とは、人材確保が困難な14分野(介護・建設・農業など)において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度です。

EPA
(経済連携協定)
在留資格
(介護)
技能実習 特定技能1号
送出し国 インドネシア・フィリピン・ベトナム 制限なし 制限なし 制限なし
在留期間 介護福祉士資格取得前:原則4年
(一定の条件を満たせば5年)
介護福祉士資格取得後:制限なしで更新可能
制限なしで更新可能 最長5年
技能実習1号:最長1年
技能実習2号:最長2年
技能実習3号:最長2年
最長5年
家族(配偶者・子)の帯同 介護福祉士資格取得後:可能 可能 不可 不可
介護福祉士国家試験の受験義務 必須 必須 なし(任意)
※資格取得で在留資格「介護」に変更可能
なし(任意)
※資格取得で在留資格「介護」に変更可能
勤務できるサービス 介護保険3施設・認知症グループホーム・特定施設・通所介護・通所リハ・認知症デイ・ショートステイ
介護福祉士資格取得後は、一定条件を満たした事業所の訪問系サービスも可能
制限なし 訪問系サービス以外 訪問系サービス以外
夜勤の可否 介護福祉士資格取得前:
雇用し6か月経過、もしくは日本語能力試験 N1またはN2合格であれば可能
介護福祉士資格取得後:可能
可能 条件付きで可能 可能
同一法人内の異動の可否 介護福祉士資格取得前:原則不可
介護福祉士資格取得後:可能
可能 可能
(技能実習計画上、技能等を修得するのに、その異動が必要と認められた場合に限る)
可能
介護職種での転職の可否 介護福祉士資格取得前:原則不可
介護福祉士資格取得後:可能
(在留資格変更の許可が必要)
可能 原則不可 可能

新たな在留資格「特定技能」とは

新たな在留資格「特定技能」とは

在留資格「特定技能」の創設などを内容とする「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、2019年4月1日に施行されました。

「特定技能」とは、深刻な人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる制度です。
政府は今後5年間に、最大で約34万5000人、「介護業」では最大6万人の受け入れを見込んでいます。


特定産業分野(14分野)
①介護業 ②ビルクリーニング業 ③素形材産業 ④産業機械製造業 ⑤電気・電子情報関連産業 ⑥建設業 ⑦造船・舶用工業 ⑧自動車整備業 ⑨航空業 ⑩宿泊業 ⑪農業 ⑫漁業 ⑬飲食料品製造業 ⑭外食業

「特定技能」の在留資格には「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。
介護業は「特定技能1号」に追加されたため、ここでは「特定技能1号」について解説します。

特定技能1号

「特定技能1号」は、「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
「特定技能1号」で在留する外国人(1号特定技能外国人)は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を有することを基本とし、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められます。
対象となる外国人は、技能水準と日本語能力水準を試験等で確認された上で入国します。

在留できる期間は最長5年で、家族(配偶者および子)の在留資格は基本的に付与されません。
5年後には帰国することになりますが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して永続的に働くことが可能です。



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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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