介護人材確保に向けた介護職員のさらなる処遇改善について

2018/12/26

「人生100年時代」といわれる超長寿社会を迎える日本では、「介護人材の確保」が重要課題の一つとなっています。これまでも介護職員に対する処遇改善は行われてきましたが、国は2019年の消費税率引き上げに伴う報酬改定において、さらなる処遇改善を進める予定です。今回は、介護職員処遇改善の内容や対象となる方などについて解説します。

介護職員処遇改善の動き

介護職員処遇改善の動き

第7期介護保険事業計画(市町村が策定する介護保険制度運営の基本となる計画のこと)に基づく介護人材の需要をみると、2020年度末には約216万人、2025年度末には約245万人が必要となると見込まれています。

要介護(要支援)認定者数の増加に伴って介護職員数も増えていますが、2016年度は約190万人にとどまっています。
そのため、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護職員をさらに確保する必要があると推計されています。

介護人材の処遇改善について

注1)需要⾒込み(約216万⼈・245万⼈)については、市町村により第7期介護保険事業計画に位置付けられたサービス⾒込み量(総合事業を含む)等に基づく都道府県による推計値を集計したもの。
注2)2016年度の約190万⼈は、「介護サービス施設・事業所調査」の介護職員数(回収率等による補正後)に、総合事業のうち従前の介護予防訪問介護等に相当するサービスに従事する介護職員数(推計値約6.6万⼈)を加えたもの。

出典:厚生労働省「介護人材の処遇改善について」


国はこれまでも介護人材の確保対策として、介護職員の処遇改善や介護福祉士を目指す学生への修学資金貸付、介護ロボット、IoT・ICTの活用推進など、総合的な取り組みを行ってきました。
介護職員の処遇改善については、これまで4度にわたる対策を講じ、実績として月額平均5.7万円の改善効果があったとしています。


これまでの処遇改善の取り組み

2009年度
(平成21年度)
補正予算において「介護職員処遇改善交付金」を創設
介護職員の処遇改善に取り組む介護サービス事業者に対し、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を交付【2011年度(平成23年度)末まで】
2012年度
(平成24年度)
介護報酬改定において「介護職員処遇改善加算」を創設
「介護職員処遇改善交付金」による改善効果を継続する観点から、交付金と同じ仕組みでスタート
2015年度
(平成27年度)
介護報酬改定において「上乗せ評価を行う区分」を創設
さらなる介護職員の資質向上、雇用管理の改善、労働環境の改善に取り組む介護サービス事業者に対し、月額1.2万円相当の加算の拡充
2017年度
(平成29年度)
介護報酬改定において「さらなる上乗せ評価を行う区分」を創設
介護職員の技能・経験等に応じた昇給の仕組みを構築した事業者に対し、月額平均1万円相当の加算の拡充

「介護職員処遇改善加算」とは?

介護職員処遇改善加算
  • <キャリアパス要件>
  • ①職位・職責・職務内容等に応じた任⽤要件と賃⾦体系を整備すること
  • ②資質向上のための計画を策定して研修の実施⼜は研修の機会を確保すること
  • ③経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

  • <職場環境等要件>
  • 賃金改善を除く、職場環境等の改善

  • ※就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む。

出典:厚生労働省「介護人材の処遇改善について」


「介護職員処遇改善加算」とは、介護職員の安定的確保や資質向上の観点から、介護現場で働く介護職員の賃金改善を行うために創設された加算のことです。加算Ⅰ~Ⅴの全5区分からなり、区分ごとに要件が設定されています(加算ⅣとⅤは今後廃止予定)。

  • <3種類(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)のキャリアパス要件>
  • Ⅰ 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
  • Ⅱ 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
  • Ⅲ 経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

  • <職場環境等要件>
  • 賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取り組みを実施すること

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲおよび職場環境等要件をすべて満たして「加算Ⅰ」を取得した事業所は、介護職員1人当たり月額3万7千円相当の加算を受け取ることができます。事業所は、介護職員の研修機会の確保や雇用管理の改善などとともに、加算相当額の賃金改善を行うことが必要です。
2017年度(平成29年度)末時点では、約90%の事業所が加算Ⅰ~Ⅲを取得しています。


これからの処遇改善について

今後は、2019年10月の消費税率引き上げ(8%→10%)に伴う報酬改定において、さらなる処遇改善を行う予定です。

「新しい経済政策パッケージ」で考慮されている視点

  • ①介護職員の更なる処遇改善
  • 介護の受け皿整備を進めるうえで、最大の課題は介護人材の確保。処遇改善を更に進める必要
  • ②経験・技能のある職員に重点化
  • ・介護職員の平均勤続年数は、全産業や他職種と比較して短い
  • ・介護職員の賃金は全産業や他職種と比較して低い
  • ・介護のケアの質の向上を図る観点からも、介護現場への定着促進につなげる必要
  • ③柔軟な運用を認めること
  • ①、②の趣旨を損なわない程度で、介護以外の職種に配分可能とし、介護事業所の賃金のベースアップ等につなげる必要


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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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