今後の活躍が期待される「介護助手」「介護補助」とは

わが国では介護業界の人材不足が大きな問題になっており、団塊の世代が85歳以上になる2035年には約79万人もの介護職員が不足する見込みです。今回は、このような状況のなかで活躍が期待される「介護助手」と「介護補助」のお仕事についてご紹介します。

介護助手・介護補助とは

介護助手・介護補助とは

介護助手・介護補助の業務内容や役割

介護助手・介護補助とは、介護職員をサポートするスタッフのことです。施設によっては「介護補助員」「介護補助者」などと呼ばれることもあります。

介護助手・介護補助は、ご高齢者の身体に直接触れる排せつや入浴、食事などの介助を行うことはありません。介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を持つ介護スタッフが専門的な介護業務に専念できるよう、ご高齢者の話し相手や掃除、食事の配膳など、身体介護以外の業務を担います。
介護職員よりも身体的な負担が少ないため、元気で働くことのできるご高齢者や無資格の方、介護に興味がある方でも始めやすいでしょう。

介護業界の人手不足が叫ばれるなか、介護助手・介護補助が増えることで業務が効率化し、介護の質の底上げにもつながるのではないか期待されています。
現在、国においても介護人材確保のために、中高年齢者や若者、女性、障がいをお持ちの方など幅広い人材の雇用を促進しています。


介護助手・介護補助を積極的に導入する三重県の事例

三重県ではモデル事業として、ご高齢者(60~75歳くらい)の「介護助手」を導入しています。超高齢社会を元気なご高齢者が支えるという取り組みに、全国から注目が集まっています。

三重県のモデルでは、介護専門の職員が自ら業務を細かく分け、比較的簡単な業務については介護助手が担います。

介護助手が行う業務内容は、以下の通りです。
Aクラス、Bクラス、Cクラスと分けられており、Cクラスからスタートして、楽しみながらステップアップできるようになっています。

Aクラス
一定の専門知識や技術、経験を要する比較的高度な業務
(趣味活動のお手伝い・認知症の方への対応、見守り、話し相手など)

Bクラス
短期間の研修で習得できる専門知識や技術が必要な業務
(ADL(日常生活動作)に応じたベッドメイキング・食事の配膳など)

Cクラス
専門知識や技術がほとんどない方でも行える業務
(掃除や片付け、備品の準備など)

介護助手・介護補助の魅力ややりがい

介護助手・介護補助の魅力ややりがい

若い人からご高齢の方まで様々な人が活躍できる

身体介護などの専門的な業務は介護職員が行いますので、介護助手・介護補助は身体的負担が少ないことが特徴です。そのため、まだまだ現役として働くことのできる60代や70代の方の就業も少なくありません。

【ご高齢の方】
60歳以上の方でも、就業したい方はたくさんいらっしゃいます。働きながら介護の知識を得ることができ、ご自身の介護予防にも有効です。
また、介護が必要なご高齢者にとって、年齢の近いスタッフが身近にいることが安心感につながります。そばにいるだけでもご高齢者のお役に立てることは、魅力ややりがいといえるでしょう。

60歳以上のご高齢の方には、「終日勤務は体力的に辛い」といった課題があるでしょう。
しかし、多くの介護現場では「午前だけ」や「午後だけ」といった短時間勤務が可能です。介護施設によっては、業務内容に応じた短時間での出勤パターンもあります。
出勤日においても、週3日~4日といった勤務を選べることが多く、週1日からでも採用される介護施設も存在します。


【若い世代の方、子育て世代の方】
介護助手・介護補助の仕事は、元気なご高齢者だけではなく、子育て世代の主婦など、若い世代からも注目されています。子どもの保育園の時間を活用して働くことができますし、普段ご自宅でしている家事を仕事として活かせます。

子育て世代の方には、「子育てのために就業するのが難しい」といった課題があります。子どもの保育園の時間や家庭の都合に合わせて働けるように、短時間での出勤が可能です。土日祝日は、休日とすることが可能な介護施設も存在します。


介護助手・介護補助においては、介護の資格や介護業務の経験がなくても就業が可能です。
最初は、掃除や片付けといった比較的容易に始められる業務から行います。

介護職員初任者研修や実務者研修を受講すれば、専門的な介護業務を行うことも可能です。受験資格を満たせば、将来的には国家資格の介護福祉士へとキャリアアップが目指せます。

介護助手・介護補助になるには

介護助手・介護補助になるには

介護助手・介護補助は、幅広い年代の方が無資格・未経験でもすぐに始められます。
最近は介護助手・介護補助として働きたい方のために、無料講座を開催している自治体や研修を行う介護施設も増えてきました。不安をお持ちの方は、まずボランティアから始めてみるのもよいでしょう。



ご高齢者の暮らしを支える介護助手・介護補助は、とてもやりがいのあるお仕事です。ご興味がある方は、お近くの福祉人材センターやシルバー人材センター、ボランティアセンターなどに問い合わせてみてください。

ライター:井上歳行
特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、現在、介護コンサルタントに取り組んでいます。 主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士を取得しています。

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